短歌連作「最初の晩餐」
雰囲気で買い物をした助手席でアーティチョークのレシピを探す
ロマネスコ スワロフスキーに見えてきて躊躇いながら包丁入れる
インスタに私は不在 この世界バーニャカウダで溢れているな
泡立ちがより美しい方を君に シャンパーニュ越し揺れている笑み
魔法などいらぬ手のひらから散らすアクアパッツァに刻みパセリを
見慣れない君の荷物に囲まれてブルスケッタのトマトがひかる
カルパッチョを咀嚼する君「しろくまの捕食みたいで好きなの」と言う
ひたすらに陽気な夜でグラッパは食後酒だって知らないふたり
「美しい日本の私」ちらついてフリットじゃなく天ぷらと言う
甘すぎる口づけのあとバニラにはリモンチェッロを垂らして混ぜる
※短歌連作サークル「あみもの」第十三号より改稿、追加
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