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コンテンツメーカーの権利とお金

おはようございます。
昨日、ドーハの映画祭で子供達からインタビューを受けたのですが、「何から影響を受けて、この作品を作られたのですか?」という質問を三人連続でされたので、絶対に、通訳さんが間違っていると思っているキングコング西野です。
 
さて。
今日は『コンテンツメーカーの権利とお金』というゴリゴリのテーマでお話ししたいと思います。
具体的な金額を言っちゃうので、今日の話は、一年後もナイショで宜しくお願いします。
 

無知(選択肢不足)が生む苦労
 

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』がまもなく始まります(11月14日から)。
 
※オンライン配信チケットはコチラ↓

制作は佳境に入っており、制作の舞台は稽古場から、劇場へと移りました。
昨日、舞台セットの建て込みが終了し、今日は丸々一日かけて照明作り。
#もちろん今日一日では終わりません
 
作品は、かなり仕上がっておりまして(※西野が「仕上がっている」という時はブッチギリに仕上がっているよ)、早く皆様にお届けしたくてたまらないのですが、今日は作品の内容(※演出などの話)は横においておいて、とっても大切な『お金』の話をしたいと思います。
 

 
僕はプロデューサーではないので、細かい数字までは知りませんが、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の制作費は1億4000~5000万円だそうです。
 
10年前であれば、舞台(ライブ)の予算を回収するには「グッズ売上」「チケット売上」しかなかったので、1億5000万円と聞くと「うっ…」となっていましたが、今は、全人類がスマホを持っていて、お客さんの一人一人が動画を観れる時代なので、ぶっちゃけ、舞台の権利さえ握っておけば、1億5000万円の回収は超イージーモードです。
 
さて。
ここで、『サーカス! ~世界で一番楽しい学校~』のビジネスモデルについてお話しします。
#ナイショだよ
 
先日おこなわれた『サーカス! ~世界で一番楽しい学校~』のユニークなところは、「出演者に出演ギャラが支払われていない」という点です。
#支払われていたとしても
#お気持ち程度
 
じゃあ、あれだけのメンツが「友達のよしみ」で出演しているのか?というと、実はそうでもなくて……「出演ギャラ」をお支払いしない代わりに、「出演動画」をお渡ししているんです。
 
「武道館で喋った動画(登壇者の出演部分)をイイ感じに撮影&編集しましたので、お好きに使ってください」といった感じです。
 
ホリエモンもローランドさんも自分でメディアを持っているので、その動画を販売することもできますし、その動画を自分の広告に使うこともできる。
結果、「出演ギャラ」よりも大きなお金を生むことができるわけですね。
 
『サーカス!』の出演者は、単発のギャランティよりも、権利を持つ方が強いことをよくよく知っているので、二つ返事でOKです。
#とはいえ友達のよしみですが
 
んでもって、面白いのが『サーカス!』は、“イベント終演後”に「オンラインチケット(アーカイブ動画)」が数千枚売れました。
#こちらはイベント丸々一本分の動画
 
イベントの噂を聞きつけた方が買ってくださり、そして、“イベントに来てくださった方”が『おみやげ』として買ってくださいました。
 
ちなみに僕は『サーカス!』は、ただの趣味でやっているので、オンラインチケットの売上(パーセンテージ)は受け取っていませんし(※変態かよ!)、自分の出演分の動画はカジサックに丸々プレゼントしました。
#カジサックがメチャクチャ喜んでた
 
どちらの権利も受け取っていれば、僕の肌感だと2000~3000万円ぐらいは作れていたと思います。
 
ちなみに、僕がOWNDAYSさんであれば、オンラインチケットの売上の50%をキンコン西野に渡して(西野の取り分を設計して)、西野にガンガン宣伝させます。
その方が自社の売上が大きくなるので。
 
西野の取り分を設計していれば、きっとココに『サーカス!』のオンラインチケットの販売リンクを貼っていたことでしょう。
そういうことです。
 
オンラインサロンなのでゴッリゴリにシビアな話をしますが、「出演者に出演動画を渡す(成功)」「最も宣伝力のある西野にオンラインチケットの売上の権利を握らせることを忘れている(失敗)」…といった成功や失敗から見られるとおり、動画時代の今は『動画の権利の扱う技術』が、舞台(ライブ)のコンテンツメーカーに求められています。
 
僕がファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のプロデューサーならば、もろもろの権利を整理して、公演終了後は、自前のYouTubeチャンネルのメンバーシップ(月額)に、公演動画をアップするでしょう。
 
原価がゼロ円なので、あとは売れれば売れるほど制作費の回収に充てられます。
 
「メンバーシップ(月額)」といっても、この場合、次回作の公開は数年後になるので、(よっぽどの支援者じゃないかぎり)都度都度、退会していただくことになり、結果的に、作品一本あたりの売上になり、「オンライン配信チケットを皆がYouTubeで販売する」という状態になります。
 
“普段使っていない動画プラットフォーム”で買うより、YouTubeの方がよっぽど買いやすい(売りやすい)でしょう。
 
ちなみに、ここだけの話ですが……西野のYouTubeのメンバーシップとVoicyのプレミアムリスナーの売上は、二つ合わせると年間に1億数千万円になります。
 
西野はすごくイイ奴なので、これらを全額、会社に入れています。
 
西野の2週間に一度の飲み会と、寝起きのウダ話ですら、『権利』を握っていればその調子なので、内容がたしかなミュージカルとなると、やっぱり予算の回収は超イージーモードです。
 
ただ、こういった予算問題は、選択肢(知識)を持たない舞台人にとっては、「どうやって回収すればいいんだぁー!」という難題であり、世の中のほとんどの問題は「無知(勉強不足)」が引き起こしています。
 
以前、呑み屋で舞台人に「それだけの手札を揃えていて、なんで苦戦するの?」と言ったら、そこそこ怒られたので(無知を指摘すると怒られる)、この問題は少し長引きそうです。
 
でも、守りたいものがあるなら、勉強した方がいいよ。
「知らなかった」は罪だよ。
知ることはできたのに、知ろうとしなかったせいで、身内スタッフや家族を苦しめているわけだから。
 
なので、皆で勉強しましょう。
 
現場からは以上でーす。
 
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けてTwitter(本アカ)で呟いていただけると、西野がネコのようになついて、フォローさせていただく場合がありますので、感想よろ!

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このnoteは2021年11月10日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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