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【全教研社長・堀口宏吉】予見できない時代だからこそ、自分を知ることが大切

全教研社長の堀口宏吉が子どもたちに伝えたい3つのこと

1) 受験を「通じて」得られることに気づく

−2022年で60周年を迎えた全教研ですが、堀口さんが今の時代を生きる子どもたちに期待することは何ですか?
堀口:子どもって、期待しなくても勝手に育つんですよ。ああなりたい、こうなりたいとみんな思っているし、明るい未来を描いている。私たち大人はその夢を阻害せず素直に応援することで、子どもたちがチャレンジしやすい環境を作っていきたいと思いますね。むしろ子どもよりも、親に期待することの方が多いかもしれません。古い考えを子どもに押しつけるのはよくない。昔は、いい高校に行く、いい大学に行く、医者になる、弁護士になるという、いわゆる既得権さえ持っておけばある程度幸せな人生が歩めるとされていた。成功の形が明確にあるから、そう決めつけてレールを敷いた方がやりやすかったんですよ。だけど今はそういう時代じゃない。

−自由な環境で成長することが大切だということですね。
堀口:もちろん、社会としてのルールは必要ですよ。そこをスルーして自由にしてくださいと言っても、逆に子どもたちが迷ってしまう。例えば道路交通法があるのは、人が事故に遭わないため、みんなが傷つかないためですよね。そこはきちんと教えますが、個人を締めつける規則はルールとは言えないと思います。

−塾である以上、志望校に合格させることが第一だと思いますが、その先も見据えた教育をされているところに全教研ならではの魅力があると感じます。
堀口:私は実のところ、受験が全てだとも勉強が全てだとも思っていないんですよ。何かに一生懸命取り組んだ時に、自分と向き合う瞬間があるじゃないですか。それが大切。私たちは学習塾をやっているからそれが勉強なだけで、スポーツでも何でもいいんですよ。だから、私たちの本当の成果は合格ではなく、「先生合格しました!」のあとに生徒が何を言うかだと思っています。「いつもうるさいと思っていた両親だけど、応援してくれてすごく支えになりました」とか。受験がどうなのかではなく、受験を「通じて」どうなのかが、その先の人生につながっていくんですよね。

−受験を通じて得たことが財産になると。
堀口:全教研は創業時から「孤独な秀才を作らない」という理念があります。受験は一人の戦いではなく、実は一番応援してもらえる時期。家族や仲間、友達の存在を感じる回数が多いほど、人は優しくなれると思うんです。そこに気づいてほしいですね。

2) 手段と目的の違いを理解する

−合格することがゴールではないということですね。そこの区別ができない子も意外と多いのはないでしょうか?
堀口:今の世の中、手段が目的化しているから、違いがわからなくなるんですよ。目的と手段の違いをきちんとわからせてあげることも、私たちの役目だと思いますね。そうすると燃え尽き症候群にもならない。人生100年時代だからこそ、目的と手段を明確にしないと100年が暇な時間になりますよ(笑)。

−以前から堀口さんは、「過程を大切にしてほしい」と言われていますよね。その言葉にはどういう意味があるのでしょうか?
堀口「医者になりたい」のではなく「どんな医者になりたいか」という視点を持つことで、その過程に個性が生まれますよね。社会をシステム化するのではなく、一人一人の個性でオリジナル化していく。そうすることで新しいものが生まれて、ただの運用ではなく進化になっていくと思うんです。でも今、すごく難しいんですよ。大学院に行くのが当たり前のような時代で、高い専門性を求められるのに、これだけの多様性でしょう?同時に広い適応力も必要になる。時代の変化に合わせて、両面からアプローチできるバランスの取れた教育が重要になってきますよね。


3)全教研をサードプレイスにしてほしい

−今の子どもたちは感情表現が乏しいという意見もあります。日々子どもに接する立場として、堀口さんはどう思いますか?
堀口:子どもの個性にもよりますが、両極体験が少ないと思うんですよ。3万円の高級なコースでも、そればかり食べていたら幸せを感じないと思うし、満腹だったら美味しさも半減します。逆に空腹で食べる白米と味噌汁はとても美味しくてごちそうですよね。苦しい思いを経験しないまま大人になってしまうと、感動も小さいんだと思うんです。そういう意味では、早い段階で受験を経験するのもいいと思いますね。

−受験って子どもにとって、苦しくて辛いことの代表みたいなものですしね(笑)。
堀口:オリンピックで金メダルを獲った人にばかりインタビューするけど、一回戦で負けた人に話を聞けばいいんですよ。「すごく頑張ってきたけど負けたんだ、だから僕はもう一度チャレンジするんだ」と。成功者の話より心に響くかもしれませんよね。「10回書いても覚えられないから僕はダメなんだ」ではなくて、「20回書いたら覚えられるじゃん」と視点を変えることで、自分の戦い方を知る。それがわかると「僕は人より遅いから早めに取り掛かろう」となる。例え自分が凡人だと思っていたとしても、そういった努力の積み重ねで天才と同じ領域に行くことができるんです。

−では最後に、今後子どもたちにとって全教研がどんな存在でありたいかを教えてください。
堀口:「個性」って、人に認められてこそ個性で、認められない個性は「わがまま」とされるんです。だからと言って社会に迎合する必要はなく、認められる場所を作ればいい。昔は家庭と学校と地域が教育の拠点だったけど、今は地域のコミュニケーションが希薄で、家庭でも学校でも本音を出せない子がいる。子どもたちにこそサードプレイスが必要なんですよ。帰る場所や行ける場所がたくさんある人の方が、心強く生きられる。悩んだ時、迷った時に、自分を取り戻せる場所が全教研であればいいなと私は思います。


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