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「ペール・ギュント」って何ですか??

グリーグ作曲の「ペール・ギュント」。これはもともとイプセンという劇作家による戯曲で、作者本人から依頼を受けたグリーグが伴奏音楽として作曲したものです。
オーケストラの楽器を演奏している人でも、あらすじを知っている人はそんなにいません。11月19日のSAKURAの演奏会で取り上げるにあたり、あらすじをまとめてみましたのでご覧ください。



ペールは落ちぶれた豪農の一人息子

ペールは母親のオーセと共に暮らすニートです。祖父の代まで豊かだった家は、アル中の父がすっかり財産を食いつぶしてしまい、今では見る影もありません。ペールは父親譲りの怠惰な人間で、口を開いたと思ったら、何の根拠もないホラ話ばかり。仕事もせず、あちこちでトラブルを起こしては母親のオーセに叱られる毎日です。

ある日、ペールはかつての恋人であるイングリッドの結婚式があることを聞きつけ、呼ばれてもないのに式に乱入します。当然、トラブルメーカーのペールに誰も近寄る訳がなく、あいつは何をしに来たのかと周囲から怪訝な目でみられる始末です。結婚式の参列者の中にいたソルヴェイグに心惹かれますが、イングリッド(ペールの元恋人)の結婚を快く思わないペールは、結婚式の場からイングリッドをさらっていってしまいます。

当然村人たちは大騒ぎでペールを捕らえるべく動きますが、ペールはノルウェーの野山に分け入り村人たちをかわします。

山中をしばらくさまようペールですが、一晩たっても結婚式で見かけたソルヴェイグのことがどうしても頭から離れません。イングリッドはペールを何としても引き留めようとしますが、イングリッドに飽きたペールは彼女を山中に捨て去ります。


魔王の娘に手を出す

イングリッドをさらってしまった手前、故郷に帰ることができないペールはそのまま山の中をさまよいます。程なくして、一人の緑色の服をまとった少女に出くわします。彼女はトロルのドブレの国(魔王の国)の王女でした。ペールは彼女に結婚を申し込み、ドブレの国の王になる事をもくろみます。

山の上の宮殿ではペールを裂いて食べてしまおうとするトロルたちが手ぐすねを引いて待っています。トロルはあるものは頭が三つ、尻尾が生えていたりと、どれも不気味な風体です。

ペールは王宮につき、魔王に娘との結婚を申し込みます。魔王は娘との結婚にあたりペールに様々な要求をします。ドブレの国の飲み物を飲み、尻尾を付けるところまではよかったのですが、最後に要求されたのは目をひっかき傷をつけること。

さすがにこれは勘弁してほしいと及び腰のペールに対し魔王はそんな軟弱な奴に娘は渡さんと大激怒。魔王につられていきり立つトロルたちに追い掛け回されます。トロルに捕らえられようとした瞬間に、朝が来て教会の鐘の音が鳴り、魔王の宮殿は脆くも崩れ去り、ペールは命からがら逃げ去ります。


行く当てもなく山の中をさまようペールは、粗末な小屋を建てそこを拠点に暮らします。すると、そこにイングリッドの結婚式でペールが心惹かれたソルヴェイグが、家族、友人を捨て去りやってきたのでした。ペールは喜んでソルヴェイグを迎え入れますが、そこに魔王の娘が、ペールとの子供を連れて現れます。
ソルヴェイグと一緒になるなら、トロルの魔法を使って邪魔をする(!)とペールを脅迫します。ソルヴェイグと一緒に暮らす資格がないと悟ったペールは、ソルヴェイグの身に危険が及ばないよう、彼女の元を去り旅に出かけます。

道すがら故郷に立ち寄ったペールですが、そこには老いた母のオーセが臨終のときを迎えていました。死を恐れる母に、ペールは得意の優しい空想話を聞かせ看取ります。まるで眠りに入るかのような穏やかな最期でした。


遠くアフリカへ。奴隷の売買で材を成すが…

時は流れて、ペールはアフリカのモロッコにわたり、奴隷の交易で莫大な富を築きます。
懇意にしている取引先をもてなすべく船をチャーターしクルーズに出ますが、なんと取引先は船に乗せてあったペールの全財産を奪ってペールを放り出し逃走を図ります。そうこうするうちに、ペールは砂漠の真ん中に打ち捨てられ、失意のどん底で朝を迎えます。
思い返すのは故郷のノルウェーでの暮らしと、山の中の小屋に置いてきたソルヴェイグのことばかりです。

あてもなく砂漠を彷徨うペールですが、洞窟に入ると、盗賊が盗品を並べて儲けを計算しているところでした。ペールを見た盗賊たちは慌てて逃亡、ペールは思いがけず財産を得て、今度は怪しい占い師を名乗ります。

とある部族のもとを訪ねたところ、その部族の娘であるアニトラにペールはぞっこんになります。アニトラは妖艶に踊りペールを誘惑、しまいにはペールの財産を根こそぎ掠め取り、馬で逃走します。


精神病院で王様になる

またもやアフリカを宛もなく彷徨うペール。すると、エジプトのカイロで精神異常者に拐われてしまいます。連れていかれたのは精神病院。そこでペールは病院の患者達の王として崇められることになります。

仕事で成功、故郷に錦を飾る、はずだった

アフリカで奔放な生活を楽しむペールですが、すっかり老人になってしまいます。仕事で財を成したこともあり、楽隠居すべく全財産を乗せて故郷に帰る船に乗りますが、故郷のノルウェーまであと少しのところで嵐に巻き込まれてしまい、船は沈没。救命ボートになんとか這い上がり、すがり付こうとする船の料理人を蹴落とし、命からがらノルウェーにたどり着きます。

故郷の村に戻るも、年老いたペールのことなんて誰も分かりません。自身の死を意識しながら、例によってペールはあてもなく山の中をさまようと、見覚えのある山小屋を見つけます。近づくと、そこにはなんと、かつて小屋に置いてきたソルヴェイグが、ペールを待ち続け歌を歌っているではありませんか。ペールは過去の行いを悔いその場から逃げだします。

逃げるペールの前に現れるボタン職人

逃げるペールの前に、死神の使いを称するボタン職人が現れ「お前の人生は意味のない出来損ないであるから、ボタンに溶かし込みに来た」と言います。さすがにボタンは勘弁してほしいと、ペールは道行く人にペールの人生に意味があったか問いますが、ペールが期待する答えを返すものはいません。

意気消沈するペールがたどり着いたのは、例の山小屋。ソルヴェイグはペールが戻るまでずっと待ってくれていました。助けを求め彼女の膝にすがるペール。ソルヴェイグが子守歌を歌い始めるとペールは静かに息を引き取りました。


グリーグは生前「もっとも音楽的でないものに対して、音楽を作らなければならない」とぼやきながら作曲をしていたとか。
小規模なピアノを中心とする室内楽を得意としたグリーグにとって、長く複雑なストーリーを、オーケストラの作品として仕上げるのは骨の折れる仕事だったようです。
どのようにして折り合いをつけながら曲を書いたか、次回のnoteで書いていければと思います。

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アンサンブルSAKURA第40回定期演奏会
日時:2023/11/19(日)12:30開場13:00開演
⚠️開演時間が1時間前倒しとなってます⚠️
会場:浅草公会堂
指揮:高石治
入場料:1,000円(当日券あります)
曲目:
グリーグ/ペールギュント 抜粋
シベリウス/フィンランディア
シベリウス/交響曲第1番

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