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季節性気分障害とエニアグラム

季節性気分障害、もしくは冬うつ、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日照時間の長さが季節で大きく変わる北欧に多く、日本でも日照時間が短くなる冬場に聞く病気です。

通常のうつ病は、眠れなくなる、食欲がなくなるといった症状が特徴的ですが、冬うつの場合は、睡眠時間が長くなる、食欲が増すなどの逆の症状が出ます。たくさん食べて活動レベルを落とす。まるで身体が本能的に冬眠しようとしているかのようです。

とはいえ、クマのように冬だからという理由で仕事の時間を短くしたり、家に引きこもったりできるわけではありませんから、人間にとっては悩ましいです。

かくいう私も一時期冬うつに悩まされ、本当に困っていました。ちょうど日が短くなるシーズンに気分に変調をきたすのです。11月~3月くらいの間です。一時期とはいえ、それなりに長いです。

夏場に比べて格段に眠いし、食欲が増す。何より情緒不安定。身体全体が腫れ物になったような気分でした。ひどいときは、お店の店員さんに注文する、電話に出るなどの、日頃はなんともない人との会話が怖くて、心が折れてしまいそうでした。

自分にとっても、「何か(別の人格)に取りつかれたんじゃないか」と思うほどの変貌ぶりで、心底困り果てました。まるごと身体を包み込んでくれるカプセルにでも入って一歩も外に出ずに越冬できたらいいのに、などと妄想したものです。

今ふり返ってみると、当時通勤時間が長く、冬場は朝の暗いうちに通勤して、日が落ちてから帰宅する生活でしたので、日を浴びる時間が圧倒的に足りていなかったのではないかと思います。

でも、日照時間が短くなったからといって、すべての人が気分障害を起こすわけではありません。

気分障害を起こす人、起こさない人、この違いってなんなんだろう。

ずっと頭の片隅に引っかかっていたこの問いの答えが、エニアグラムにありました。

Tina Thomasさんの「Who Do You Think You Are?」という本に、タイプ4の季節性気分障害のクライアントのエピソードが載っていたのです。

Tina Thomasさんはエニアグラムと神経伝達物質の活性度の関わりを研究しており、そこには明確な関連性があると説いています。

エニアグラムに関わるのは、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンという3つの神経伝達物質です。

ノルアドレナリンは考え方、セロトニンは感じ方、ドーパミンは行動の仕方に影響を与えており、この3つのホルモンの活性の高さの組み合わせがタイプごとに共通しているのです。

例えば、タイプ9はノルアドレナリンは低め、セロトニンは高めです。タイプ9は気分が安定していて幸福感を得やすい気質です。Tinaさんはタイプ9を「ホルモン宝くじで大当たりの人」と言っています。

一方、タイプ4はすべてのタイプの中で「最もホルモンに恵まれなかった人」です。タイプ4はノルアドレナリンは中程度、セロトニンは低めで、一番うつになりやすいタイプだそうです。感受性が高く、気分の浮き沈みが激しいのです。

”スーパーセンシティブ(超繊細)”とも表現されていて、HSP(とても敏感な人)にあてはまる人は、ひょっとしてエニアグラムではタイプ4に該当するのかもしれませんね。

さて、セロトニンはおひさまの光にあたると分泌が増えます。日照時間が短い季節に日を浴びる時間が短くなると、連動してセロトニンの分泌も減ります。

セロトニンの活性度と日照時間の観点から考えると、平常時からうつに片足つっこんだ状態のタイプ4にとっては、気分の安定を保つセロトニンはギリギリでやりくりされていて、日照時間が短くなることでセロトニンの分泌が減少すると、限界値を下回ってしまい、結果的に冬うつ状態を引き起こすのではないでしょうか。

そう考えると、自分が暗いうちに出勤して、暗くなってから帰宅する生活になったときに、冬うつにかかったのもうなずけるのです。

それと同時に、冬うつが生まれつきのセロトニンの活性の低さやタイプ4であることが原因だと言われると、救われるような気もしました。

冬うつ症状はつらいこともさることながら、その響き自体も心地いいものではありません。

でも、原因は、偶然、ホルモン(神経伝達物質)のくじに外れたことにあったのですから、私に非はないというか。どうしようもないじゃんねって。

元々そういう星のもとに生まれたと言われたほうがかえって諦めがつくというか、開き直れるというか、腹をくくれるというか。この感じ、伝わるでしょうか。

冬場に体調を崩したりする自分を「ダメな自分」「欠陥品」と呪うとつらくなってしまいます。そういう部分があるのはもはや仕方ないから、うまい付き合い方を考えていこう、という感じです。

人間、受け入れてこそ前に進めるものです。

冬うつには日光浴が効果的ですので、対策としては、日光浴や照度の高い照明にあたる(冬うつ対策グッズ)などがあります。

また、身体を動かすとセロトニンの分泌が促されるので、運動を取り入れるのもいいですね。タイプ4は本能的には運動の必要性を感じにくく、あえて運動しよう、などと思わない傾向があるので、生活に取り入れる努力をしてみるのも手です。書いてて耳が痛いですが(笑)

最後に、Tinaさんはタイプ4をフェラーリのような高級車、と表現しています。「高度なメンテナンス、優れた燃料、最適なドライバーを必要とするが、すべての条件が整えば、これほどのパフォーマンスを発揮する車はこの世に存在しない!」ってね。

落ち込みやすかったり、気分の浮き沈みが激しかったりして、コントロールの難しいタイプ4ですが、乗りこなして最高のパフォーマンスを発揮したいですね。



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