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日本人が世界のマーケットで戦う時の高い壁

おはようございます。
『まわり道(工事中)』の看板のところに立たれているスタッフさんに「ありがとうございます」と声をかけたら、すっごく喜んでもらえることを発見したキングコング西野です。
#試してみて
#想定の2000倍ぐらい喜んでもらえる
#明らかにコッチの取り分の方が大きい

さて。
今日は『日本人が世界のマーケットで戦う時の高い壁』というテーマでお話ししたいと思います。
ゴッリゴリのエンタメの話です。

日本は「大きな大きな島国」である

昨日は、ハリウッドで開催される『アニメーション・イズ・フィルム・フェスティバル2021』に『映画 えんとつ町のプペル』が正式出品作品として招待されたことが発表されました。


プペルの上映は現地時間の10月23日16時からです。
LA界隈のサロンメンバーさんの待ち合わせ場所になるといいなぁと思っています。
🌟↓

「ハリウッド」という響きが強すぎて、シレッと流れていますが、実はこの映画祭の裏で、アメリカでの公開も決まっています。

「他の国での映画公開」が一体どういった建て付けになっているのかを知らない方も多いと思うので(※僕も知りませんでした!)、あらためてザックリと説明すると、要するに「その国で映画を公開できる権利を、その国の配給会社に売る」です。

『映画 えんとつ町のプペル』は、韓国の配給会社に売って、フランスの配給会社に売って、アメリカの配給会社に売っているんです。

そう考えると、「だったら、海外で売れる作品を作った方がいいじゃん!」となるわけですが……どっこい、これがそんなに簡単に話が進まないのが我が国『日本』です。

これは以前もお伝えしましたが……まず、大前提として、日本って、めちゃくちゃデカイんです。
世界地図では、あんなに弱小感を出している日本ですが、映画市場だと、アメリカや中国に続き世界第3位です。

するってぇと、「生徒が5人の『隣のクラス』のやつを笑わせに行くより、身内ノリをブチかませて、生徒が100人の『ウチのクラス』を笑わせた方が(身内ノリのチャンピオンになった方が)コスパがいいじゃん」となるわけですね。

「ただし、全校生徒は7000人いる」という感じです。

有名な話ですが、韓国組なんかは生徒が少ないので、ハナから「隣のクラスを笑わせるネタを作るぞ!」となるわけですが、
日本組の生徒が「身内ノリ」を捨てて、隣のクラスを笑わせるネタにシフトチェンジした場合……笑う人数が減っちゃう場合があります。

つまり、日本のクリエイターが海外のマーケットを狙うのって、リスクが高いんです。

「0が100になる」という勝負じゃなくて、
「50が、100か0になる」という勝負なんです。

ここまでの話は、たぶん皆さんも、どこかで伝え聞いていると思います。

「共感」と「創造」

ここからが、(僕を含む)日本のクリエイターが抱えている難しい部分です。

結論を先に言っちゃうと、『日本は「共感」の取り分が大きくて、「創造」の取り分が小さい』です。

これは由々しき問題で、僕は当初「SNSがもたらした変化だ」と思っていたのですが、どうやらそんな一軸で片付けられる話ではなくて、そこには『大陸or島国』が絡んできているっぽいです。

そのうち日本も移民大国になりそうなきらいがありますが、しかしながら現状は、「同じクラスに違う国籍の子がいたら、好奇の目で見られる」といったぐらい、日本は、右も左も昔ながらの日本人です。

違う国の「宗教感」や「差別問題」に触れる機会が圧倒的に不足しているので、日本人の共感の対象はいつも日本人。

「日本人が、日本国内でおこなっていること」には興味を示しますが、
「日本人以外が、日本国外でおこなっていること」にはなかなか興味を持てず、
さらには、
「日本人が、日本国外でおこなっていること」にも、なかなか興味を持てません。

唯一、日本でおこなわれていることの延長にあるもの(※たとえばメジャーリーグ)での、日本人の活躍には、興味の針が振れます。
「まだ、想像できる」といったところ。

世界のスポーツの競技人口ランキングは、【1位】バレー、【2位】バスケット、【3位】卓球、【4位】クリケット……といった感じですが、どれも日本では(あまり)テレビ中継されていないスポーツなので、そういった「世界のメジャースポーツ」で日本人が活躍したとしても、なかなか話題になりにくい。

極めつけは、今年の『カンヌ国際映画祭』です。
今年のカンヌの脚本賞は、日本人が受賞したのですが(本当に素晴らしい!)、その日本人の名前を言える日本人は100人に一人もいないと思います。

ただ、ホリエモンが餃子屋と口論になったことは知っている。

想像がつかない(共感ができない)『海の外の話』になった瞬間に、一気に他人事で、島国バンザイ。

『「隣のクラス」を笑わせることに成功したと思ったら、「ウチのクラス」の生徒が笑っていなかった』みたいなことが起きていて、国内需要と海外需要がトレードオフの関係になることがある…という話です。

なので、「世界的に評価されているのに、日本では食っていけない」みたいな、おかしなコトが起きてしまう。

日本のクリエイターは「国内の共感を集めた方が美味しいよね」という強い重力と戦わなければならず、なかなか厄介な呪いを背負っています。

ただ。
嘆いたところで、何も変わりません。

日本人が海外の活動に共感できない理由は「想像できないから」なので、世界展開を進めながら、日本人女性好きの僕は、「今度は、あの国で○○をしますよ」「あの国では△△という文化があって…」というアナウンス(説明)を、しっかりと国内に発信していこうと思います。

10月23日の『映画 えんとつ町のプペル』の全米プレミアに参加される方は、現地の様子を写真に撮って、送ってくださいな。
「ハリウッドは今、こんな感じだよー」ということを、日本の皆さんに届けたいです。
宜しくね❤️

現場からは以上でーーーす。

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このnoteは2021年9月24日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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