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日曜日なので、ボンヤリと思っていることをお話ししたいと思います

どうも西野です。
今日は日曜日なので、仕事の(具体的な)話はお休みして、今、ボンヤリと思っていることをお話ししたいと思います。

行き当たりばったりで話すので、うまくまとまらなかったらゴメンナサイ。

友達と遠くに行く


今日の24時(18日の0時)に、『映画 えんとつ町のプペル』の再上映(舞台挨拶回も含む)のチケットが発売されます。
#詳しくは各劇場のHPにて

昨日のVoicyでもお話ししましたが、「映画の再上映」はやはり簡単なことではなく、吉本興業のバックアップ無しには実現できませんでした。
退所後も、映画の再上映に限らず、「ドライブインシアター」や「DVD制作&販売」で何度もフォローしてくれた吉本興業には感謝しかありません。

「製作委員会(をとりまとめてる会社)なんだから、当たり前だろうよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、担当してくださっている社員さんは決して「流れ作業」などではなく、とても真摯に向き合ってくださっています。

こうなってくると、「なんで、吉本を辞めたの? いい会社じゃん!」という話になってくるのですが……自分の気持ちに耳を傾けてみると、それでも辞める理由がありました。

(※ここから先の話はナイショです)

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、吉本興業はマネージャーが(定期的に)コロコロ代わります。

芸能の世界では「人と人の仕事」が多く、「あの人と仕事をしたい」なんてのは普通にありますし、「今度、○○さんがオススメする人と仕事をしてみる」も普通にあります。
ピースとキングコングを担当するマネージャーから、「今度、ピース又吉さんの特集があって対談相手を探しているのですが……ちなみに西野さん、興味あったりします?」という話を持ちかけられたりもします。

なので、

「関係を広げる」という点では「マネージャーがコロコロ代わる」はメリットも多く(※この恩恵を受けている吉本芸人はたくさんいると思う)、僕も、テレビタレントをやっていた頃は、さして気にならなかったどころか、僕の知らないところで、助けられていた部分もたくさんあったと思います。

ただ、

『作品作り』となると話は別です。
クリエイティブの現場では、「関係を広げる」も大事なのですが、「関係を深める」もとっても大事で、上の方に行けば行くほど、「1を言えば、100を汲み取る人(関係を深めた者)」だけで回っていたりします。

相手の気持ちを察して動くには当然「センス」も必要なのですが、「共に過ごした時間」もやっぱり必要で、僕にしか分からない梶原君や、梶原君にしか分からない僕がいます。

「クリエイティブの仕事のマネージャーがコロコロ変わる」だと、たしかに新しい繋がり(可能性)はたくさん生まれますが、しかし、その奥までは行けません。

関係が広がった方がいいのか、それとも、関係が深まった方がいいのか……それはきっと、どちらも正解で、「タレント」として生きるか、「クリエイター」として生きるかによっても、変わってくるものだと思います。

映画制作というのは本当に時間のかかる仕事です。
ミュージカル制作も、歌舞伎制作も、絵本制作も、そう。
厄介なことに、クリエイターは総じて「気分屋」で、いとも簡単にヘソを曲げるので( #お前が言うな )、頼み方一つ、話す順番一つで、前にも後ろにも進みます。

作品が完成するまでには、たくさんの苦労があって、衝突があって、誤解があって、理解があって……まさに「苦楽」を共にし、そのチームの年輪が作品となります。

僕の場合は映画の制作が佳境に差し掛かっている時に、現場マネージャーが代わったのですが、それは「M-1グランプリ」の直前に相方が代わるようなもので、その相方がいくら優秀であっても、そういうこっちゃなかったりします。

マネージャーがコロコロ代わることの、メリットやデメリットを挙げていけばキリがありません。
僕はプロですし、おそらく大人なので、「制作途中にコロコロとマネージャーを代えないでください」とお願いする時は、代えないことのメリットと、代えることのデメリットの両方をお伝えします。

作品や商品やサービスに思い入れが無い人(共に過ごした時間が無い人)に任せる「広告」ほどコスパの悪いことはなく、「作ったので、あとは売っといて」が通用する世界ではありません。
リアルな話をすると、営業時間外も、四六時中、作品のことを考える人の作品じゃないと、世間からは見向きもされません。
ここまで話すと、マネージャーをコロコロ代えることのデメリットは想像に難くないでしょう。

ただ、きっと、これは吉本興業を退所した「表向きの理由」で、本当のところは寂しかったんだと思います。
世界に通用する作品を絞り出す毎日。さらには、映画公開のタイミングでコロナに襲われて、その中で、あらゆる可能性にアタックする毎日。
勿論、寝る時間なんてありませんでしたし、必死でした。
そんな中、事務的な対応が続いて(会社としては、事務的な対応せざるをえない)、どこかで「この作品を作りたいのは僕だけかよ? 本気で世界に出ようとしてるのは僕だけかよ?」という想いが積もり、寂しくてたまらなくなったのだと思います。

次も作品を作る時に、また、この類の寂しさを味わうことになるのかなぁと思ったら、もう耐えられなくなって、事務所を退所しました。
くれぐれも、これは事務所批判ではなくて、「そもそも向いている方向が違う」というだけで、悪いのはむしろ僕の方です。
「テレビに出るタレントを扱う事務所です」と公言している事務所に入っておきながら、「そんなことよりも、世界で戦える作品を作りましょう」という無茶を言っているわけですから。

今、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』を作っています。
新作なので、答えは無く、ひたすら答えを探る旅です。
チームの結束は日に日に強くなってきていて、役割分担もできてきています。
稽古終わりは、いつも主演の吉原光夫さんが残ってくださって、そこでディスカッションを繰り返しています。
それは学生時代の文化祭のようで、僕は子供の頃から、この「友達と力を合わせて遠くに行く時間」が、好きで好きでたまりません。

今度こそは、この時間が、ずっと続くといいな。ホントに。

今日は24時から、『映画 えんとつ町のプペル』の再上映のチケットが販売されます。
ひどい寝不足ですが、起きていたら、その時間に合わせてYouTubeの生配信をしようと思います。
「チケット取ったよ〜」
「おお!ありがと〜!劇場で会おうぜ〜」
という、同じ時代を生きているお客さんとの時間も大切にしていきたいです。

それでは稽古に行ってきます。

素敵な日曜日を。

西野亮廣(キングコング)


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このnoteは2021年10月17日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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