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撤退力 ~撤退っぷりで信用を稼げ~

おはようございます。
アメリカにいて『天才万博』(年末のバカ祭り)に参加できないのが悔しすぎるので、腹いせで、帰国後に『一人で天才万博』をやってやろうかと思っているキングコング西野です。

さて。
今日は珍しく時事ネタを絡めつつ、『撤退力』というテーマで、「こういう時は、こういう風に考えるといいと思います」というお話しをしたいと思います。

※個人の名前が入ってくるので、今日の記事は一年後も公開しないでください。
ここから先は絶対にナイショです。

宮迫さんの焼肉屋さんをキンコン西野はどう見てる?


夜中に酔っ払って配信していたら「宮迫さんの焼肉屋さんについて、どう思いますか?」というコメントが飛んできたので、全力で声帯を殺しました。
酔っ払って余計なことを言ってしまいそうだからです。

やっぱり宮迫さんの挑戦は応援したいし、僕の発言がキリトリハラスメントに遭って、間違った伝わり方をすることを僕は望まないので、「本音を言うならサロン内で」と、グッと我慢しました。
#誉めてね

「料理のクオリティー」について世間からヤンヤと言われている宮迫さんの焼肉屋さんですが、映像を見た時の第一印象は、「それもそうだけど…そんなことよりも、内装がまとまってないなぁ」でした。

「まとまっていない」というのは、デザインのコンセプト(※素晴らしいアート作品を無駄にする謎の陳列)もさることながら、「客単価いくらのお客さんが喜ぶ内装なの?」という部分など。

そもそも渋谷は「富裕層が焼肉を食べにいく街じゃない」というのもありますが、あのデザインと、あの間取り(個室なのに、すぐ隣がうるせー)の店には、富裕層は寄りつきません。

ならば、まだあまりお金をもっていない若い子をターゲットにすることになると思うのですが、それにしては、内装が成金趣味すぎる。
それなら、まだ「屋台」っぽい雰囲気の方が嬉しい。

今はどう改善されたのか知りませんが、改善前の宮迫さんの焼肉屋さんは全体的にまとまっていなくて(流れが設計されていなくて)、あらゆる場面で「行き当たりバッタリ感」が漂っていました。
「タレントとしての仕事が無くなってきたら、オンラインサロンメンを始める。なんか儲かるらしいし」みたいな感じです。
#1000%無理

とくに(よく言われていることですが)『富裕層が利用しない渋谷の大箱(100席以上?)』は完全に分が悪く、「いくらで肉を提供するの?」という問題がつきまといます。

値段を上げてしまうと、「渋谷の100席」は埋まらないし、値段を下げてしまうと、売れたところで利益が出ない。

今回の牛肉の高騰(ミートショック)は、中国人の食文化が変わったことと、今、世界中で叫ばれている環境の見直し(牛肉1kgの生産に約2万リットルの水が必要&牛のゲップが半端ねえ)によるものなので、一時的な流行りなどではありません。
コロナが明けても変わらないでしょう。

牛タンの仕入れ値なんて、この1年で1.5~1.8倍とかになっています。
つまり「牛を安く売る」が、かなり無理ゲーになってきている。

…とまぁ、こんなことは僕がここであらためて言わなくても、経営者全員が言っていることなので、テキトーに聞き流してもらって構いません。

今日の本題は、これじゃないんです。

「撤退力」を身につけろ


今、宮迫さんの焼肉屋さんは、急ピッチで改善作業を進めていて、その様子がネタになっているので、オープン直後は様々な動機を持ったお客さんでゴッタ返すでしょう。
勝負は「宮迫さんの焼肉屋さんに行ってきた」というネタとしての賞味期限が切れた時で、今はそこに向けて手を打っている時だと思います。

基本的には、「地盤の弱い土地にビルを建てる」みたいな勝負をしてしまっているので、苦難は続くと思われます。

さて。
ここからが本題です。

この問題に触れる時はいつも「僕がチーム宮迫のブレーンだったら、どうしていただろう?」と考えます。
「リーダーである宮迫さんに何と言っていただろう?」と。

「せっかく大金(5000万円ぐらい?)をブチ込んで作った店なので、できればプラスにしたい」という考えは、僕にもあります。

この時、(今回の宮迫さんが選んだ道である)「この苦難を乗り越えていく姿を見せる」というのも一つあると思いますが、
僕ならば、
いろんな人の意見を聞いて、「違った」ということを悟ったならば、ソッコーで撤退して、「損切りの鮮やかさ」で、皆さま(なんなら投資家)の信用を取りに行きます。

宮迫さんへの耳打ちは「5000万円ブチ込んで、『違う』と思った次の瞬間に、秒で撤退を決めたら(秒で5000万円を捨てたら)、ファンができて、たぶん5000万円ぐらいは回収できるので、そっちを狙いませんか?」です。

自分の思い入れや、他からの見られ方を後回しにして、船(乗客乗員)の安全を最優先で舵を切れる船長ほど信用できるものはありません。
僕が投資家ならば、船を任せたいのは「嵐が来ることが見えたので、僕の独断で予定していた航路を変えました」と言える人です。

勝負の場面では、「挑戦することで獲得できる信用」と「撤退することで獲得できる信用」があるのですが、多くの人は「徹底=失敗」と捉えてしまっている。
これ、メチャクチャ勿体無いです。

鮮やかな「撤退っぷり」でファンを作ることも可能なのに、どうにもこうにも潔く撤退できないでいる。
その理由は、他人の撤退を「失敗」と捉えているからでしょう。

そこの見方を変えない限り、「チャンスどころ(撤退すればファンができる場面)で撤退できない自分」が出来上がってしまうので、他人の見事な撤退(戦略的撤退)に対して、「あの撤退は上手かったねぇ〜」と拍手を贈る訓練をしておいた方がいいと思います。

今日は「撤退力 ~撤退っぷりで信用を稼げ~」というテーマでお話しさせていただきました。
現場からは以上です。

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このnoteは2021年12月28日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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