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修士論文をジャーナルに投稿するまで②(卒業〜ジャーナル投稿まで)


前回は、論文を投稿するにあたり、修士時代の研究をまとめたため、こちらでは修士課程を卒業してから投稿するまでの過程を記したい。

前回の投稿はこちらから。

論文の内容は、以下のリンクを参照ください。

2022年夏:先生方とMTGと論文の再執筆

思い切って投稿論文の執筆を引き受けたものの、実は大変な作業が待っていた。論文投稿にするにあたり、もう一度計算過程や結果図表の修正、計算用データの精査を行い、実質的にほとんど全ての分析をやり直す必要があった。また、修士時代の研究過程を(第三者が見ても)綺麗にまとめられていたわけではないため、全ての計算を自分で行う必要があった。

4月から企業に入社して働き始めていたため、昼間は仕事(研修などがメインではあったが)、帰宅後の夜に2-3時間のデータ分析を行い、先生や先輩からのフィードバックをもらっていた。

社会人なので昼間に時間を取ることはできず、先生と先輩の夜の時間をもらい、打ち合わせは22時スタートで、24-25時終了となることが多かった。学生の頃には想像できないような時間帯の打ち合わせだが、深夜テンションのような盛り上がりを見せることも多く、意外といろいろな話題のトークができて、個人的には楽しい時間でもあった。

2022年秋:英文への翻訳、最後の修正

大方の結果が出揃った段階で、もう一度打ち合わせを行い、論文執筆の方向性が定まったことにより、最終的な本論文の作成、英文への翻訳へと移っていった。英語への翻訳については、時間も限られているため、自力では行わず、翻訳ソフトなどを使い効率的に行なった。また、その後には英文校閲に出して、ネイティブのチェックをかけた。

論文の最終稿は、英文校閲が終わり、特に専門的な用語や論文内で使用する「固有名詞」などの表現が確定しないと、本文を確定させることができず、最後の修正には想像以上に時間がかかった記憶がある。

2022年冬:ジャーナルへの査読依頼と査読回答

論文の原稿が固まり、いよいよ、査読へ出すことになった。私はFirst Authorではあったが、Corresponding Authorではないため、ジャーナルとのコンタクトは指導教員の先生が担当してくれた。年末で多忙の中、ジャーナルとのコンタクトを始めたが、1回目は意外と数日で返答があり、論文の書式の修正や文言修正などと基本的な指摘を受けた。ジャーナルの指示はよく理解していたつもりであったが、抜け漏れも多く、ジャーナル投稿の第一歩で、簡単にはいかないことを思い知らされた。

1月中旬に再度の投稿で査読者に回してくれて、いよいよ査読の結果を待つことになった。およそ3週間ほど時間がかかり、2月に査読者からのコメントをもらった。3人の研究者からのコメントがあり、Major revisionではあったが、修正すれば前向きに受け取ってくれるような姿勢であったので、このままジャーナルで進めることになった。1ヶ月ほどの対応期限でなんとか回答。その後の結果を待つ。

2023年春:思ったより査読が続いたが・・・

また思っているよりもすぐに査読結果が返ってきたが、Major revisionが続いた。意外と対応の苦慮するコメントもあり、再度一ヶ月の締切での対応が続く。ここからは主に指導教員に対応いただいたが、先生の数多くの経験をもとに絶妙にコメントへの返しと修正を行い、再度の提出した。

そしてGWが始まる直前に正式にジャーナルよりAcceptの連絡、また、GWが明けた5月の上旬にジャーナルへ掲載された。

最後に

修士論文を提出後に先生からジャーナルへ投稿してみないか、というお誘いをいただいた際には、修士論文をもとに少し編集すればいいのかと甘くみていたが、実際の対応業務は想像よりも多く、そのプロセスも長く、一つの研究成果を社会に出すということの重みと責任を感じた。

また、研究者の仕事は個人で研究成果を出し続けるようなイメージを持っていたが、実は多くの部分がチーム戦であると理解できた。一人で研究を進めることはできず、そもそも研究のアイデアも一人で考えて出てくるものではない。論文の執筆も複数人で行うことが一般的であり、多くの人の支えと協力があって、一つの研究成果が世に生まれていることを実感できる経験となった。今後も、人生の中で、研究、論文を執筆する機会を探りたい。

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