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一生忘れない思い出のワイン「シャトー・ベレール」

ワインショップ・エノテカ六本木ヒルズ店の伊藤です。

ワインには記憶に残らない、流れるように飲み干してしまうワインもあれば、思いがけずハッとさせられるようなワインもあり、思い描いていたイメージとは違う香りや味わいに、良くも悪くも驚かされることがあります。

そして、今まで口にしてきたワインのことを思い返すと、何年経っても頭の片隅に存在し続けている「思い出のワイン」というのがあることに気づきました。

思い出の音楽が心と記憶を呼び戻すような、自分にとって自然と記憶の中で輝き続けるワインが皆さんにもあるのではないでしょうか?

今回は、私の記憶の中に燦然と輝き続ける「思い出のワイン」をご紹介いたします。

軽い気持ちで購入したワインくじ

当時働いていたスペイン料理のレストランでは、主にスペインとイタリアのワインがオンリストされていました。ほとんどのワインは果実感たっぷりで飲みやすく、抜栓してすぐに香りが開くスタイルのワインばかりでした。

プライベートでもヴィンテージの若いリーズナブルなワインばかり飲んでいた時に出会ったのが「シャトー・べレール1997」でした。

運試しで購入した「ワインくじ」の箱を開けた時、ワインのボトルを見て「1997」のヴィンテージだったことに驚いたことは今でも覚えています。

ボルドー観を崩してくれた1本

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当時の私は2000年以前のワインを飲んだ経験がなく、ボルドーのワインは「酸味・タンニンがきつい」という印象から、自ら飲むことはありませんでした。

自分では絶対に選ばないワインが届き、ボルドーのイメージからくる不安と併せて、飲んだことのないワインという期待もあり、レストランへ持ち込んで飲むことにしました。

その時の感動は今でも忘れることなく、それまで感じたことのない、折り重なった華やかな香りがグラスいっぱいに広がり、とにかく圧倒されました。

口に含むと、滋味深い味わいと約20年の熟成を経てもなお、ふくよかな果実感は健在。酸味とタンニンはワインの中に溶け込んでいました。

「こんなにもまろやかなボルドーが存在するのか」

私のボルドー観が崩れ去り、熟成したワインの素晴らしさを体感した瞬間でした。私は素晴らしいワインに出会った時「天にも昇るような気持ち」とよく表現するのですが、この感覚を最初に味わったのは、この「シャトー・ベレール1997」でした。

知らないワインを知っていく人生の豊かさを知る

「シャトー・ベレール1997」を初めて飲んでから数年が経ち、世界中の様々なワインを口にしていますが、「シャトー・ベレール1997」を超える感動は、未だ体験していません。

改めてボルドーの1997ヴィンテージを調べると、収穫前に暑い日が続いたと分かりました。

果実感が強く酸が穏やかで、タンニンも丸みがあるワインに仕上がることを、今なら容易に想像できます。その味わいは、当時の私の好みそのもので、約20年の時を経て、素晴らしい熟成を遂げていました。

私はかつて、「安心して美味しく飲めるワイン」を求めて、ワインに対して新しい出会いを求めていませんでした。しかし、「シャトー・ベレール1997」に出会ったことで、知らないワインを知っていく人生の豊かさに気づかされました。

ワインラヴァーの方にはいろいろなワインを飲んで、素晴らしい出会いを体験して欲しいと思いますし、そんなサポートを私たちができればと思っています。

ワインラヴァーの皆様が思い出のワインに出会えますように…。

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

ワインも音楽のように、飲むとそのときの記憶が呼び起こされる時がありますし、特に初めて飲んだワインは、銘柄までは分からなくても何かしら記憶に残っているものです。

現在、スタッフの初めて飲んだ思い出のワインをnoteに綴っているので、ぜひ、他の記事にも目を通してみてください。

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