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誹謗中傷犯との1年戦争

本記事は、ツイッターで書いた記事を膨らませたものです。


終わらない誹謗中傷

随分前のこと。(2000年ごろ)
勝手な妄想で誹謗中傷を繰り返すやばいネットユーザーがいましてね。
ほんと、いつまで経っても止めないのです。
なだめても、スカしても、何をやっても止めない。
止めたかな‥と思ったら、数日後にはまた書いている。

当然、掲示板を運営する会社に正規ルートで救済を求めてみましたが何度やってもダメでした。
端からやる気が無かったのでしょう。
まぁそんな時代でもあったのです。


そしてまた身に覚えのない誹謗中傷が続きます。

目にする度に「心が乾いてササクレる」のです。
そんなもの見なけりゃいい‥分かります。
ですが様々な情報収集の際にどうしても通らなければならない通過点だったりしまして、目に入ってしまうのです。

それ以前に、私だけでなくFMC(現IBB)に対する威力業務妨害でもありました。これを看過するわけにはいかなかったのです。


それにしても尋常ではありませんでした。
本当に根も葉もない「あたおか」な文言の連続でした。

創作による誹謗と言えばおわかり頂けるでしょうか。
「榎田信衛門は風俗店を経営していてFMCの女性スタッフは皆そこの従業員である」
もちろん大嘘です。

ちなみに実際の文言はこんなものじゃありません。
下品、下劣、汚い猥褻な言葉を羅列して、読む人の心を蝕みます。

後から分かったことですが、この創作系誹謗中傷犯が誕生するそもそものきっかけはこんな感じでした‥。

  1. 水害(高潮)で自宅に被害が発生。

  2. 「補助金の支給が遅い」と行政に対する不満をブログで語り始める。

  3. ブログの宣伝のためにとあるネット掲示板を利用し始める。

  4. 最初は穏やかな会話を続けていたが、いつしか自説を絶対に曲げない頑なな状態に陥る。

  5. 当然の結果として複数のユーザーから次々にハブられる。

  6. ある日、発言を諌めた人物(経営者A氏※)と長期間のバトルに発展。

※A氏は繁華街で有名飲食店数店舗を経営する地元名士。当然のことながら榎田と直接関係はない。事件後しばらくして初対面している。

と、ここまでは割とよくある話。
だけどここからがこのケースの特異な部分です。

  1. A氏が別の掲示板で榎田およびFMCを「おもしろい!」と評価しているのを偶然見つけ「A氏=榎田」という幻想を脳内構築。

  2. 榎田及びFMCに対し誹謗中傷書き込みを開始。(全く無関係なのにです)

  3. 自ら利用した風俗店でトラブルを頻発させる。店員から叱責されたことを逆恨みし「風俗店長=榎田」「風俗店員=FMC女性スタッフ」という訳の分からないデマを吹聴し始める。

もう滅茶苦茶でした。

その他の書き込みで分かりましたが、この人物は求職のためハローワークに出入りしていました。
そのハロワからほど近いところにあったのが当時の旧FMCスタジオでした。(トップ画像)

こともあろうにこの人物は、我々FMCの玄関先まで立ち寄るようになったのです。

「榎田の娘(当時3歳)が3輪車で遊んでいた。次は声を掛けてみようかなー」
玄関先に現れないと分からない描写を書き込むようになりました。
脅迫レベルがエスカレートです。

「こいつは正常じゃない。きっと病んでいる。今止めないと、とんでもない罪を犯すかもしれない」
そんな思いが私を支配するようになりました。

そこから犯人探しが始まったのです。

地取り

まず、その人物(誹謗中傷の容疑者)が書き込んでいるネット掲示板の過去ログ数年分を集めて分析。プロフィールを浮き立たせていきました。

常連リスナーの弁護士らとも相談しつつ容疑者を絞り込みます。

実はこの容疑者、非常に饒舌でした。
人間関係、仕事、趣味などいろんな事を語っていました。
そして別に複数のブログを持っていることも判明。
これらのブログにはさらに詳細な記述があり、一気に鮮明なプロフィールが現れてきたのです。

そこから得られたのが下記プロフィールでした。
※プライバシー配慮のため若干ボカしてはあります。ご容赦下さい。

  • かつて首都圏でSEとして働いていた40代男性。

  • リストラされ失職。妻子とも離別。

  • 郷里に戻りパチンコ店などで働くもトラブル多発で離職続き。

  • 現住地は海に近い○○町。最近の高潮被害で床上浸水の被害を受けている。行政への不満が掲示板への書き込みのきっかけ。


ちなみに私は20代前半の頃「いろんな仕事を体験取材するコラム記事」を男性向けの某週刊誌で担当していました。
その企画の一つで「興信所の調査員」を体験しています。約1ヶ月間従事しました。
その時の所長がなかなかの好人物で、仕事のやり方を親切丁寧に教示してくれました。
「張り込み」「尾行」「身元調査のイロハ」などですね。
ベテラン調査員ほどのスキルはありませんが、簡単な素行調査など実はお手の物ですw


そんなわけで‥
ある日、私は県南の○○町に出掛けました。
目的は「地取り」つまり容疑者特定を目的とした聞き込みです。

元々災害に関する取材経験と基礎知識がありましたので、高潮被害が出ていたエリアは特定済でした。
1時間に1本有るか無いかというローカルなバスで其の地に直行です。

着いてすぐ、バス停近くでたまたま歩いていたお年寄りに声を掛けてみました。

「こんにちは。いつぞやの高潮は酷かったですねー!」
「はい。私の家は大丈夫だったけど、ほら、あの辺りは酷かったよ」
「あそこですか」

バス停は比較的高台にあり、集落が見渡せました。

「あの○色の家で1人亡くなられて」
「そうでしたか。大変でしたねー」
「いまは落ち着きました」

容疑者宅を半径30メートル以内に絞り込みました。

そして15分後。
私は1軒の古い2階屋の玄関前に立ち、表札を凝視していました。

「この家に違いない!」

ブログに書かれていた水害の様子と周辺の状況が一致していたこと。連絡先として記されていたメールアドレスに使われていたネームと玄関の表札にある苗字が同じ「読み」だったこと。以上の2点が決め手となりました。

このまま怒鳴り込んでやろうかとも思いましたが、グッと堪えてその場を静かに離脱しました。

4~5軒先のとあるお宅を訪ねてみました。

「どちらさま?」
「すみません。ちょっと道に迷っておりまして。○○さん(誹謗中傷重要参考人)のお宅を探しておりまして‥」
「あー○○さんならあそこですよ」
「あ!あれですか(分かってるくせにw)。ありがとうございます。○○さんは東京から戻られた40歳くらいの‥」
「はいそうです。でもこの時間はお仕事じゃないかしら」
「お仕事ですか」
「○○○○でバイトされてるとか」

決まりだ!

以降、現住所・電話番号・出身校・過去の職場・現在の職場その他諸々‥全てが揃うまで1週間とかかりませんでした。

相手の生活スケジュールを知ると、書き込みのタイミングも読めるようになってきます。

「そろそろいつもの時間帯だぞ」
「ほら来た!待ってました」

書かれているのは、私に対する謂れのない誹謗中傷なのですが、不思議と腹も立ってこないんですね。

「私はお前を知ってるんだぞ」と、
心に余裕があるからでしょう。


警察

数日後。私は県警本部にいました。
新設されたばかりのハイテク犯罪捜査室です。
と言ってもごく普通のオフィスで、役所のそれとなんら変わりはありません。
奥の応接コーナーのソファで待っていると、技官出身の担当者がお茶を携えて現れました。

「榎田さん、誹謗中傷ですって?」

私は、この県警の第1期サイバーパトロール(ボランティア)でありまして、総代として県警本部長から直接委嘱状を手渡されています。
この模様は県内全チャンネルのニュースで紹介されています。ちなみに私の存在は秘匿扱い(当時)で、首から下だけが映ってましたw

「この件ですが」
私はA4版で80ページくらいある告訴状を手渡しました。

「はいはい。データで頂いたものと同じものですか?」
「そうです」
「全て読み込みました。本当に酷いですね。しかも全て創作による悪口雑言でしょ」
「そうなんです」
「これについては○○署に話をつけてあります。今回榎田さん自身が容疑者を特定しちゃってるんで、私らの出番は無いですなこれは。ははは」

そんな感じで小一時間雑談して帰ってきました。
すると携帯が鳴りました。

「○○署の○○と申します。ハイテク室から話を聞いております。榎田さん、直接お話伺いたいので署までご足労可能でしょうか?お忙しいでしょうから私が伺ってもよいですが」
「いえいえ私から参ります(だって警察の中身が観たいからねw)」

というわけで後日その警察署に足を運びました。


取調室‥乾いた空気が部屋全体を包む‥‥‥
ではなく、普通の談話コーナーに案内されました。
ちょっと拍子抜けです。

現れたのは中年の如何にもベテランの風格が漂うA刑事と、血気盛んな若手のB刑事という「静と動」なバディでした。
とりあえず便宜上A刑事を「和久さん」B刑事を「青島」と命名致しますw

青島「榎田さん。訴状読みました。いやぁこれまでよく我慢されましたね。私は読んでいて腹が立って腹が立って」

和久「まぁまぁ抑えろ。ところで榎田さん、この訴状に書いている人物。仮に容疑者ということにはなりますが、警察としてはきちんとした法的根拠が無いと検挙はできないわけでしてね。ま、仮にこの人物が容疑者だったとしてですよ。今捕まえても微罪なんですよね」

榎田「では泣き寝入りをしろと」

和久「いえいえ。警察としては榎田さんが見つけたこの人物を容疑者として特定する段階にはないという、そういう話なんですよ」

青島「それといま逮捕してもすぐ出てきます。名誉毀損とか侮辱罪とかは微罪ですから。こういう輩はシャバに戻ったら必ず付きまといます」

和久「やはり捕まえるならもっと重い罪で捕まえないと‥」

榎田「というと?」

青島「こういう輩は必ず何か犯罪を犯します。その時です逮捕は!」

和久「何度も申しますが、この訴状にある人物がですよ。ま、あえてそれが容疑者として正しいか否かは申せませんが(顔が紅潮してきた)‥いまは我々の口から申せませんけどね。こいつは必ず犯ります。私たちは確信しております。絶対検挙します。許せんのですよこの○○○(容疑者実名)は!」

青島「(和久さんw)」
榎田「(あ、言っちゃったw)」

青島「じ、実は我々も以前からマークしとったんですこの男」

和久「あいた~しまったぁ。興奮してこっちが吐いてしまった。はい。この○○○(容疑者実名)にはムカムカ来とったんですよ。実は。ははは」

急に和んでしまった。
そして結論はこうなりました。

  • ここは辛いだろうけど、榎田さんもう少し我慢してほしい。

  • 不測の事態に備えてパトロールを強化する。

  • 必ず容疑者は検挙してこの件を終わらせる。

「分かりました。お任せます」
ということで警察署を後にしました。


検挙

警察署での談話(容疑者を警察オフィシャルで特定w)から3ヶ月。

相変わらず誹謗中傷は続いていました。
その誹謗中傷妄想エネルギーたるや凄まじく、自分が起こしたトラブルの相手方は全て「=榎田」になっていました。

此の頃までに容疑者が設定した私の職業は、デリヘル経営者、コンビニ店長、スナックのマスター、ソープのボーイ、レンタルビデオ店の店員などなど。もう支離滅裂でしたw

ある日の夕方、ローカルのテレビニュースをぼんやりと眺めていました。
流れてきたのは「○○町に住む○○○容疑者(40代)が強制わいせつで逮捕された」‥というニュースでした。

ぼーっとしてましたので、気付くまで5~6秒かかりましたが‥

「げ、うそ!あいつじゃん!!」

間髪入れず件の青島刑事から電話が入りました。

青島「榎田さん!やりました!検挙しました!」

訊けば事のあらましはこんな感じでした。

  • 携帯ショップに機種交換に現れた容疑者。

  • 女性店員に目をつけ、ムラムラしながら閉店時刻まで屋外で待機。

  • 仕事を終えて出てきた女性店員を尾行。

  • 帰宅した女性店員が自宅アパートの玄関を開けたところを暴行しよう押し倒したが激しく抵抗され何も出来ずに逃走。

  • 顔を見られた上に個人情報を携帯ショップに握られていたので秒殺で逮捕。

実にトホホな犯罪でありました。

青島「でも侮辱罪とかじゃないですからね。強制わいせつです。重いですよ!」

榎田「お世話になりました」

その後、容疑者は起訴され、精神疾患が顕著だったこともあり「強制措置入院」となりました。


被害にあった女性は本当にお気の毒であります。
お怪我など無かったと伺っておりますが、尋常ではない恐怖を感じられたと思いますし、心の傷にもなっていると思います。
改めまして、心よりお見舞い申し上げます。

件の容疑者は普段から複数のネットユーザーと頻繁にバトルを演じていましたので、いつかそういう人たちと暴力沙汰でも起こすんじゃないかな?‥その時が検挙のタイミングなのかな?‥とぼんやりイメージしていたのですが、まさか強制わいせつとは全く想定外でありました。

犯罪予防の観点では私に対する誹謗中傷の時点で検挙すべきだったという声もあるかと存じます。
これについてはネットトラブルと司法のあり方という重いテーマですので、また改めて論じてみたい思います。


さて、あれから相当な年月が経過しました。

その後、犯人からの接触はありませんし、書き込みもありません。
全て終わりました。

極めて異常な体験でしたが、此方も肝が座るようになりました。
今では少々の誹謗中傷など痛くも痒くもありませんし、とっ捕まえるのが笑っちゃうほど簡単になったので余裕ですw

(了)


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