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安売りするときの条件とブランディングについて

このnoteは2020年4月22日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

おはようございます。
いいかげんドン引きしていただきたいのですが、コロナちゃんの対応をしながら、個人的には、映画1本と新作絵本3本を同時進行させているキングコング西野こと「体力神」です。

さて。

昨日、『スナック吉本』と『純喫茶よしもと』がスタートしました。
(※先に3~4日前の記事を遡って読んでください。よろ!↓)

オンライン飲み会や、オンラインお茶会は、飛ぶように売れて、追加で枠を作ってくれたダイノジさんや、房野君が値上げをしてくれて、メチャクチャいい流れだなぁと思っています。
これをしてもらえると、後輩芸人も価格を上げやすくなるので、救われる人が増えます。

他方、「ZOOMで人数を絞って参加権を販売するのイイじゃん!」となった吉本社員が、同じ『SILKHAT』内で、「吉村派遣会社」という、同じように、オンラインで楽しめる芸を人数限定で販売する企画を立ち上げて、それ自体は良いのですが、その中で『芸人の○○が相談にのる(限定7名)』というリターンを2000円で出していて、深夜3時に吉本社員にブチギレました。

僕はよく「ヒューマンエラーは無い。あるのはシステムエラーだ」と言っていますが、ヒューマンエラーは時々あります!

「そもそも何の報告もないのも問題だけれど、どういう意図があって、この値段設定にした?」と訪ねたところ、「若手芸人のお客さんだし、高い値段は払えないのかなぁと思いまして…」と返ってきました。

一見正しい言い分ですし、同じように考える方も少なくないと思うので、これによって、どれだけの人が苦しめられるかを今日は説明したいと思います。

安売りする際の条件

僕が『スナック吉本』の最低価格を5000円、『純喫茶よしもと』の最低価格を2500円にしたのは(規約を作ったのは)、参加費を5000円に設定したり、参加費を1万円に設定する行為を『悪いこと』にしない為です。

つまり、“参加者限定7名のオンライン○○”の「相場」を作ったわけですね。

そんな中、同じような条件で「2000円」で出されてしまうと、他の芸人が「5000円」や「1万円」に設定する別の理由(+αの価値)が必要になってしまいます。

その理由が無いと、2000円の芸人は「良心的」となり、5000円の芸人は「金に汚い」となってしまうわけですね。

どの業界でも、黒船的にやって来たライバル社が相場を壊しにくることはあるのですが(※戦略的に価格を下げて、体力の無い競合他社を倒産させて、市場を独占する行為を『ダンピング(不当廉売)』というよ)、今回は「なんで、吉本同士で殺り合ってるんだよ」です。

くわえて、限定7人のお客さん相手に「2000円」でサービスを提供してしまった芸人は、コロナ明けの『単独ライブ』の値段設定が苦しくなります。

「限定7人」のプレミア体験を2000円で販売してしまったので、300人に向けた単独ライブのチケット価格は、もう少し落とさなくてはいけません。
チケット代を2000円より下げると、劇場の固定費(レンタル費)は払えません。
待っているのは、「単独ライブをやればやるほど赤字が膨れ上がる」という地獄モード。

あと、一度、2000円で「限定7人」のプレミア体験を売ってしまった芸人は、もう1万円で売ることはできません。
相場が2000円となり、そこから吊り上げると「急に金に汚くなった」と言われるでしょう。
芸人という生き物は、お金に関するバッシングを徹底的に嫌います。

昨夜、吉本社員に伝えたことは一つ。

値段を下げたり、または無料化する時は、後にキャッシュポイントが設計されていて、それによって更なる利益が発生する場合のみだ

ここを考えずに、ただ値段を下げてしまうと、最終的に苦しむのは、働いても働いてもお金にならない芸人本人です。

ブランディングが苦手な国『ニッポン』

ここからの話は、自分で商売をされる方全員が共有しておかなければならないことだと思うので、そこそこ丁寧に話します。

まず僕らは『メーカー』と『ブランド』と『ブランディング』を明確に定義する必要があります。
これに関しては、いろんな方が、いろんな表現をしていますが、ザックリ要約すると、こんな感じです↓

メーカー: 製造元
ブランド: コンセプトのもとに製造された商品グループ名
ブランディング: 商品グループ名に価値を付けていく作業

 
このうち、日本人がブッちぎりで下手クソなのは、ブランディングです。

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