死産したばかりの女を想う
死産したばかりの女
隣の若夫婦
二人の目線の先にはいつも
赤子の泣く声、笑う声
苦しみを逆撫でする光景は
目を背けたくても不可能なほど
女の周りに溢れている
すべての人が憎くなる
憎しみを抱く己を赦せなくなる
幸せな光景を眺めながら
架空の女を想うのは
心が荒んでいるからなのか
決して計り知れない
無意味な妄想
幸せを幸せのまま
受け取ることができたらと
描く理想は遥か遠く
有りもしない悲劇を構築し
自らを虐めて蝕んで
どこまで落ちたら気が済むのか
無防備なこの身体
体幹は後でも良いから
その場しのぎの若い筋肉で
力尽くに抱き寄せて
我が身をひとつに統一し
何よりも愛すべきは
妄想上の女でも若夫婦でも
未来を担う赤子でも無い
ここに生きた己の他無い
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