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詩) 影

   影

静かに呟くCPUの
我々の脳神経に対する挑戦

溶解する
と け る

ひとつの死骸に群がる小鳥がひれ伏す
食物連鎖を侮蔑する者の出現

我々は手渡し始めている
委ね初めている

我々が世界を奴隷としたように
我々も奴隷となる

目に見えぬ欺瞞が蓄積され
既知のものとして認知されてゆく

影だ
被写体の無い影

一個人としての苦悩は無視される
そう指示することができる

この掌に そしてこの指先に
可能な技とは何か

機能的懐疑という哲学が蹂躙する
確率というだけの個性、人間性

CPUがはじき出す予測=確実な未来
それに備えなければならぬ―――と

その未来の奴隷となった我々は
それを活用と呼んでいる

受容するのみの脳神経が
その原初的記憶との相克に身を捩る

プラットホームの端に佇む者が居る
彼の死の理由とは―――

CPUの挑戦が静かに牙をむきはじめている
神になるための挑戦がはじまっている

          (2006.2.1)

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