(小説)砂岡 1-0「イルガ」
おお、蒼ざめしオフェリアよ、淡雪の美しくはかなく
花乙女みまかりつるよ、流れの水に運ばれて!
ノルウェー高嶺おろしのつぶやきの
自由の風にさそわれて!
ランボー
「こちらEL1128便、イルガタワーへ。入雅(イルガ)港へのクリアランスは有効か?」
「了解、EL1128便、こちらイルガタワー。少し待ってくれ。方位224、セクションβで待機せよ。」
「こちらEL1128便、イルガタワーへ。セクションβは渋滞らしいな。こちらはサラミース級だ。考慮してくれないと困る。」
「こちらイルガタワー、EL1128便へ。急かされても困る。こちらの現状は知っているだろう。」
「ネクロポリスか・・・。」
「そうだ。その通りだ。EL1128便。現在ネクロポリスのオケアノス級計4隻が停泊中だ。たった4隻で羅伊馬港は一杯さ。わかるだろ。そんでもって、当局と揉めてやがる。」
入雅県の独立運動が本格化して3年、不法入国者は3年前の5倍に膨れ上がっている。
不法入国者の大半は海が干上がっているこの夏の3ヶ月間に例のホバークラフトでやってくる。入雅の独立運動に、いま、世界中が注目している。
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