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スポーツ小売業界の決算からビジネスモデルを読み解く

こんにちは、えんどぅです。
#20代マーケピザ 養成所オンラインの9月の課題である
「決算書から企業のビジネスモデルを読み解く」
をやってみました。

1. スポーツ小売業界を選んだ理由

スポーツ小売り業界を選んだ理由は2つあって、

①一度働いたことがある業界のため、他の業界よりも馴染みやすく理解しやすいだろうと考えたため
⇒新卒で入った会社がゼビオだったので、ある程度業界を知っているものの、決算書という視点では見たことがなかったので、面白そうだなと思いました。

②2020年に東京オリンピックを控え、スポーツ業界が盛り上がっていく好機をどう生かそうとしているのか読み解きたかったため
⇒来年に控えた一大イベントに向けて、各社どういった取り組みをしていくのか、その戦略も読み解けたらいいなと思います。

2. 企業分析(ゼビオホールディングス)

1社目は業界最大手のわが古巣ゼビオホールディングスです。

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19年度の決算を見ましたが、売上は約2316.3億円と物凄い規模ですが、
成長率が-1.3%とマイナス成長。。
こないだのシバタさんの格付けでいくと「C」ランクです。

ユニットエコノミクスの考え方をスポーツ小売り業界に適用すると、

売上=1店舗あたりの売上×店舗数

に分解できると考えました。

そうすると、ゼビオの1店舗あたりの売上は267(百万円)/年 でした。

これだけだと判断が難しいと思い、総売り場面積も各社出していたので、1店舗あたりの坪数も見ていくことにしました。

ゼビオの1店舗あたりの坪数は226(坪)でした。
後述しますが、この数字は他2社と比べるとかなり低い数字なんですよね。
つまり、ゼビオは店舗の小型化を図って、効率重視の経営に乗り出している、と分析しました。
現に、1坪あたりの売上は1.18(百万円)と3社の中でトップでした。

課題としては、3社の中で唯一海外にも店舗を持っている強みをうまく生かし、海外での売上比率をいかにして上げていくか、かなと思いました。

3. 企業分析(株式会社アルペン)

2社目はスポーツデポ、アルペンなどを持つアルペングループです。

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アルペンについても業界トップ2の1社だけあって、売上はゼビオとほぼ同規模である約2282.7億円となっています。
しかし、成長率が0.3%とかなり低く、Cランクです。

ユニットエコノミクスの考え方で見ていくと、

1店舗あたりの売上:565(百万円)
1店舗あたりの坪数:627(坪)

となり、1店舗あたりの坪数がゼビオの約2.7倍ほどあり、店舗の大型化が経営方針であることが伺えます。

また、近年は店舗の大型化のみならず、アウトドアの分野に非常に注力しており、この記事にもあるように今年だけでも6店舗もオープンさせるようです。

アルペンの課題としては、こういったアウトドアの大型店でいかに需要を取り込み、客単価を伸ばしていけるか、だと思います。

4. 企業分析(株式会社ヒマラヤ)

3社目は株式会社ヒマラヤです。
選定理由は業界の中では一番規模が小さいがゆえにどういう戦略を取っているのかを読み解きたかったためです。

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ヒマラヤに関しては決算期が8月だったため、まだ2019年度のものが出ていなく、2018年度の決算を使用しました。

売上規模は前述のトップ2社と比べると679.6億円と4分の1程度で、成長率も-6.8%とマイナスになっております。

ただ、このマイナスの要因としては子会社の異動に伴う売上の減少の影響が大きく、ヒマラヤ単体で見た際には成長率1.2%と若干ですが、伸びていました。

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この成長の要因はECへの注力の結果のようです。
ただ、残念なことに決算資料上にはEC事業の売上などは書いておらずでした。

では、ヒマラヤの1店舗あたりの売上、坪数はどうかというと、

1店舗あたりの売上:623(百万円)
1店舗あたりの坪数:636(坪)

なんと3社の中で1店舗あたりの売上、坪数ともに一番多いです。
これには驚きました。
売上規模は他2社には大きく劣るものの、1店舗あたりにしてみると一番稼いでいることになります。

ヒマラヤの強みは、まず一般スポーツ部門の比率が他の2社と比べて非常に高いという点だと思います。
ヒマラヤ:64%
ゼビオ:49%
アルペン:56%
一般スポーツ部門というのはいわゆるランニングであったり、野球、サッカー、バスケなどの部活用の商品を含んでまして、あくまでも私の仮説ですが、この数字が高いということはその地域のランナーや部活生を持つ親などに多く支持されており、地域密着での経営が出来ているのではないかと考えます。

あとは決算資料にも書いてありますが、EC事業に注力していることだと思いますが、具体的な数字がないため、ここは判断が難しいですね。

ヒマラヤの課題は、注力しているEC事業を他社とどう差別化していきながらもっと伸ばしていくかという点と、EC事業以外の領域でどのように売上を伸ばしていくか、の2点だと思います。

ユニットエコノミクスでの三社比較

1店舗あたりの売上や坪、坪単価などをまとめて比較してみました。

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上記で述べたように、1店舗あたりの坪数を少なくした新業態で出店を重ねているゼビオが1坪あたりの売上が一番大きく、効率的な経営をしていると言えますね。

5. 業界の課題と自分達がその業界に新規参入するなら何をするか

業界の課題ともし自分が新規参入をするならを考えてみました。

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業界の課題はスライドに書いた通り、3つ挙げていて

①国内市場が飽和状態→新規出店がしづらい状況で売上を拡大しにくい
②商品での差別化が難しくなってきている
③余分な在庫を抱えないように商品を値下げして売るために、粗利率が下がってしまう。

3社全てを見ても、成長率が低く、新規出店も多くしていない状況のため、既存のやり方のみでは売上は頭打ちです。

特に、どこのお店でも同じようなものは扱っているため、商品での差別化が難しくなっているのが現状です。

なので、私が新たに始めるとするならば、無在庫のコンサルティング小売りをします。

お客さんに提供する価値は「商品」ではなく、プロの目線からの適切な「アドバイス」です。
そのアドバイスが付加価値となって、価格を下げることなく売ることができるのではないかと考えます。

在庫を持たないので、広大なスペースは必要なく、都心でも出店可能だと思いますし、お客さんはその場でなくオンラインで買うので、荷物が増えなくてよいという側面もあります。

6.まとめ

初めて決算資料をまじまじと見て、分析をしたので、頭と目が疲れました、、(笑)

ただ、ユニットエコノミクスの観点で読み解いてみると、各社違った色が出て、戦略の違いなどが見えてくるのは非常に面白く、くせになりそうです。

今後は新規で上場した会社があれば、ちらっと決算書を見てみて、分析してみたいなと思いました!

個人的には、分析した3社ともにEC事業における売上などを公開してなく、詳細が分からなかったのが非常に残念でした。
重要なファクターであるEC事業の内訳を公開してくれれば、投資判断もしやすくなるのにもったいないなと思いました。

もうちょっと詳しく決算を読み方を学びたいという方はこちらを参照してみてください↓


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