富士山と 赤い鼻緒の草履
「ふ~間に合った」
静岡へ行くため、ひかり8時17分発・東京行きに
ぎりぎり飛び乗った。
車両の入り口近くの3人掛けの通路側に座ろうと
「ここ よろしいですか?」と隣に座っていた女性に声をかけた。
「はい!どうぞ」と言う声を聴きながら座席に腰かけると
隣の足元に揃えて置かれた、畳表を貼った赤い鼻緒の草履が目に飛び込んできた。横を見ると、年頃は80代くらいであろうか、痩せた女性の笑顔があった。座先前に倒したテーブルの上にはメモ帳とペンが置かれていて
花柄のエプロンをしてちょこん