DXとAIが作る「身も蓋もない世界」に備えろ【キンコン西野】
僕らに残された仕事は『愛嬌』や『キュレーション』や『編集』になる
ジワジワと認知を拡大している、兵庫県川西市にありますキンコン西野の家(通称:見上げる家)に、一昨日、堀江貴文さんが遊びに来られて、そこで1時間半ぐらい喋ったんです。
詳しくは、堀江さんがやられている『ホリエモンCH』で確認していただきたいのですが…そこで堀江さんが言われていたことで、「ホントにその通りだな」と思うことがあったので、今日は、その部分を抜粋して、皆さんに共有したいと思います。
堀江さんが言っていたのは、「まもなく世界は身も蓋もなくなる」ということなんですけども、これ、僕も本当に痛感していることで、たとえば、堀江さんだと、今、『堀江屋』というラーメン屋さんと、『小麦の奴隷』というパン屋さんをやっていらっしゃるんですが、これ、どちらもセントラルキッチンなんですね。
要するに、「店舗で仕込まずに、工場で一括で調理して、お店に運ぶスタイル」ですね。
「麺を茹でる」や「トッピングを載せる」とか、「パンを温める」といったのが店員さんの仕事で、ラーメンを作る専門的な技術や、パンを焼く専門的な技術を要しない。
それでいて、工場で一括で作ってるから、味のブレがないんですね。
当然、このスタイルを嫌う人はいるんです。
「ラーメンはお店で一から作るものだろ」的な。
そういう人はそういう人でいていいと思うのですが、でも、大半の人は「美味しいものを食べられたらイイ」と考えている。
ほとんどの人にとって、製造の動線はどうだってイイんですね。
そうなってきた時に、店員さんに求められるのは「料理の技術」よりも、「愛嬌」とかになってきて、今日もどこかで「だったら、あの厳しい修行の日々は何だったんだ!」と涙している職人さんがいる。
同じようなことが今、いろんなところで起きていて、その最たる例が「AI」です。
今は絵も「AI」で描けてしまうし、音楽も「AI」で作れてしまう。
たとえば、一昨日からCHIMNEYTOWN DAOがスタートさせた新しいNFTプロジェクト『CHIMNEY TOWN Landscape』はAIが描いた絵を販売していて、そして、売れています。
厳密には、「クリエイターさんがAIを使って描いた絵」ですね。
この時、そのクリエイターに求められているのは「画力」じゃなくて、「AIに指示を出す力」と「AIが大量に描いてきた絵を選ぶ力」です。
子供の頃から絵画教室に通って、美大まで通い詰めた人からすると、「ふざけるな案件」なんですけども、でも、贔屓目抜きにして、そのAIを使った『CHIMNEY TOWN Landscape』の絵って、すごく素敵なんです。
opensea.io/ja/collection/chimney-town-scoop
他にも今、noteで『映画 えんとつ町のプペル』の続編の脚本を公開しているのですが、ここでは、毎日、お客さんがAIで生成した「挿絵」が追加されていっているんですね。
こういうのは「コンセプトアート」と言われたりしますが、コンセプトアートは「このシーンは、大体、こんなイメージ」ということを伝えるのがお仕事で、その領域に関しては、一人の人間がせっせと描くよりも、AIで大量に描かれたイメージ図の中から選ぶ方が、イメージに近いものが出てきたりする。
つまり、コンセプトアートを描く職人さんの出シロが確実に削られてるんですね。
作曲も今はAIがやってくれるようになっていて、そこで求められるのは「作曲能力」じゃなくて、「AIに指示を出す力」と「AIが出してきた曲を整える力」です。
DXやAIが進めば進むほど、僕らに残された仕事は、『愛嬌』とか『キュレーション』とか『編集』とかになってくる。
AIに対抗するのではなく、AIと共存する方向で進めなければいけない
これは美大とかでちゃんと教えてあげた方がいいと思うんですけども、たとえば、『重厚感のあるシャンデリア』を描こうと思った時に、「画力」が必要なのか、それとも、AIに「シャンデリア オペラ座の怪人」と指示を出せる「知識」が必要なのか?…という問題が出てきています。
今日の話は、「後者のニーズが上がってきてるどころか、そうやってAIで作られたものが、もう売れ始めてますよ」という話です。
次の展開としてあるのは、「AIが描いた絵を見て、AIが作った曲を聴いて育つ子が出てくる」という流れ。
AIが描いた絵を見て、「僕も絵描きになろう」と考える子供が必ず出てくる。
当然、AIが描いた絵を見て、「僕もこんな絵を描きたい」という感じで、「好み」にまで影響してくる。
その時、その子がイメージしている「プロの絵描きさん」というのは、もう、筆を持ってないかもしれない。
いずれにせよ、この流れはもう止まらないので、僕らは受け入れるしかない。
AIに対抗するのではなく、AIと共存する方向で進めなければいけない。
「あなたが長年かけて獲得したその技術、必要ないです!」と言われる日は、ある日、突然やってくるので、このへんはキチンと備えておいた方がいいと思います。
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