詩) 朝
朝
万両の赤い実が鮮やかに、鈴なりになっている
昨晩の雨は木々の梢に透明な滴を実らせた
漆塗りの椀に盛られた大根、里芋、油揚げ
真っ白なご飯に乗せられた昆布の佃煮
本日は何の予定もなく
だから蒲団を干すことにした
薄い灰色をした影が固定されている
風は木々の間ではなく、その影の間を吹いている
泡の中から生まれた微生物が
くるりくるりと大気の中を泳ぐ
ためらいがちに鍵盤に乗せた指が奏でる一音が
静止した冬枯れの風景を薄膜のように包む
旋律というものは邪魔なだけであって
私自身もまた、質量のない点であればいい
本日は快晴なり
気温10度
(2009.12.6)
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