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嫉妬とハサミは使いよう

嫉妬:自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。

嫉妬という言葉は、基本的にネガティブな意味で使われる。

小さい頃から負けず嫌いだったからか、小さいことでもよく嫉妬するような性格だった。小学生の頃は、運動が得意な子が羨ましかった。演劇部だった中高時代は自分より演技が上手い先輩や他校の人を見るたび「なにくそ」と思っていた。バンド活動をしていた大学では嫉妬の対象は演奏の上手い同パートの同期や後輩だった。

毎回表には出さないものの、「なんで自分より...」なんて感情がフツフツと湧き上がることが今でもままある。

社会人になってからは、文章において素晴らしいアウトアップとを見るたびにとにかく悔しくて、次こそはそれを超えてやるようなモノを書くんだと意気込む。この歳になると同年代でも頭角を表す方が続々と出てきて、彼ら彼女らのアウトアップに毎回嫉妬する。本人には言わないけど。

自分が嫉妬しいなのをわかっているからか、嫉妬するたびに「こんなことで嫉妬してダセェなぁ」と思う自分もいる。嫉妬は自分が負けていると認めるから起こる感情だと、以前どこかで読んでから、余計に嫉妬する自分を醜く思った。

そんなことを大学時代から付き合いのある、今は30半ばに差し掛かろうとしている先輩に相談すると、先輩から「嫉妬は若い人の特権だから、20代のうちに沢山しときな」と言われた。

先輩曰く、嫉妬はインスタントラーメンと同じらしい。

「30代で年寄りなんて言わないけど、どうしても20代に比べると嫉妬する回数が減っているなと思うんだよね。社会の見え方とか、自分の立場が変わったせいかもしれないけど。嫉妬ってカップ麺と同じで、若い時ほど毎日食べてても胃もたれとか起きないじゃん。いくら健康に気を使ってても体は正直だから、流石に毎日カップ麺とかだときつくなってくるんだよね。だから、嫉妬も食べれる時に沢山食べて、未来の原動力にすればいいと思うよ

新卒から広告代理店で働く先輩も若い頃は会社の先輩に事あるごとに嫉妬していたらしい。入って数年はなかなか成果が出ず、徐々に頭一つ同期も出てきて、かなり焦ったと。それでも、嫉妬をバネにくらい続けてきたら、だんだんとチームやクライアントにも評価されるようになってきたのだそうだ。

「馬鹿と鋏は使いよう。なんて言葉があるけどさ、嫉妬も同じで、嫉妬した気持ちをどう使うかって事でしょ。悔しいって思って何もしないのか、そっから踏ん張るのか。嫉妬がガソリンの人だって世の中には沢山いるわけだし、気に病みすぎる必要はないでしょ

そう言いながら先輩は焼酎のお湯わりをグイと飲み干した。ビールばっかり飲んでた先輩が今や焼酎のお湯わりかと思うと時の流れを感じた。先輩の酒の趣味が変わるように、自分の中で嫉妬の意味合いが変わってくる日もくるのかもしれない。

そうであるならば、嫉妬も一辺倒で悪いものではない。今のうちに沢山嫉妬を食べて、良きように自分を奮い立たせるのも、また生き方の一つだと思えたのだった。

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