医師にならなかった医学部卒業生の行方
医学部医学科はよく医師養成専門学校とか、医師免許教習所などと言われる。
大学にある多くの学部や学科と異なり、医師というたった一つの職業に就く人を養成している。そういう意味で、目標は明確だ。
これが例えば私が医学部に入る前に在籍していた理学部では全く異なる。理学部を卒業したからと言って、特定の職業に就ける訳ではない。それぞれが自分で考えて進路を選択しなければならない。
もちろん医学部だって、どの科に進むか、どの病院、どの地方で働くかといった選択に迫られるわけだが、いずれも医師免許取得を前提としているわけで、その幅は狭い。
例えていうならば、医学部卒業後の選択の幅は、人類の中の人種の違いのようなものだ。見た目や住むところ、習慣など、大きく違っていても、人類には変わりはない。
一方で他の学部の選択の幅は種の違いくらいの幅がある。理学部なら研究者、学校の先生や産業界など、多少限定されてはいるが、多様な職に就く。
いま私は、そうした理学部などの大学院を出て、多様な道に就けることを示すことをミッションにしているくらいだ。
上記の本を見ていただけたら、それなりに選択の幅があることが分かるだろう。これでも一部しか扱っていないではないかと批判されるくらいだ。
話を戻すが、医学部医学科は医師を養成することが目的の学科である。ということは、医師にならなかったらどういうキャリアパスがあるのかが想定されていない。
確かに「めずらし医」として変わり種の進路が取り上げられることあるが、医師から外れた人はあまり取り上げられない。
いつぞやは医学部卒業後にテレビ局に入った人がいて、かなり批判されたくらいだ。
ジャーナリストになった医学部卒業生はちらほら聞く。
こうした人たちは、まあ変わり種だとは思うが、それでも想定の範囲内だ。私自身が科学ジャーナリスト賞を受賞した物書きという側面がある。
医師免許を取らない、取れない、あるいは取っても使わない人たちがどうなるのか。東大卒でマッキンゼーなどといったきらびやかなキャリアは知られているが、そうでない場合、その実態はあまり知られていないと言える。
有料部分では、私の知り得る範囲で、そういう方々がどういう職業に就いているかを書いてみたい。
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