見出し画像

人生で初めてお化け屋敷のギミックを作ってみた - IT×お化け屋敷「怨の家」制作裏側

岐阜県大垣市の古民家をリノベーションしたイベントスペース「ennoie ミドリバシ」を貸し切って開催予定のお化け屋敷「怨の家」(主催:合同会社4D Pocket×カラメル、協力:HOPTER TECH SCHOOL)。
その制作の裏側をお見せします。

こんにちは。
私は、システムエンジニアの育成・就職に特化したフリースクール「HOPTER TECH SCHOOL」2年生の深尾 真矢と申します。
本記事では、「怨の家」のギミック制作で、私が担当した部分における苦労したことや、そこから学んだことを掲載したいと思います。

1.ギミックを制作することになった経緯

「怨の家」において、ギミック制作することになった経緯としては、フリースクールの先生と先輩から声をかけられたことから始まりました。

「ITを使った展示を一般の人にも参加しやすいようにお化け屋敷の形式にして、無人お化け屋敷というのをやろうと思うんだけど、ギミックの1つを同学年のみんなで担当してみない?」

私はお化け屋敷自体は知っていても、お化け屋敷の制作側を担当したことはありませんでした。
どのように制作を進行していけば良いのか、どのようなものが完成形となるのか、全く想像ができませんでした。
しかも、通常のお化け屋敷ですらなく、ITを使った無人のお化け屋敷ですから、より自身の経験からかけ離れたものです。
ただ、お化け屋敷の制作に携わるという貴重な機会であるとも感じました。
逃せばまた同じことはないだろうと感じ、わからないながらも興味本位で参加することとなりました。

2.苦労したこと

前述のとおり、私は無人のお化け屋敷がどういうものになるのかイメージできておりません。
さらに言えば、テーマパークにある一般的なお化け屋敷にも一度か二度しか行ったことはありませんでした。
ギミックを考案から完成に至るまでには、4つの苦労したことがありました。

① ギミックのアイデアを考える

同級生で話し合いを続け、決定に何日もかかりました。
自分たちの中からしっくりくるアイデアが出せず、コアメンバーや先輩方のアイデアをお借りするという結果となりました。
【アイデアスケッチたくさんの写真】
【めいっぱいのアイデアスケッチの写真】

決まったアイデアの内容は、「壁の前を通ると、壁からたくさんの目が通過者を覗き込む」というギミックでした。

② どのように「目」を表現するか

壁から覗いている目には、LEDを使用しようと考えました。
しかし、LEDをただ配置して光らせるだけでは目には見えず、ただのイルミネーションのように見えてしまいます。
目らしさとは何かと検討を続け、それは「瞬き」と「LED間の距離」ではないかということに行き着きました。
「瞬き」の表現は、LEDを2個ずつで1セットとし、1セットをランダムな時間で点滅させます。それにより、各セットで光量が一瞬途絶えて、瞬きしているような表現となりました。
また、「LED間の距離」も、2つのLEDの距離を少し変えて配置しては、部屋の明かりを消して複数のスタッフで確認し、多くの人が「目」と認識できる距離は何mmなのかを検証しました。
【めいっぱいのLEDの写真】

上記の2点により、本当に壁から目が生まれ、何者かに見られているように感じるようになりました。

③ どのようにしてギミックに気づいてもらえるか

「怨の家」では、来場者は専用タブレットを使って謎を解きながら進んでいきます。そのため、常に画面を見ながら暗い道を進むため、ギミックに気づいてもらえない可能性があります。
そこで、ギミックに気づかせるために音を出そうと考えました。
何者かに見られていることを気づかせる、そんな音の選定を始めました。

最初に考えたものは、古い床をギシギシと歩いている音です。
けれど、壁から覗いているという内容と歩く音は、どうしても当てはまらないということでボツになりました。
現在でも何種類もの案の中から最適な音を考えています(どんな音が採用されたのかは、実際に体験してみてください)。

その他にも、人の通過を検知するためのセンサの感度や目を設置する高さ等、細かな調整が尽きません。

例えば、お客様には、子どもから大人まで様々な方がいます。
必然的に身長も異なります。
目の位置が高すぎれば、身長が低い人からすると、光るLEDが「目」には見えず、見られている恐怖感がなくなってしまいます。その対策として、私たちはLEDを2個×12セットの合計24個を用い、壁の高さ1000mm〜1800mmの間に、それぞれ配置して、どの身長でも目の高さと同じくらいにLEDが1セット以上存在するように調整しました。

ギミック完成

3.学んだこと

今回のお化け屋敷制作では、常に一般的なお化け屋敷に対する知識の無さと、開発経験の不足を痛感しました。
ギミックの決定にしても、音を決定するにしても、膨大な選択肢の中から、どれを選ぶことが最善なのか悩み続け、なかなか決定に至りませんでした。
普段は、ITによる問題解決のためのプロトタイプ作品を作っていますが、何を作るにしても同様にインプットと経験がとても重要なものだということを深く深く理解したギミック制作でした。

ただ、様々な角度から検証と調整を繰り返した私たちのギミックを、ぜひ体験してみてください。
現地でお待ちしております!


この家にあの子は奪われた――
ITを用いた驚かせ役がいない前代未聞の無人お化け屋敷「怨の家」
日時:8月27日(土)・28日(日)
参加:完全予約制(32組限定)
場所:ennoie ミドリバシ(岐阜県大垣市西外側町2丁目46)
https://ennoie.4dpocket.co.jp/

「怨の家」スタッフ
【プロデューサー】石郷 祐介(合同会社4D Pocket)
【総合ディレクター/演出】青木 聖(カラメル)
【アートディレクター】中村 魁斗(HOPTER TECH SCHOOL)
【テクニカルディレクター】佐藤 宏樹(カラメル)
【演出補佐/撮影/広報】清水 亮太
【演出補佐/デザイン/Web】出口 瑞渉(HOPTER TECH SCHOOL)
【デザイン】小寺 真里亜(HOPTER TECH SCHOOL)
【開発】間宮 祥太(サン企画)、石原 武流(HOPTER TECH SCHOOL)、木村 俊行(HOPTER TECH SCHOOL)、地海 斉樹(HOPTER TECH SCHOOL)、若林 亮吾(HOPTER TECH SCHOOL)、江﨑 亜美(HOPTER TECH SCHOOL)、奥村 元春(HOPTER TECH SCHOOL)、後藤 翔哉(HOPTER TECH SCHOOL)、中島 暢慎(HOPTER TECH SCHOOL)、深尾 真矢(HOPTER TECH SCHOOL)、山田 さくら(HOPTER TECH SCHOOL)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?