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短歌連作「名乗るほどでも」

芽吹くのは四月だからか白くないマスクをつけた朝の自意識

自分でもわかんないけどスジャータは記憶の中ではまだターャジスだ

五百円で売ってるブーケが去年見た袈裟とおんなじ配色である

ヤンマガはヤンジャンよりも水着度が高い表紙で好き(僕調べ)

いま行けば「お疲れ」とか言う羽目になるジェットタオルの音がしている

ピカチュウは名乗ったように鳴けるのに名乗るほどでもないままの僕

桃源郷と思う日もある笑ってる声が聞こえて目が覚めたなら

泌尿器科、セリア、リカーズパラダイス きみは散歩で見たままを言う

カップ麺の内側の線がよく見える目は持ってます間に合ってます

ヤンジャンはヤンマガよりも露出度の高い表紙で好き(僕調べ)

掃除機をかけてるきみの鼻歌が浜省の日のメシはしょっぱい

世界一うつくしいなで肩を持つきみの肩紐直したいのに

すごい雨だったと言えば気づかずに寝てたと白い返事をもらう

スマホばかり見ているうちに川沿いの桜は鳥が散らしていった

雨ですか花びらですか嘘ですか昨日の傘が受け止めたのは

※短歌連作サークル「あみもの」第二十八号より

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