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(小説)solec 2-5「※※※」


 「よし!降りるぞ!」第三資料棟からほど遠いテニスコートなら降りられる。

「待て!ブライアン!」

「なんだ?操縦士!?」

ガンッ。ヘリが急上昇する、ブライアンは振り落とされないよう必死にしがみつく。その瞬間、今降りようとしていたテニスコートが吹き飛ぶ!ヘリは巻き込まれるが、なんとか体勢を保つ。このパイロットは強運の持ち主だろうか?

「おいおいソレク軍のレーダーは節穴か?第三資料棟が狙いじゃないのか!」ブライアンは皮肉混じりに不平を言う。

「この研究所全体なんじゃないんですかね。」

緊急回線:「あなたちに警告するわ。私はソレク軍総指揮者ヒイラギ ミユ。」

「おい!テメェ!※※※!※※※※※!いい加減この攻撃をやめさせろ!※※!」

「さっきから何度も呼び出しているのだけれど、聞く気がないようね。維持隊は直ちに下がりなさい。警告は何度もしているわ。指揮権はこちらにある。」

「うるせぇ!※※※!こっちはあんたみたいな※※に構ってる暇なんてねぇんだよ。麗しき乙女を救出しなきゃなんねえんだ。せめてその後だっていいだろ!」

「あなたたちを撃墜することもできるのよ。」

「やれるもんならやってみろっ。」

「俺たちはいつだって、あんたらの尻拭いばっかさせられてんだ。その俺たちを撃墜できるもんならやってみろよ!※※※!。」

「いいわ。あなた方のことはよくわかりました。ここで議論をしても無駄ね。ブライアン隊長、あなたのその意見は部下の総意と見なしていいわね?」ぶつり。

操縦士が通信を切った。

「当たり前じゃないですか。隊長。」

「維持隊バンザイ!」

「ヒュー!村長!言ってやりましたね!それでこそ民主的社会主義ってやつですよ!」

「みんな・・・。」

ブライアンは怯えていた。なんてことを言ってしまったのだろうかと。

「今の状況、わかってる?」

もう俺たちに、味方も未来もない。

だが、村長は強かった。

「お、おう!お、俺についてこい!作戦を立て直す!」




 「芸術とはそもそもなんであろうか。その応えにこそ、悪がふさわしいと思わんか。ひとの持つ倫理観が、それ自体、どれほど残酷で愚かなものか!」



 「3、2、1、よし今だ!」

テニスコートに接地。1番機が見張りながら2番機と3番機が降りる。

「よし!いいぞ!」

1番機は全員が無事降りたことを確認すると、出入り口へ脱出経路の確保へ向かう。

煉獄へと無事に降ろされた2番機と3番機の部隊はブライアンの指示で近くの建物から地下へ向かう。

「見張りに出したタイガーアイが何か捉えた!・・・これは。」

「なんだ?」

手元のパッドで確認する。酸素濃度が異常に高いことを示していた。これは・・・

「村長、これはどういうことだと思います?」

「前に同じことをここでしたことがある。」


 1番機が入り口付近に降りると伏兵が現れた。皆、白装束を着て適当な武器で応戦してくる。相手は素人だが、キリッとしていて数が多い。脱出経路の確保には時間が掛かりそうだ。




 「ソレク軍にとって我々のような存在は必要悪として渇望されていた。クリーンな、理想的社会、そこでは倫理的には行えない実験。ここにはそんなものばかりだ。飼いならされていたのさ。あぁみんな知っていたさ。亡命した君の父親もね!これで終わりだ。ソレクのお望みどおり、最後まで、演じきってやる。ちくしょぉぉぉ。うわぁぁぁぁ。」



 地下は半壊状態だ。

「昔の下水道か地下鉄を使って地下にもミサイルを打ち込んでるんだろう。あの時もそうだった。」
「村長、これ・・・見てください。」
人間の剥製。比喩ではなく、本物だ。
「これ、人体の芸術展か、何かで、見たことあります。」
「作戦中だぞ。いいな。これから何を見ても、何があっても、構うな。敵が現れたら、即座に撃て。躊躇うな。」
ブライアンに怒りがこみ上げていた。すべてがあの日の再現なのではないか。確信が持てる。きっとこれは復讐なのだろう。これもすべて演出なんだ。ソレクが日本にやったことを今度は・・・俺たちに。

ソレクが躍起になってこの地を破壊しようとするわけが、ようやく理解できた。ソレクにとって戦争はまだ続いていたんだ。いや、では何故、今なんだ?

その時、手元の映像が乱れ、消える。

緊急回線:「メインサーバがダウンした。それから、インフラも軍に掌握された。君たちへのバックアップはもうじき止まる。それから、村長はもう気づいているかもしれんが、こいつは手の込んだ復讐だ。ふぅ。先ほど、スホーイ34S二機がナパームを積んで空母ガンダーラを出た。目標は当然。」ミーナの声だ。ぶつり

「隊長、無線が。」(村長と呼ばないので)部下も緊張を感じ取ったようだ。
「ハッピーエンドにしようぜ。」
そう言ってブライアンは笑う。
だが、笑顔になったって状況は変わらない。

映像が届かなくなった以上、彼女の居場所もわからないのだ。

そのとき、館内の複数箇所に設置されたモニターに彼女の姿が映る。しかし先ほどまでパッドに表示されていた彼女のカメラで撮った映像ではない。白装束の男と彼女のふたりが巨大なホールのような場所のど真ん中に、向き合って座っているだけだ。だが、台詞は饒舌だ。


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