ペットボトル

2020年2月の歌

アルバイトを叱る怒声に丼をただ見つめおり縁のぐるぐる

鏡には「祝開店」の文字があり贈った米屋は今はもうない

やさしさを与え合うこと許されて胸にはためく万国旗たち

カーテンはまだ見たことがないはずの真夏の波を真似て揺蕩う

どちらかと言えばまだ愛 砂抜きの甘い浅蜊を食べさせている

汝のシャツで拭う手のひらもう夢の水滴ひとつ残っていない

今ここで棄てるためにと飲み干したペットボトルがまだあたたかい

※「塔」2月号
 うたの日
 「ねむらない樹」Vol.4読者投稿欄
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 角川「短歌」3月号

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