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知れば知るほど奥深い、『家具修理』の世界 part 2

ひとつとして同じものがない『家具修理』

ものづくりが好きな仲間が集まりスタートしたenstol。木工・塗装・椅子張りの職人全員が家具修理の経験があり、家具はきちんと直せばその先もまた長く使い続けられることをよく知っています。

enstolの家具修理の流れは下記のとおり。
1.お電話・メール・ご来店にてヒアリング
2.家具のお写真または実物を拝見して確認
3.お見積もり
4.ご成約
5.施工
6.完成した旨ご連絡、お支払
7.お引取りまたはお届け
工場には常に修理を待つ家具が並び、オリジナル家具製作と並行して修理の作業が進みます。

「家具修理」とひとことで言っても、家具の種類もお客様のご要望もさまざま。
予想通りにいかないこともしばしばありますが、そのたびに職人同士で知恵を出し合い、お客様に喜んでいただけるよう切磋琢磨しています。
そうして修理が完了した家具を見てお客様に喜んでいただけた時は、安堵とともにこちらの喜びもひとしおです。

家具修理の背景にある、それぞれのストーリー

家具の種類や修理の内容もさまざまなら、お客様が修理を依頼される"理由"もまたさまざま。
修理のご相談を承るなかで、その”理由”をお伺いし、驚いたり、心を打たれたり、あたたかい気持ちになることが多々あります。
そこで今回は、家具を修理して使い続けることを選んだお客様の背景にあるストーリーを、いくつかご紹介いたします。


case.1 キッズチェアの張り替え

キッズチェアの座面の張り替えを承りました。
ご依頼主が幼少期にご使用になったキッズチェアを、ご自身のお子様がお使いになるためきれいにされたいとのご相談でした。

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フレームは特段傷みもガタつきもなかったので、修理内容は座面の張り替えのみ。
座面は明るいイエローの張地で張り替え、中身のウレタンも新しいものに交換しました。
お引取りの際、ご一緒に来店されたご依頼主のお母様がいちばんお喜びになられていたことが印象的でした。ご依頼主がこのキッズチェアを使われていた頃を思い出されたのかもしれません。


case.2 テーブル・椅子の補修

京都の老舗カフェ「フランソア喫茶室」様より、お店のリニューアルにあわせてテーブルや椅子などの補修のご依頼を承りました。

昭和9年(1935年)の創業以来、多くの文化人をはじめ京都の人々に愛され続けているフランソア喫茶室様。
クラシック音楽が流れ、ステンドグラスや数々の名画に囲まれた優雅な空間には、昭和初期の空気がそのまま流れ続けているかのようです。

その空間を保ちつつ、お客様に快適に過ごしていただけるように。創業から80年の間で、どの家具も何度か修理を繰り返しながらずっと使い続けていらっしゃるそうです。

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テーブルは古い塗装を剥がしてから明るいブラウンで再塗装しました。
傷や色褪せを解消しつつ、補修前の雰囲気を残した仕上がりに。

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椅子類は以前ご使用のものと同じ、クラシカルな花柄の生地で張り替え。
座面中身のバネやウレタンの不具合を解消し、見た目はそのままに、ふっくらとした座り心地が蘇りました。


case.3 扉の凹み傷の補修

クローゼットの扉についた凹み傷の補修を承りました。
ご依頼主は賃貸物件にお住まいで、傷は小さなお子様がつけてしまったもの。
退去にあたり、傷をきれいに直してほしいとのご依頼でした。

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職人が現地にお伺いしてその場で修理を行う「出張補修」にて施工。
凹み部分をパテで埋め、筆で木目を描き周囲に馴染ませて傷を消しました。

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小さなお子様のほかにも、難しい年頃のお子様が衝動的に家具に傷をつけてしまったり、壊してしまったりというケースもしばしばご相談いただきます。
「そのまま放っておくことも、処分して買い替えることもできるけれど、きれいに直った姿を子どもが見たら、ひょっとしたら何かが伝わるかもしれない」。ご相談に来られた際、そんなふうにおっしゃっていたお客様の言葉が記憶に残っています。


case.4 テーブル&椅子の脚カット

ダイニングテーブルとダイニングチェアの脚をカットして、高さを低くするご依頼を承りました。
ご依頼くださったのは身長の高いご主人様&ご子息と小柄な奥様のご家族で、身長差なんと38cm。
ご主人様とご子息にはちょうど良いダイニングセットの高さも、奥様には少々高すぎたそうです。
ご子息の結婚を機にご夫婦お二人での生活になったことから、奥様の身長に合わせてテーブルと椅子の高さを変更したいとのご相談でした。
「長年妻には不憫な思いをさせたから」、とご主人様。

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好ましいとされる座面の高さは、椅子に奥まで腰かけたときに足裏全体が床に接している状態。
ご来店いただき、奥様の体格にあわせて椅子の脚をカットする長さを計測。椅子にあうようテーブルの脚もカットしました。

家具修理を通じて、人々の暮らしにひとときのわくわくする瞬間を生み出す

なぜ修理を希望されるのかをお聞きしないままご依頼を承ることも、もちろんたくさんあります。
むしろ、「傷んできたから」「使い勝手が悪いから」といったような、ごくシンプルな"理由"であるケースのほうが多いかもしれません。
いずれにしても「家具を直してまた使い続けたい」と思い、わたしたちに家具を託してくださるお客様に接するたび、嬉しく思うことに変わりありません。

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enstolのスタッフがスタート時から共有している想いは『ものづくりを通じて、人々の暮らしにひとときのわくわくする瞬間を生み出す』こと。
お客様がきれいな姿になった家具に対面した瞬間や、日々の暮らしの中でその家具に触れる瞬間に、心は豊かな感情で満ちるように思います。

ものづくりを通じて「心豊かな瞬間」をお届けできるよう、わたしたちはこれからも家具をつくり、直し続けます。

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