微熱
微熱
安定した核反応が続く―――
じりじりと照りつける太陽からの熱線が吸い取られ
じわじわと地面に蓄積されてゆく
苛立つ人々が
憔悴した人々が
建物から建物へと伝い歩く
シナ海の彼方から偏西風に乗って漂うガス
海流に乗って漂ってくる有機化合物
我々の投資によってもたらされた無秩序
老いた者たちが舌なめずりをし、群がる
享受せよ
ひたすら享受せよ
剥き出しの崖から垂れ落ちる泥水が細い流れとなり
波に消えてゆく
ばらばらになって融けてゆく氷の欠片とともに
こういう場合はこうしなければならぬ
ああいう場合はこうしなければならぬ
そして、このような場合は―――
「無意識の自律」を忘れた大気が暴力を振るい
地上をやみくもに撹乱する
皮膚の疥癬を掻き毟るように
AからはBしか生まれない
CからはDとEしか生まれない
Fはどうだっていい・・・
蓄積されてゆく熱が地下の何ものかを目覚めさせようとしている―――
微熱に病む星を冷やす者は
いつ現われるのか
影を撒き散らす者は
いつ現われるのか
(2007.7.1)
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