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異端の医学部論1

 かねてから書いてきているように、私はそもそも20代半ばまで医学部(医学科)に入りたいと思ったことはなかった。

 子供の頃、弟が住んでいたマンションの階段で悪ガキに突き落とされて血まみれになったとき、怖くなって近所の公園へ走って逃げたくらい血が嫌いだった。

 逃げたことは後々まで あれこれ言われることになるのだが(弟には悪いことをしたが、子供がいても何もできなかったとは思う)、いずれにせよ、血を見る医学部なんかとても考えられなかった。

 そんな私が運命の悪戯で医学部に入り、血を厭わず病理解剖に従事したりしているわけで、不思議なものだと思う。方向転換の経緯は散々書いてきたので、ここでは述べないが、医学部に入る気がない人間として医学部をどう見ていたか思い出してみたい。

 私の家系にはまったく医者などいないので(遠縁に看護師はいた)、医者との接点は近所の開業医くらいしかない。

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