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38kana
詩) 自我
自我
かつて 此岸は
社会と呼んでいた 対岸は
何と呼んでいたか それは覚えていない
レールは2つに
さらに4つに 8つに
分かれてゆく その先
此岸は かつて
秩序と呼ばれていた 対岸は
憧憬と呼んでいた 僕は
僕・・・
その一人称
車中に揺られる者
かつて あの夕陽は
夕陽ではなく 終焉でもなく
永遠の象徴だった
僕 という 一人称
その軌跡を抱えていた かつては
・・・今は?
水平線を中心にして
上下に広がるだけの空間
そんなものが海や空であろうものか
僕 という 一人称
その衝撃的な存在
それをなぜ置き去ることができたのか
そも 今 それは
どこに?
滑り込もうとするこの駅に?
かつて この男を
僕 と呼んでいた 今は
何と呼びうるのか―――
まさか、単なる「自我」とでも?
(2003.5.13)
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