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箱根山学校(9/20-9/23)

箱根山学校に参加してきた。

Xで告知を見つけて「気になるなぁ」と思いつつしばらく寝かせていたのだけど、最終的にえいやっと申し込んだ。西村さんのこの言葉に惹かれたからかもしれない。

この学校は、なにが学べるのかよくわからないまま10年目をむかえようとしています(正確にはコロナを挟んで11年目)。わかるとか、成長するとか、出来るようになるといった即物的な効果・成果を求められがちな時代に、なにやってるんでしょう。
でもそういうのはもう十分じゃないですか。人のことを「変えよう」とする本やイベントや情報が多すぎる気がします。ほっといてくれ!

●1日目:9/20(金)

はやぶさで一ノ関まで行き、マイクロバスに乗り換え箱根山テラスへ。着くとプレキャンプの参加者がクロージングをしている最中で、しばらくテラスで待機。久しぶりの再会を喜ぶ人たちを横目に、ぼーっと座っていた。

点呼と部屋の鍵の受け渡しがあり、同室の人を見てほっとする。たぶん波長が合うと思う。第一印象で「合う・合わない」をジャッジするのもどうかと思いつつ。

プレキャンプ参加者から話を聞いたあと、自己紹介大会(第1弾)がスタート。プログラムを見ると自己紹介大会だけで合計6時間ある。ひとり10分話すので、結構いろんな情報が出てきてよかった。よくある「東京から来ました塩冶です。ライターやってます。よろしくお願いします」みたいな自己紹介では意味がないと思うから。

夕食はサンマ。テラスで食べた。

夜はお酒を飲みながら歓談。同じく年長さんの子どもがいるという女性と、子育てや仕事の話をした。

部屋に戻ってまたお喋り。寝たのは0時すぎだったかな。


●2日目:9/21(土)

雨。早朝の散歩はナシ。
センターテーブルのまわりで輪になって、コンディションの共有から1日が始まる。

「眠いけど、元気です!」みたいなことを言ったら、西村さんが「社交はいらないからね」と穏やかな表情でポツリ。

社交はいらない。

この一言で、西村さんのことが怖くなった。全部見透かされているという怖さ。自分の一挙手一投足が、社交なのか本心なのか分からなくなってくる。

そのままの自分では居場所が作れなかったから、生存戦略として身に着けてきたのが社交だったんだけどな。もういらないの? どうやって捨てたらいいの?

午後は陸前高田で活動する方々の話を聞き、その都度「どう思った?」と3~4人で話す時間があったのだが、これもしんどく感じてしまった。嘘を言っているわけじゃないけど、それっぽい言葉を並べているだけのような気がして。喋るたびに気持ちが沈んでいく。一人にしてほしい。

夕方にやった哲学対話が心地よかったのは、話したいテーマを自分で選んだのと、「話したいときだけ話せばいい」という場だったからか?

いろんな感情や思考がうごめいた1日だったけど、部屋に戻るとモヤモヤした気持ちも含めて素直に話せたから安心した。


●3日目:9/22(日)

まだ雨。
朝イチのコンディション共有は、「疲れがたまってきました」という一言だけ発して終わらせた。

朝食のとき、同じテーブルになった方が話してくれた馬の話が印象的だった。

馬は、人を認識しない。「誰なのか」ではなく「どういう行動をしているか」を見ている。こちらが緊張すれば馬も緊張するし、思考と行動が一致していなければ思った通りには動いてくれない(馬は行動の方を認識しているから)。馬を通じて、自分の状態が分かる。ずっとやっていると、頭で考える前に身体が動くようになり、馬と一体になる感覚を味わえる。

ずっと頭でっかちで生きてきたから、これからは「身体性」が自分のテーマになってくると思う。馬、いいなぁ。触れ合う機会をつくってみたい。

午後は「私の10年」というプログラム。4人1組で、それぞれの直近10年の話をする。西村さんが「物事が一巡するスパンがちょうど10年くらい」というようなことを仰っていたが、まさに私も「会社に入り、辞め、独立する」がこの10年だった。

プログラムの進め方がまた印象的で。話し手が「私の10年」を語っている15分間、ほかの3人は一切口を挟まずに聞く。その後、3人が感想を話している15分間、「私の10年」の話し手は目も合わさず、リアクションもせずにただ耳を傾ける。これを4人分繰り返す。(端折ってるけどおおよそこんな感じ)

日常生活の中で、最後まで話し切る/相手の話を遮らずに聞き切る、ということはほとんど出来ていないと思う。「分かる~」と言ってみたり、「私もさ、こんなことがあって」と自分の話にすり替えてしまったり。

今後、仕事で人の話を聞くことも増えていくと思うから、「話す・聞く」という営みについては探求をしていきたい。多分西村さんのインタビューのワークショップに参加すると思うな。来年あたり。

聞き手の3人が寄せてくれた感想のメモ。「葛藤の10年」という名前をつけてもらえて、改めて一区切りついた感じ。


●4日目:9/23(月)

晴れた!
朝6時からプログラム開始。

最終日にある「ミニクラス」というのが箱根山学校の本体らしく(そうだったんだ)、持ち寄られた企画の中で参加したいものを3つ選んでいく。

【1限目】散歩
ずっと真面目に話したり聞いたりしていて疲れたので、ぼけーっと過ごせそうなクラスを選択。森に入ってなんでもない会話をし、写真を撮る。ずっとそこにいると、見えなかったものがだんだん見えてくる。好きな時間の過ごし方ができてだいぶ回復した。


【2限目】環境と調和する建築の話

箱根山テラスの設計に携わっていた山田貴宏さん(たかさん)に聞く、パーマカルチャーの考え方をベースにした建築の話。

将来家を建てるときには土間がほしいなぁとか、内と外の“間”が必要だよなという感覚とか、自然素材が気持ちいいよね、とか。なんとなく自分の中にあったイメージとつながる話が多くてとても面白かった。たかさんにお願いしたらきっと良い家になるだろうなぁ…

【3限目】馬と子どもの話
3日目に聞いた馬の話にもっと触れてみたくて参加。話し手は三陸駒舎の黍原(きびはら)さん。

馬との関わりの中で変化していく子どもたちの話。息子に思いを馳せながら聞いた。いつか家族で馬たちのもとを訪れてみたい。子どもにとっても、大人にとっても、馬がいい先生になってくれる。


箱根山学校最後の食事はカレー。テラスで食べることができてよかった!


あっという間にクロージングの時間。一人ひとり感想を話していく。「これまでは、『まぁ来年もあるし』と思ってたんだけどね」という西村さんの言葉が印象的だった。自分たちで始めたことを、10年続けたことを、終えるのってどんな気持ちなんだろう。


オプショナルツアーには参加せず、まっすぐ帰宅。

玄関で「ただいまー」と言うと息子が出てきて、「お誕生日おめでとう」と言ってくれた。ありがと、明日だけどね。

32歳。これからの10年はどんなものになるだろう。箱根山学校で出会ったみんなはどんな人生を送るんだろう。

またいつか、どこかで。


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