事情ある高校生アルバイトスタッフ

最近あった事案を紹介してみます。営業種目はレストランで、求人に応募をしてくれた方がいました。まだ高校生の方でした。

履歴書というか応募書類には、親の連絡先など書いていただくのですが、書けないとのことでした。施設で親から隔離されて生活をされている方が自活資金を稼ぐために応募してくれたのでした。

そのように施設に入所している生徒さんをアルバイトで採用をすることはできるのでしょうか?答えはできます。

親御さんの同意ない場合、労働契約は、未成年で取り消しうる法律行為になります。一方で契約書への署名は、高校生であっても本人にしていただく必要があります。この点はクリアしています。

私は楽天的なので、万一親御さんが乗り込んできて、うちの子を働かせるとは何事か!と怒られても、追い返せばいいと思っていました。しかし、万一夕方のピークタイムに店長がそんな苦情の処理に2時間取られれば、店は損を受けます。ちゃんと法律にのっとり、できる範囲でしっかりした契約を締結しておいたほうが無難です。万全に契約を締結し、親御さんなど保護者の方からのクレームも起こさないためにはどうしたらいいのでしょうか?

結構難しい問題です。この高校生は、虐待など事情があって、児童相談所から、親から隔離する施設に送られてそこで生活をしているようでした。この場合、施設の長が親に代わって未成年者の法律行為の同意を行えるようです。

役所に電話をしてみましたが、詳しくは、わからないとのことでした。福祉行政の担当官さんが、意外と無知なので驚きました。

結局、施設の長に保護者に代わって高校生の方との雇用契約に同意するサインをしていただき、ことは収まりました。


この方が、一緒に仕事をして、勉強とアルバイトを両立させながら、立派な大人になるといいなとおもいつつ、初めて耳にした虐待サバイバーの話に心が痛みました。親に感謝しつつ、施設で生活せざる得ない方などの採用を面倒くさそうとためらうかたに案外簡単に採用時の問題は解決できたので、手続きが面倒との理由では、不採用と決めないでほしいと思って、以上を共有します。

あとは、同じことを詳しく掘り下げていきます。施設の長の方がたいていの場合には、親御さんに代わって雇用契約に同意するサインをしてくれます。

まず児童虐待など親による虐待に対する国の姿勢について、厚労省のページによくまとまっています。https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/09.html

淡々と描かれていますが、仕組みとしては、虐待されている方を守るしっかりした仕組みができているのがわかります。

実際に未成年だけれどもアルバイト適齢期の虐待被害者で親と離れて暮らしている方にはどんな生活のパターンがあるのでしょうか?

東京都のページにわかりやすい流れが図解されています。https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/katei/jifukushin/jidou_26nd/senmon_26nd/dai1kai.files/shiryou3-2.pdf

簡単に言うと、近所の人が子供を虐待しているなど通報して、1次的には児童相談所が動きます。そのあと、実の親子を場合によっては引き離すので家庭裁判所などとともに、危ない虐待の場合には、子供を親から隔離します。隔離された子供は、自室支援ホームや里親など数種類の施設や個人に保護されながら生活をします。

親御さんに代わって、雇用契約に同意しますとサインをしてくれるのは、ホームの所長さんや里親の方となります。

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