【よくある質問】エニアグラムのタイプに相性はあるの?

エニアグラム・ファシリテーターの高橋あけみ(@akemi_ennea)です。

「エニアグラムにはタイプ同士の相性ってあるの?」というご質問をよくいただきます。

たしかに、相性の良いタイプ・悪いタイプを知っていれば、職場での人事配置や、恋愛のパートナー探しなどに役立ちそうです。

そこで今回は、私が「エニアグラムのタイプに相性ってあるの?」と聞かれたときに、どのようにお答えしているかをお話ししたいと思います。

エニアグラムにタイプの相性はない

いきなり結論を言ってしまうのですが、エニアグラムには「このタイプとこのタイプは相性が良い(または悪い)」といった、固定的な相性というものはありません

どのタイプの組み合わせでも、合う部分・合わない部分があります。

例えばタイプ1とタイプ4であれば、互いに完璧主義的で、細部まで気を配った仕事をするという点で、通ずる部分があります。

一方で、お互いの違いが気になってしまうこともあると思います。
タイプ1はタイプ4の気分の変わりやすさや自意識の強さに、タイプ4はタイプ1の厳しさや柔軟性のなさにうんざりしてしまうかもしれません。

しかし同時に、タイプ1はタイプ4から自分の気持ちを大事にするということを、タイプ4はタイプ1から自分を律して努力するということを学べる可能性があります。

このように、お互いの共通点や補い合える点に着目すれば「あの人とは良いコンビだ!」となりますし、お互いの違いを「うまが合わない」と解釈すれば、いつまでも「うまが合わない」ままになります。

また、たとえ同じタイプ同士であっても、似ているからこそ親近感を抱くこともあれば、同族嫌悪に陥ってしまうこともあると思います。

そのため、一概にタイプの相性を決めることはできないのです。

「相手のタイプとの相性が良いか悪いか」ということよりも、「相手との共通点や違いをどう受け止めていくか」が大事なことかなと思います。

健全であればどのタイプともうまくいく

もっと重要なことは「健全であればあるほど、タイプに関わらず、どんな人ともうまくやっていけるようになる」ということです。

エニアグラムには「健全度」という考え方があります。

端的に言えば、より精神的に成熟していて、人としての器が大きければ、他の人にも思いやりをもって接することができ、満たされた人間関係を築くことができるということです。

逆に、より精神的に未熟であれば、心の余裕や思いやりがなくなり、周囲と良好な人間関係を保つことは難しくなります。

そのため、自分自身がより成長し、人として成熟していけば、タイプの相性云々という話は、そもそも問題にならなくなってきます

そうは言っても相性の良し悪しはある

「そうは言っても、実際に友人や同僚を思い返してみると、相性の合う・合わないってあると思うし、特定のタイプに偏っている気もするんだけど…」

とお思いの方もいらっしゃるかと思います。

心理学的には、人が人に好印象をもつ要因の一つに、「類似性の法則」があると考えられています。これは、出身地が同じとか、共通の趣味をもっているといったように、共通点のある人同士は親近感や好意をもちやすいという法則です。

そこでここからは、エニアグラム的観点から、もう少し掘り下げて「類似性」というものを考えてみたいと思います。

「3つの本能」のバランスが似ていると、人生における優先順位が近くなる

エニアグラムには、タイプとは別に「3つの本能」という概念があります。

これは、人間に備わる「自己保存的本能」「性的(セクシャル)本能」「社会的(ソーシャル)本能」という3種類の本能のことです。
(詳しくはこちらのnoteをご覧ください。)

この3つの本能は、人ごとに、発達度合いのバランスが異なります。

例えばある人は、3つの本能の中で、安全や快適さを求める「自己保存的本能」がもっとも優位で、組織への所属や人脈構築に関わる「社会的本能」が盲点であったりします。

またある人は「社会的本能」が優位で、魅力や冒険心に関わる「性的(セクシャル)本能」が盲点であったりします。

※「優位」とは、3つの本能の中でもっとも発達していることを意味し、「盲点」というのは、もっとも未発達であることを意味します。

こうした本能のバリエーションですが、3つの本能の順番が同じ(または近い)人同士は相性が良いと言われています。
なぜなら、人生の中で優先したいことや、関心の高い領域が近くなるからです。

例えば「自己保存的本能が優位」の人同士であれば、仕事上では、セキュリティや契約(=安全に関わること)、職場環境の美化や利便性(=快適さに関わること)などについて高い意識を共有できる可能性があります。
家庭内では、家事や家計、保険といった、生活の基盤に関わるテーマを共有しやすくなります。

とはいえ、タイプの話と同様、本能のバランスがまったく真逆の人同士でも、お互いの得意・不得意を補い合って、かえって強いタッグとなるということもあり得ます。

親の性格や家庭環境が似ていると、仲良くなりやすい

家族構成や育ってきた環境、親の性格や養育スタイルが似ている人同士は、相通ずるものがあるように思います。

性格というのは、気質(エニアグラムにおけるタイプ)のように先天的な要素と、育ってきた環境によって後天的に発達する部分があります。

後者については、子ども時代に周りの人(とくに親などの養育者)からどのようなメッセージが送られ、それをどれだけ自分の内部に取り込んできたか、というのが性格形成に大きな影響を与えます。

例えば、親が厳しくて完璧主義傾向が強く、「~ねばならない」というメッセージを日常的に受け取っていると、子どもも自己批判的になり、あるがままの自分でいることが難しくなったりします。
(子どもが実際にそのように育つかどうかは、子ども自身のタイプにもよります)

これは一例ですが、親の性格や育ってきた環境が似ていると、受け取るメッセージも似たようなものになり、同じような人生のテーマ(ないしは「傷」)をもっている可能性が高くなります。

そのため、たとえお互いのタイプが違っていても、どこか通ずるものを感じたり、話が合うと感じることが多くなるのではないかと思います。

まとめ

以上のことを見ていくと、「相性」と一口に言っても、多くの要素が絡まり合っていることが分かります。「タイプ〇とタイプ△は相性が良い」と単純に言える問題ではないのですね…。

「このタイプだから合う/合わない」と頭から決めつけてしまうよりも、お互いの共通項を見つけてみたり、「こういう人とはどうしたらうまくやっていけるんだろう?」と工夫してみたりすることが、よりよい関係づくりに必要なことかなと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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▼今回の記事は、リソ=ハドソンのエニアグラム理論をベースに、筆者個人の見解を加えて執筆しました。

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