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命を懸けて文化を作る。ただ、それだけ

おはようございます。
僕のお姉ちゃんが、ディズニーランドの『イッツ・ア・スモールワールド』のことを、「あの不気味な施設」と言っていて、声を出して笑ってしまったキングコング西野です。
#ディズニーランドに謝れ

さて。
今日は『命を懸けて文化を作る。ただ、それだけ』というテーマでお話ししたいと思います。

文化づくりの始まり

『映画 えんとつ町のプペル』の再上映がいよいよ明日から始まります。
明日は、朝から大阪(TOHO梅田&TOHOなんば)に行き舞台挨拶をして、夕方には福岡(キャナルシティ)で舞台挨拶。

明後日(23日)は、仙台に飛び、朝10時から舞台挨拶をした後、昼には札幌で舞台挨拶……とまぁ、舞台挨拶芸人をしております。

(※舞台挨拶のスケジュールはコチラ↓)

渋谷では、10月22日~31日まで『CHIMNEY TOWN ART COLLECTION STORE』という期間限定ショップが出るみたいで、ここでは僕がeluに出品したイラストのパネル(全て限定1点)が販売されたり、遊び半分まじめ半分で開発した『プペルとんがりニット帽』が販売されるそう。

僕が担当しているプロジェクトじゃないので(※ニット帽は口を挟んだよ)あまり勝手なことは言えないけども、渋谷の店は大人「売り上げを作る店」というよりも、「広告の為の店」な雰囲気。

何の広告か?
言うまでもなく『ハロウィン・プペル』です。

(※ここから先の話は1年後もナイショです)

「映画の再上映」という変態的なアクションも含めて、(株)CHIMNEYTOWNは今、そこそこの広告費をブチ込んで、明らかに「ハロウィンのアイコン(※クリスマスでいうところのサンタクロース)」を獲りにいっています。
#もう下心がバレているので隠さないよ

この目的は、絵本『えんとつ町のプペル』を作っている時から、スタッフと共有していて、「ハロウィンのアイコンの獲得」に励むこと7~8年。

かなり丁寧な根回しをした甲斐もあって、少なくとも国内だと「リーチ」をかけた感があります。『あと、二押し』といったところ。

年齢が一回り以上離れた社員を雇うようになってからというもの、「20代の大切な時間をいただいている責任」を重く捉えるようになり、僕が死んだ後の世界のことも考えるようになりました。

僕が死ぬと、当然、これまで彼らの活動を後押しできていた僕の発信力はゼロになります。

その時の彼らの最大の資産は『文化』なので、とりあえず今は、文化の創造(※例=ハロウィンはプペルを観に行こう)に魂と時間とお金を極端に割いているわけですね。

そんなこんなで(そのせいで)最近は、朝から翌朝まで走り回る毎日で、もちろんラクではありませんが……しかし、「あぁ、大変だけど、立ち会って良かったな」と思うことがあります。

『芸術』という都合の良い言葉に逃げるクリエイター

最近はファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の稽古に明け暮れています。
稽古が終わってからもディスカッションが続き、ディスカッションが終わると(帰宅後に)「台本の直し」が始まります。

キャストやスタッフの皆さんとのディスカッションはとても有意義で、多くの意見が飛び交い、「今回の作品はどこを目指すのか?」を何度も何度も話し合います。

皆さんが本当に素敵な意見(アイデア)を次から次へと出してくださって、僕自身、本当に助かっているのですが、しかしながら当然、すべての意見を採用するわけではなく、結構キツめに「それは辞めましょう」と返すことがあります。

これはミュージカルの制作に限った話ではなく、映画を作るときも、本を作る時もそう。

相手が誰でもあろうと、相手が何度説得してこようと、徹底的に却下する意見があります。
#そういえば幻冬舎の見城さんにブチギレて怒鳴り込んだことがある

僕が徹底的に却下するのは「一般客ウケはしないが、玄人(くろうと)ウケするアイデア」です。

「玄人を唸らせたらクリア」という課題であれば、そのへんにいる二流クリエイターでもできるわけで、僕はとにかくそういった二流仕事を嫌います。
そのこと(※僕が嫌うこと)は僕の仕事関係者であれば周知の事実なのですが、どっこい、「一般客ウケはしないが、玄人(くろうと)ウケするアイデア」を、ついつい提案してこられる方がいます。

これは、好みウンヌンの話ではなくて、逃げ腰(「玄人ウケ」という最大の言い訳)が身体に染み付いてしまって、「これではお客さんが退屈してしまう」ということが、もう、本当に分からなくなってしまっているのだと思います。

そんな中、今回の主演の吉原光夫さんは本当に最高で、「僕はこういうのが好きで、玄人ウケもすると思うのですが……面白くはないと思います」という言葉を使われます。

「自分の好み」と「エンターテイメント」をキチンと棲み分けされていて、その上で、「こんな選択肢もあります」と提案してくださいます。

職種は違えど、僕がこれまで出会ってきた『一流の人』は皆、このバランス感覚を持っていて、このバランス感覚を失った時に表現者としての終わりが来るのでしょう。

僕が狙うは、「一般のお客さんを楽しませまくって、玄人が黙らざるをえない仕事」、あるいは「一般のお客さんを楽しませまくって、玄人が嫉妬に狂う仕事」です。

端的に言うと「玄人を力でねじ伏せる」です。

いろんな現場に顔を出す度に、玄人を力でねじ伏せることを忘れて、玄人の目(横やり)を気にする仕事を目にします。

「文化」とは民族や社会の風習・伝統などの総称であって、「玄人の目」を気にして生まれたアプローチでは、文化にはなりえません。

僕には守りたい未来の為に、作らなければいけない文化があります。

なので、いろんな現場に顔を出しては、安易に玄人ウケに逃げる(逃げている自覚すらない)クリエイターさん一人一人と向き合って、キチンと目を見て、「そんなことをしたって、仕方ないじゃないか」と、えなりかずきをやる毎日です。

それでは、今日も舞台稽古に行ってきます。
明日から始まる渋谷の期間限定ショップの情報は最後に載せておきますね。

現場からは以上でーす。

【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

【明日から始まるお店の情報】
・店舗名:CHIMNEY TOWN ART COLLECTION STORE
・開催期間:2021年10月22日(金)~31日(日)
・開催場所:東京都渋谷区桜丘町16-12 桜丘フロントビル1F
・営業時間:11:00~18:00

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このnoteは2021年10月21日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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