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僕の苦悩を正直に白状します

おはようございます。
日曜日の今日は仕事の込み入った話はお休みして…とは言え、四六時中仕事しかしていないので、仕事の話をしたいと思います。

「こうやったら上手くいきますよ」といったノウハウ的な話でもなく、
「次はコレを仕掛けます」といった前向きな話でもなく、
どちらかというと、
「あまりうまくいっていない話」です。

サロンメンバーの皆さんには全て共有したいので、僕の苦悩を正直に白状します。

※今日の記事は1年後もナイショにしておいてください。
ここから先は秘密です。

光が強い分、闇も強い


『映画 えんとつ町のプペル』がいよいよアメリカで公開されます。
先日は、公式HPの拡散にご協力くださって、本当にありがとうございます。

世界戦にうって出た『映画 えんとつ町のプペル』は、海外の色んな映画祭から声がかかり、ノミネートされたり、受賞したり、しなかったりしています。
#今度はアニー賞の音楽賞にノミネートされました

まぁ、映画祭の結果に関しては、M1グランプリみたいに“当日のパフォーマンス次第”で変わものでもないので、こればっかりは「授かり物」だと思っています。
#大賞をいただけたらラッキー

ただ、自分達の作品が本年度のアニメーションのトップ集団にいることは確認がとれていて、そのことが「世界は思っていたより遠くなかった」という“程よい勘違い”に繋がっています。

「勘違い」というと、ネガティブな響きがありますが、自分のエンジンがMAXになるのは、「いけるかも」と思えた瞬間だったりするので、この類いの勘違いは結構必要だと思います。

物語の始まりは、いつだって些細な勘違いで、19才の僕が「僕ならイケるかも」という勘違いをしていなかったら、今のこの時間はありません。

さて。

ずーっと応援してくださっている皆様には、(いつも本当にありがとうございます!)、今回のプペルの全米公開は、どのように映っているのでしょうか?
「いよいよかぁ…(感慨深い)」といった感じでしょうか?

なんとなく、そんな感じだと思います。
ちなみに、僕もそんな感じです。

ただ、冷静に考えてみると、一冊の絵本が大ヒットして(80万部)、
ミュージカルになり、
歌舞伎になり、
映画になって、
日本アカデミー賞をいただいて、
海を渡って、
海外の賞をいただいて、
ついには全米公開………これって、全然当たり前じゃないんです。

世界中を見渡しても、プペル以外で、ここまで拡がった絵本を僕は知りません。
なんか、絵本って本来、そういうものじゃないじゃん?

「プペルが今度は歌舞伎になりまーす!」というのも、僕らにとってはすっかり日常の風景になっていますが、この数年間、僕らが立ち会っていた時間が実は「奇跡」だったということを、最近、少しずつ気づき始めています。

今、とても強い光を浴びていますが、その裏では、相当の影が落ちていて、昨日は丸一日、宿泊先のホテルでウーウーと悶えていました。

今回のアメリカ遠征でたくさんの影響を受け、「強い絵本を作ろう」と意気込み、筆を握ったはいいものの、出てくるアイデアにいちいち「これじゃ、アカデミー賞に絡まないな」「これは、ミュージカルにならないな」とケチをつける始末。

「光の味を覚えてしまった男の哀れな末路」みたいな時間でした。

間違っちゃいけないのは、絵本『えんとつ町のプペル』を作る時には、そこまで見越していなかったということ。

ステージが上がるにつれて、作品のアップデートを繰り返して、今のプペルがあります。

それと、新作絵本を比べるなんてナンセンスの極み。そのことを頭では分かっているのですが、海を越えるにはどれぐらいの強度が必要なのかを知ってしまったので、簡単には筆が走らないのです。
「こんな作品(設定)じゃ飛べない」の連続。

結局、2021年のクリスマスイブは、サンタモニカのホテルから一歩も外に出ることはなく(※Uberでシーザーサラダを頼んだ)、1ミリも走らない筆とにらめっこして終わりました。

「頑張って結果を出せば解放される」なんて、ことエンターテイメントの世界おいては幻想で、常に、結果と相当の痛みが訪れます。
つまり痛みはどんどん大きくなっています。

この痛みを避ける方法は、挑戦の螺旋から降りる以外なく、そんなことをしたらきっと僕は退屈で生きていけなくなるので、今日も明日も明後日もホテルでウーウー言っときます。

少し湿っぽくなってきたので、最後に前向きな話をします。

「簡単に筆が走らない」は、厳密に言うと、筆が走っていないわけではなく、「僕が(その出来では)オッケーを出さない」ということなので、僕は苦しみますが、その分、新作のクオリティーは期待していただいていいと思います。

今度も、ファミリーで楽しめるファンタジーの冒険活劇を書こうと思います。
『ピーターパン』みたいな😁

そして、もう1つ。
今日から、新作絵本『ボトルジョージ』の制作が再開します。
坂の街の片隅で懸命に生きる男と少女と猫の物語です。

表向きは調子良く見えていますが、裏では毎日ヒーヒー言っています。
ストレスも、苛立ちも、焦りも、キチンとありますが、それでも、どっこい生きています。

きっと、今日のあなたも同じように踏ん張っているのでしょう。
励まし合いながら生きていけるといいなぁと思います。

それでは素敵な日曜日を。

【追伸】
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【追伸②】
Amazonプライムで『映画 えんとつ町のプペル』の配信がスタートしました。
レビューに感想を書いていただけると、西野が猫のようになつきます。
宜しくお願いいたします。

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このnoteは2021年12月26日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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