解説
メソッドと呼ばれる方法論は世の中に溢れていますが、フェルデンクライス・メソッドの一風変わった特徴は「正しい仕方を教えない」というものです。
実際、わたしたちは立つのも、歩くのも、走るのも、話すのも、誰かから「正しい仕方」を教えてもらって学びませんでした。
それらは成長する過程で、自然に習得していったものです。
わたしたち自身、自分がどうやって走れるようになったか、また話せるようになったか説明ができません。
それらの学習は全て、脳が自動で行ったものなのです。
モーシェはそのような脳の特性に注目して、「正解」を教えるのではなく、「選択肢」を教えるように言いました。
脳は、体験した選択肢の中から、最善の動きを状況に応じて選ぶようにできています。
ですからフェルデンクライス・メソッドのレッスンの目的は、その人の選択肢、可能性をその人自身に体験させることなのです。
モーシェ・フェルデンクライス博士(1904 – 1984)は、人間がどのような存在なのか、天才的な知恵と知識を用いて解き明かそうとしました。
彼の考案したレッスンは、自分で自分を制限してしまっている状態から解放され、自らの可能性に気付くためのものです。