詩) 唄
唄
心をすべて唄いあげないうちに
君はいなくなりました。
肩のところで短く切りそろえた髪に
かすかに聞こえる、遥か遠い背中への憧れ
うねるような重さを無意識のうちに雲散させ
それぞれの粒子に浮遊を与える―――その視線
心をすべて唄いあげないうちに
君はいなくなりました
いつだって、ほんとうはどこを見ているのだか、ちっともわからずじまいのまま
たたんでしまって―――
紙の上でゆったりと踊るような、そしてうとうととするような―――「ソ」の音の
うたうたい―――
君は知らない―――
今でもその唄はうたい継がれてているんだよ
(2004.1.3)
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