見出し画像

黒歴史に向き合う

 先日、ある大学に特別講義をしに行った。

 講義をさそってくれたのは、かつて私が理学部の大学院に所属してたときの研究室の後輩。某有名大学の教授になっている。

 もう何年も特別講義を依頼してくれている。いわば秋の恒例行事になっている。コロナ渦でずっとオンラインだったので、キャンパスを訪れるのは実に4年ぶり。やはり対面講義はいい。

 交通費くらいしか出ないけれど、この講義を引き受けているのは、「義理人情」からでもある。

 私が研究室を追い出されたとき、この後輩だけは唯一関係を絶たず、交流し続けてくれた。これがどれだけありがたかったか。

 地獄のような絶望のなかの光だった。死なずに生き残った一つの理由でもある。

 だからどんなに安くても、言ってしまえば手弁当でも、この講義は引き受ける。

ここから先は

1,270字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?