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いつもなら今日から結縁灌頂だったはず。

今日は憲法記念日。
そして、いつもなら高野山の春の胎蔵界結縁灌頂の初日です。
コロナのため、去年から中止。
まあ、あれすごい密ですから仕方ないですけど。

しかし結縁灌頂は密教らしい重要な行事。
また皆さんに結縁していただきたいと願っています。
ちなみに何度重ねて授かってもいいんですよ。
その分功徳が積まれますので。

結縁灌頂はお大師さまの一代記の前半のクライマックス、
唐で授かった結縁灌頂で投華得仏したら
金剛界も胎蔵界も大日如来だった!というあれです。
密教ならではの儀式ですね。

ちなみに投華得仏とは、曼荼羅の上に花を投げて
落ちたところの仏さまとご縁を結ぶこと。
なので「結縁」灌頂と言います。
真言密教に心を寄せる方は最初にここから始められるといいです。

結縁灌頂の他に、お坊さんになる人が受ける伝法灌頂、
伝燈大阿闍梨になる方が受ける学修灌頂などが高野山では行われています。

結縁灌頂は僧俗問わず授かることができます。
お大師さまが帰朝後、弘仁三(812)年に高雄山寺で行なったものには
最澄さんなどの天台宗の方、和気氏などの貴族も入壇されています。

お大師さま自筆の国宝、灌頂歴名にそれが残っています。
神護寺にお参りすると、金堂で写しを拝見することができますよ。
最澄さんがどなたと結縁したかもわかっちゃいます。

どういうことをするのかというと、…えっとですね。
これは大変重要な儀式ですので、内容については詳しくは
入壇していない方には話してはいけないことになっています。
とはいえ上でちょっと言っちゃってますけど。

友人をご案内したり、ご縁あるお寺の信者さんたちの団参に
ご一緒させていただいたりとわたしも何度か入壇しましたが、
授かるたびになかなか奥深い行事だなあ…といつも感動します。
壇上伽藍の金堂の内陣に入れるというだけでも超レアな体験ですしね。

現在でこそ毎年のように行われている行事なのですが、
昔は一生に一回、授かることができるかどうかというものでした。
それを思うと、ここ二年停止しているとはいえ
その気になればいつでも授かることができるという現代は
非常にありがたい時代だなあと思います。

実は2017年9月にNHKの「ブラタモリ」で高野山が紹介されたのですが、
その年の秋の金剛界結縁灌頂から、例年にない多くの方が
結縁灌頂を授かりにいらっしゃるようになりました。

お手伝いに行った友人の大学生阿闍梨たちが、
「今年のケチカンまじヤバいっす…」
というほど。

思えば、ご縁のある方はこの時前倒しで授かられたのかなあ…と
今になって思ったりします。

今年の秋、また来年の春には開壇できるようになるのでしょうか。
その日が来ることを心から祈ります。

5月3日から5日の胎蔵界結縁灌頂、
10月1日から3日の金剛界結縁灌頂は日程が固定になっています。

どちらも気候の良い時期で、お参りするには最適。
5月は残りのボタン桜としゃくなげが美しいですし、
10月は紅葉には少し早いですが、夜は奥の院万灯会が行われ
幻想的な雰囲気の中お参りすることができます。

いつかまた、その時には山上に仏さまとお大師さまに
会いにいらして下さい。

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