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医王と呼ばれる仏さま。

今日は薬師如来のご縁日。

薬師如来といえば疾病消除なので、
このコロナ流行の中でかなりよく拝まれている仏さまです。

お薬師さまは薬師瑠璃光如来とも言われ、
東方の瑠璃色の光に満ちた浄土にいらっしゃる仏さま。
その瑠璃色の光で衆生の病苦を除いてくださる方として
信仰を集めています。

薬師如来さまが仏になる時に12の誓願を立てられましたが、
それは
お釈迦さまと同じ相をその身に現す
衆生のいろんな望みを叶える
欠乏感を感じさせないくらいいろんなものを与える
大乗のさとりを得させる
修行させて悪趣に落ちないようにする
姿形を美しくし、病苦・病気を除く
女性を男性に生まれ変わらせて成仏できるようにする
邪見を除き正しいものの見方をするようにしてさとりへ導く
災難や刑罰やいろんな苦しみから免れる
飢え渇いているものはお腹いっぱい食べられる
仏教の教えを与えて満足させる
綺麗な服や宝物など求めるだけ与える
といった内容。

如来にしては珍しく現世利益を多く叶えてくれる方。
奈良時代から重視され、国家鎮護の仏さまとして
さまざまな大寺にご本尊として祀られています。

まだ医療技術が進んでいなかった時代には、
病気はたちまち人の命を奪ってしまう恐ろしいものでした。
医者もたくさんはいませんし、薬もなかなか手に入らない。
そういう時にはもう仏さまを頼るしかすべがなかったのでしょう。

お薬師さま以外にも多くの仏さまが除病をその功徳とするのは
そういった時代を反映していた部分もあります。

祥鈴庵でもお薬師さまは大切にしている仏さま。
例によってお像はないのですけどね。
毎月8日には修法してご供養します。

お薬師さまの大呪の中に出てくる「べいるり」という言葉は
サンスクリット語の「バイドゥーリヤ」の音写。
これは瑠璃という青色の宝石とその色を指す言葉。
古来はエメラルドのような緑色を指すそうですが
時代が下がるにつれラピスラズリの瑠璃色のイメージに
変わってきたそうです。

お薬師さまの修法を行うと、やはり瑠璃色の光がたゆたうような
イメージが湧くことが多いですが、イメージの中の色は
やはり澄み切った夜空のようなラピスラズリの瑠璃色。
その中にプラチナ色の日光・月光菩薩がおられる感じですね。

お薬師さまは脇侍に日光・月光菩薩を、
ご眷属として十二神将を代表とした夜叉群を引き連れておられます。
おそらくこの夜叉たちが働いて疾病を消除するのだろうと思います。

疫病をもたらす疫鬼も夜叉。蛇の道は蛇と言いますが、
夜叉の道は夜叉ということなのかも。

大変霊験あらたかなお薬師さまがおられるお寺の友人が
「うちに精神的にバランスの乱れた方がよくお参りに来られるのは
 お薬師さまの助けを求めておられるのかなと感じる」
という話をしてくれました。

最近はどうもお薬師さまは肉体の疾病よりも精神疾患の方が
お得意になったらしく、同じような話をいろんなところでよく聞きます。

お薬師さまの別名は「大医王」「医王善逝」とおっしゃいますが、
これは煩悩や執着という衆生の心の病を癒す仏法という薬を与える
優れた医者である仏、という意味。

手に持つ薬壺から取り出す薬は、迷いの病を癒し
本来のさとりという状態に回復させるためのもの。

それを思うと、もともとお薬師さまは精神的な病を除くという
功徳をお持ちと考えた方がいいのかもしれません。

コロナの疾病消除とともに、それに伴う心の不安や痛みも
お薬師さまはケアしてくださいます。
心身ともに助けになってくださるので、何かの時には
ぜひ頼ってみてくださいね。


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