Part1.自己紹介が苦手な話

これを読んでいる人なら1度くらいは経験したことがあるであろう自己紹介。
新しい仲間と自分に関する情報を交換し、その後の関係を円滑に進めるための大切な工程。
それは重々承知なのだけれどそれが苦手。
そんな話です。
では、どうぞ。

「自己紹介」、少なくとも日本で生きていれば人生で1度は経験するであろう恐ろしいイベント。初対面の相手と話すだけでも疲れるというのに、言わされる内容がなかなかに辛いものばかりなのである。...と、まあこんな風に思っている人も少なからずいるのではないだろうか。これから話すことは自己紹介に限らず、自己PRだとか面接だとかに「嫌だ嫌だ」と駄々をこねるものである。

自己紹介といえば何を言うだろうか。名前や年齢などの個人的なプロフィール、自分の所属している団体や出身、そして最後に自分についての小ネタを1つ...と言ったものがシンプルだが主流だろう。前の2つは楽ちんだ。既にある事実を淡々と述べればいい。ここで詰まるのは極度の人見知りとか、自分の年齢を誤魔化したりする時だろうか。問題は最後。自分に関する小ネタ。例えばどんなのがあるだろう。ニックネーム、好きな、嫌いな食べ物、趣味、特技、長所、短所、学校なら得意教科、などなど。この中から1つ以上選んで、ないしは求められて言うことになるだろう。

ニックネームや食べ物、得意教科なら簡単だ。あるならばあだ名とその由来、ちょっと捻ったニックネーム、喋りが上手ければそこから話も膨らむかもしれない。食べ物も好き嫌いは少なからずあるだろう。ラーメンの味とか、カレーの辛さとか、某里山系お菓子の派閥とか、話題性のあるものは少なくない。あるなら得意教科について話してもいい。あるならね。
「お、自己紹介って割と簡単じゃん?」と思ったあなた。それで終われれば幸せなのだよ。次が真の問題だ。

残ったヤツらは曲者共だ。そのくせよく聞かれるという厄介者。特に自己PR。PRなんだから当然といえば当然なんだけど難しいものは難しい。まずは趣味。これは簡単だという人もいるかもしれない。しかしながら無趣味勢にとっては苦痛でしかない。好きだけど趣味かどうかは怪しいことを果たして趣味と名乗らせていいのか、その葛藤と戦いながら決まって「読書」とか「運動」とか当たり障りのないことでお茶を濁す。趣味についてはまだまだ言うことはあるが、それはまたいつかにして次へ進む。

次は特技、長所。どれも難しい。特技や長所を語ることに抵抗がある人もいるのではなかろうか。
「私の特技は○○です」「私は○○ができます」「私の良いところは○○なところです」とまあこうなる訳だが、普段の会話だったら嫌われ街道まっしぐらな人物像が浮かぶ。
もちろんPRなのだからこれを言わなければどうにもならないのだが、何となく自慢してるっぽくて抵抗がある。ナルシストにはなりたくないというささやかな抵抗が口に働きかけている。そもそも自分の長所と呼べるところが分からない...とまで来たら絶望的だ。行き過ぎた謙虚が自分の長所を言うことを許してくれないのである。

最後に短所。「これならいくらでも見つかる!」という人もいるかもしれない。でも、初対面の相手に「私の悪い所は○○です」と言いたいだろうか。わざわざ悪印象を自分に塗ってハードモードをプレイする物好き...くらいだろう。

こうなってしまうともう話せる内容がない。当たり障りのないことを言うか、捏造でもするしかない。そうなると自己紹介に、喪失感や罪悪感が付きまとう。しかも!これだけハードモードのこのイベントはその後の人間関係に大きく影響するのである!失敗すればかなり後ろからのスタート。理不尽な話だ。
以上の理由より私はすごくとても自己紹介が嫌いだ。



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