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みなとみらい花の歌会へ

 2020年3月8日日曜日、NHKカルチャー「みなとみらい花の歌会」に参加して参りました。講師陣は東直子さん(かばん)、遠藤由季さん(かりん)、花山周子さん(塔)、小島なおさん(コスモス)の4名。
 前半は選者四人による題詠・選評、後半は受講生たちによる題詠・選評となりました。ここでは私の提出した歌と、いただいた評を記憶の新しいうちに残しておきたいと思います。受講時に走り書くようにメモしたものから記憶をさかのぼり記載しますので、一言一句正確…ということではありませんので、あしからず…。(ちなみに自分の歌だけでなく、すべての歌の評をできるだけメモしました。肩がばきばきになりました。余談)
 そもそも、システムを簡単に説明します。受講生たちの提出した歌はそれぞれ2首、題詠は「花」もしくは「自由」、全部で46首ありました。その中から、講師陣・受講生ともに気に入った歌を5首選ぶというもの。評は講師陣のみが述べます。最初に講師陣が選んだ歌の評、その後それ以外のすべての歌の評を講師陣が順番に一首につきひとりずつ述べる、という進行でした。

指だけの動画がひどく妬ましい花かんむりを器用に編んで/榎本ユミ

小島なおさん評:今風な切り取り方。動画はYouTubeとかインスタグラムとか色々あるかと思うが、それは大体いいところ・贅沢なところ、こんなおいしいもの食べたとかそういう動画が多いと思う。でもこの主体が見たのは指先だけの花かんむりの作り方のレクチャー動画。「妬ましい」と思うのが読みどころ。花かんむりを編むという、こんなところにこの人は妬ましいと思うのか。指のきれいさとか、自分とは少し遠い生活の破片。自分にはない遠さを指先だけの動画に見た。新しい切り口。

 こちらの歌はありがたいことに、小島なおさんの特選を頂きました。受講生の方の投票でも5票入っておりました。
 特選の発表は最後にするはずなのに、うっかり評を述べる段階で「特選」と口を滑らせてしまった小島さんがお茶目でした。そして私は心の中でガッツポーズをせざるを得ませんでしたね。

生理用ナプキンだけが我の持つたったひとつの花柄だった/榎本ユミ

遠藤由季さん評:女性=花柄のイメージ、でも自分はそうではない、という強さを感じる。生理用ナプキンという言葉を歌にするのは勇気のいることだと思う。生理用ナプキンの違和感を歌にしようとしたチャレンジ精神がある。印象に残る。
小島なおさん評:今の時代のジェンダーレスの考え。女性だから花柄とかピンクとか漠然としたイメージでナプキンに使われている。服や髪形は自分で選びとれるが生理用ナプキンは女性っぽいイメージのものが多くあしらわれていて、避けようがない。選択肢がないというのは切ない。生理用ナプキンを詠う気概・勇気を感じる。

 こちらの歌は遠藤由季さんと小島なおさんに丁寧な評を頂きました。我ながら題詠「花」で生理用ナプキンを詠う人はいないだろう…とは思ってました。歌会という場ですし、すこしでも目立ちたいという気持ちがなかったかと言えば嘘かもしれません…。受講生の方からも一首目と同じく5票いただいておりました。

 一首目が特選をいただけたと言うことで、小島なおさんからサイン入り「短歌タイムカプセル」(書肆侃侃房)を頂戴しました。少し立ち話をしてくださって、とても気さくな方で、すっかりファンになりました(ミーハー)。

 そのほか、全首評をされる中で、印象に残ったのが花山周子さんの評で「花」というお題なのもあり、花そのものが美しいからなんとなくいいねっていう歌になるが、具体的な花の名前でも素材そのものがつまらない場合がある、もっとその素材への挑戦をしてほしい的なことを仰っていて、おぉ…と感動しました。あと、題詠に関しては花山さんは「題詠嫌いなんですよw」とぶっちゃけていて、講師陣も題詠には頭を悩ますのだなぁと妙な親近感を持った次第です。

 新型コロナウィルスの影響で開催自体危ぶまれましたが、消毒用アルコールなども置かれておりましたし、受講者同士の距離もひとりひとつの長机でほどよく取られ、NHKカルチャーの担当者の方々がとても尽力してくださったと思います。色々悩まれたこととも思いますが、本当に開催してくださってありがたかったです。
 またこのような機会があれば(かなり本気で)参加したいと思います。
 ありがとうございました。

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