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【取材後記】ラクスルさんに「第一想起」の獲得を通じた、後発サービスの勝ち方を伺いました。

みなさま、こんにちは!編集部の榎本(@enomon_s)です。

先週のSELECK編集部マガジンでは、下記3本のnoteをお届けしています。
すでにご覧くださった皆さま、ありがとうございます!
文末でも紹介していますので、ぜひ取材後記と共にお楽しみいただけると嬉しいです。

編集者の「頭の中」ってどうなってるの? 特集企画の制作プロセスをすべて公開
SELECKのめざす世界観のお話
入社1ヶ月の新卒がSELECKの社会的価値について考えてみた

さて、本日はラクスルさんの新着インタビュー記事をご紹介します。

後発サービスにも関わらず、第一想起を獲得することで、5年で全体売上高を7億から170億(約25倍…!)にも伸ばしたマーケティング戦略について、取締役 CMO / ノバセル事業本部長の田部さんにお伺いしました。

取材では本当に勉強になることばかりで、ぐいぐい質問してしまいましたが、とても丁寧に細かい部分まで教えていただきました。

本日は、取材した背景と、記事に収めきれなかったけどぜひお伝えしたいお話をピックアップさせていただきます!

なぜ取材をしたか

数年前から、スタートアップ企業のテレビCMを目にすることが増えました。2014年から放映を始めたラクスルさんはもちろん、ここ数年で一気に認知・シェアを拡大された数々の企業は、テレビCMやタクシーなどの交通広告でもよく目にしていたなぁと思い起こされます。

とはいえ、テレビCMなどのマス広告は「費用が高い、効果検証が難しい」といったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

YouTubeなどの動画広告や各種SNSなど、マーケティング手法も多岐に渡る中で、2019年には遂にインターネット広告がテレビCMの広告費を逆転。

そんな今、「テレビCMをメインに活用して」急成長されているラクスルさんに、その背景や具体的な運用方法を伺い、読者の方にポイントをお伝えしたい…!と思い、取材させていただきました。

記事には含められなかったお話

ラクスルさんの取り組みの概要としては、「ネット印刷 = ラクスル」という第一想起を得るため、Webマーケティングと同様の手法で、テレビCMのA/Bテストや分単位の効果検証を行っています。

また、テレビCMを基本にして、タクシーなどの交通広告・チラシ・新聞・ラジオ・DM・ポスティングといった、あらゆる媒体とのメディアミックスで最適解を見つけるのが重要とのこと。具体的な運用方法はぜひこちらにてご覧ください。
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5年で売上25倍!後発から逆転したラクスルの「マーケティングの4つの掛け算」とは

今回は、ボリューム的に記事本編には含められなかったお話をご紹介します。
※以下のコメント部分は、取材音源の書き起こしから、一部抜粋して編集しています。

1、マス広告とWeb上のクリエイティブは揃えるべきか
結論としては、「サービス内容による」ということになりますが、ラクスルさんの場合はクリエイティブを揃えることはしなかったそうです。

マス広告の役割はWebサイトまでお客様を連れてくること。Webサイトの役割は「欲しいものが見つかる、簡単に・正しく購入していただく」ということで、双方の役割が異なるということがポイント。

ラクスルではWebにチラシを買いに来てもらっているので、そこでテレビCMのタレントさんが載っていたところで、お客様はそれを求めていない。
よって、Webサイトは「買いやすさ」に特化した仕様にしている。

このように、各メディアを使う顧客心理に合わせて、目的別に使い分けしているとのことでした。

そして、テレビCMとYouTube広告はカスタマーの視聴態度が全く違うので、クリエイティブを揃えない方が良いというのが濃厚だそう。

何かをしながら耳に入ってくるテレビCMでは、パッと目を向けさせる「音」がとにかく重要。

一方、YouTube広告おいては、本来見たいコンテンツの合間にノイズ的にバン!と横入りしてくるので、アテンションを引くような音が入る広告は飛ばされがち。

「何のCMかよく分からないけど、面白いから一回サイト行ってみよう」という行動を引き出す必要があるので、テレビCMとまた別のアプローチになる。

マーケティングにおいて重要なのは、企業の目的によって戦略は千差万別で、「単純にクリエイティブを合わせれば良い」「これが正しいからこれをやる」といった思考停止は駄目ということ。

きちんとPDCAを回して検証して、自社に合うベストな形を見つけてくださいとのお話しでした。

2、カスタマーのインサイトを知るには「営業」が1番

定性調査(デプスインタビュー)のために集められた人たちに聞いても、仕事として来ているし本音が出ないので、たぶん意味がなくて。

お金を払う・払わないという生々しい営業現場にこそ、1番リアルな顧客の声があるので、「このサービスにいくらなら払えますか」と聞くのがおすすめ。

営業がない商材だったら、出会った人に「このサービスを使っていますか」「使っていない理由は何ですか」「こういうものがあったら使いますか」という質問を積み上げていく。

10人のうち7人くらい「これなら使いたい」と言ってくれたら、1万人のうち7,000人に当たる可能性がある。最終的には定量で検証するのものの、最初は定性で1人ひとりと向き合っていくのが大事。

こういったヒアリング活動を日常的にすると、顧客視点が研ぎ澄まされて、サービス開発やマーケティングでも適切な解を導きやすいそう。
レアな思考性の人ではなく、例として世の中に100万人いそうな人に聞くと良いとのことでした。

3、長年施策を継続して初めて、認知を獲得できる

例えば、「プロポーズしたらゼクシィ」を半年やっても何の意味もなくて。長い間やりきれない中で効果を計るのは難しい。
5年、10年と継続することで、世の中の認知は形成されていく。

そのためにも、短期施策を博打的に打ち上げるのではなく、愚直に細かい検証をしてファクトを積み上げ、自社にとって「再現性のある最善の選択肢」を見つけることが大切ということですね。

さいごに雑感

私自身、テレビCMのようなマス広告に携わったことがなく、その道のプロでないと扱いきれない特殊なモノ…のように感じていた節があります。今回、読者の方にも具体的にイメージが湧くようにお話しいただいて、以前より身近な存在に感じられるようになりました。

田部さんがおっしゃる「マーケティングの民主化をしたい」というのがまさに。エリアや企業規模を問わずテレビとWeb双方を使いこなせるようになると、また新しい世の中の形になりそうだなと思っています。

特に印象的だったのは、「会社は企業価値を高めるためにマーケティングをしている。現場でみんなが必死に稼いだお金を、会社の価値を高められるかどうか分からないものに投下するのは、絶対にあってはならないこと。」とのお言葉。

経営者と同じ目線に立ち、企業として正しい投資判断をするため、日々細かい粒度で効果検証することの重要さを、あらためて実感しました。

現在テレビCMなどのマスマーケティングを実施されている方、これから検討される方にもきっと役立つ内容ですので、ぜひ記事本編をご覧ください!

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