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【大人との対話】イベントレポート#3. Reapra Group代表取締役 諸藤周平

好きなことを思いきり探求しよう

さまざまな分野で活躍するオピニオンリーダーから直接話を聞き、学校や家庭とは違ったアプローチで子どもたちの興味・関心を広げるイベント『大人との対話』。実業家の諸藤さんをゲストに招いた第3回では、全教研に通う小学4〜6年生の8名が参加。諸藤さんの現在の活動や起業にいたるまでのエピソードを中心に、子どもたちの疑問や悩みについても対話が展開され、意見やアドバイスが盛んに飛び交った。

登壇者・参加者紹介

【登壇者】
諸藤周平 / Reapra Group代表取締役
株式会社エス・エム・エスの創業者であり、11年間にわたり代表取締役社長として同社の東証一部上場・海外展開など成長を牽引。
同社退任後2014年より、シンガポールにてReapraグループを創業。アジアを中心に産業規模のマーケットリーダーを創出することを目的に、ベンチャー企業への投資や共同での立ち上げ、長期視点で成長を伴走支援する活動等に取り組んでいる。
1977年生まれ。九州大学経済学部卒業。

【参加者】
諸藤さんを除いて左から時計回りに、加藤さん(小学6年生)、田川さん(小学6年生)、増田さん(小学6年生)、浦さん(小学5年生)、阿久根さん(小学4年生)、川谷さん(小学4年生)、北原さん(小学4年生)、岡本さん(小学4年生)

起業して初めて成長する楽しさを知った

諸藤:今日は『大人との対話』ということですが、普段こういう機会ってなかなかないので、僕もみんなにいろいろ教えてもらいたいと思っています。いいことを言わないといけないとか思わなくていいから、何でも感じたことを、僕だけじゃなくて今日来てくれている他の子たちにも話してください。では誰から行きましょう?

増田:諸藤さんはなぜ日本ではなくシンガポールで今の会社を創業されたんですか?

諸藤:なんでそれを知りたいと思ったの?

増田:諸藤さんは日本に生まれたのに、なんで日本でやらないのかっていうのと、海外でも他にアメリカとか国はたくさんあるのに、なんでシンガポールを選んだのかなって。

諸藤:まず最初に、なるべく頑張ってわかりやすく話そうと思うけど、僕は大人にも話がわかりにくいって言われるから、わからなかったらいつでも聞いてね。そしたらもうちょっと詳しく話すようにするから。

増田:はい。ありがとうございます。

諸藤:僕は小学3年生までは結構何も考えていなくて、毎日幸せだったんです。でも学校の成績が悪かったから親に心配されるようになって、自分でも「今は楽しくても大人になったらどうなるんだろう」ってちょっとずつ考えるようになった。でも結果的に九州大学に合格できて、これでいい会社に入れると思っていたら、大学生の時に大企業が次々に倒産するのを目の当たりにしたんです。それまでは大きな会社に入れば一生給料がもらえていい生活ができると思っていたから、すごく怖くなって、なら自分で会社を作ろうと思いました。

それで24歳でエス・エム・エスって会社を始めたら、将来が怖いから起業したのに、会社をやること自体がすごく楽しくなったんです。最初は早くお金を貯めてリタイアしてハワイで暮らそうと思っていたんだけど、せっかくだから10年は続けて、その間に次のやりたいことを見つけようと考えるようになりました。それから2008年にリーマンショックという大きな金融のショックがアメリカで起こったんだけど、関係なさそうな日本の会社もその時倒産したんだよね。結果的にいろいろとつながっていたんだということがわかって、もっと世界の金融の流れを知りたいと思ったので、海外で会社を作ることにしました。

それで、なんでシンガポールなのかと言うと、アメリカって新しいことをすごく推奨している国で、Uberとか新しいサービスがどんどんアメリカから出てくるんだよね。そこに僕なんかが行っても相手にされないかなと思ったの。逆にヨーロッパだと伝統的な国が多くて、急に日本人が行っても新しいことができないんじゃないかと思った。アジアは人口も増えていて新しいこともできそうだし、中でもシンガポールは治安がいいし、面積も東京23区より小さくて端から端まで30分くらいで行けるし、他の国を行き来するのも便利。あと英語も勉強してもっと出会いを広げたいと思ったから、英語圏のシンガポールを選びました。わからないことなかったかな?長すぎた(笑)?

増田:大丈夫です(笑)。

誰もやっていないことの方が安心して学べる

岡本:今はどんなお仕事をされているんですか?

諸藤:例えば、今すごく暑いでしょ?僕が子どもの頃は6月に30℃超えることなんてほとんどなかった。これだけ気温が上がったら危ないかもしれないってみんな思っているけど、複雑な問題が絡んでいて、それぞれの立場もあるから、会社として何かをやるのはなかなか難しい。そういう複雑で誰もやっていないことがやりたい人と一緒に会社を作って、数十年後の社会をよくするための取り組みをしています。

そもそも僕は、複雑で誰もやっていないことが好きなんです。子どもの頃になんで勉強ができなかったかと言うと、考えが分散していろんなことをやろうとするから集中して座れなかったの。小学校の通信簿には6年間「落ち着きがない」ってずっと書かれていたくらい。ルールがあるものとか人と比較されるものが苦手で、テストもみんながわかる問題だと解けないし怖いんですね。だから複雑すぎて誰もやっていないことの方が安心して学べるんです。みんなも将来一緒に何かやろうよ。これからの時代をつくっていくのは、みんなのような若い人たちだと思うから。

好きなことを仕事や勉強に結びつける

諸藤:逆に僕からも質問したいんだけど、こういうふうになりたいけどなれないかもしれないとか、みんなが将来について今考えていることを知りたいな。

川谷:僕はゲームが好きなので、ゲーム会社を作りたいです。

諸藤:ゲームが好きだったらゲームをやるって選択肢もあるけど、なんでゲーム会社を作りたいの?

川谷:僕は『ゼルダの伝説』が好きなんですけど、続編を作ってくださいって僕一人が言っても、作ってもらえないじゃないですか。だったら自分で作った方が早いかなって。いい大学に行って任天堂に入る手もあると思うんですけど、ゲームの種類が多すぎるから、確実にゼルダの部署に行けるかはわからないし、そこが悩みです。

浦:今ゼルダを作っている人に必死に土下座してみたら?

川谷:それもいいけど、できれば最終手段に使いたい。

田川:任天堂に入って誰からも知られるくらいめちゃくちゃ優秀になって、「ゼルダに入れてくれないと私辞めます」って言ったら、作らせてもらえるんじゃない?

川谷:確かにそうかも。

諸藤:そういうアイデアが出ることが、これからの時代を生き抜く力になると思う。今、中国とインドだけでも20億人以上人口がいて、みんな競い合うように勉強しているから、ただ勉強ができるだけでは負けちゃうかもしれないよね。言われたことだけをやるのではなく、自分で考えて行動する力がどんどん求められる時代になるから、せっかくなら好きなことと仕事を結びつけられたらいいんじゃないかな。

加藤:私は勉強に集中できないことが悩みなんですが、どうしたらいいですか?

諸藤:僕も子どもの頃集中できなくて、起業して初めて学ぶことって楽しいんだって知ったんだよね。かなり遅咲きだから、あまりいいアドバイスはできないかもしれないけど…。加藤さんが勉強以外で一番集中できることって何?

加藤:ピアノです。音楽が好きで、もっと上手に弾けるようになりたいと思っているから集中できます。

川谷:僕は勉強の後のご褒美がゲーム。「〇〇ができるから頑張る」みたいな目標を設定したら、集中できるんじゃないかなと思います。

諸藤:いいアドバイスだね。

加藤:でもピアノはどっちにしろ毎日練習しないといけないから、私にとってはご褒美とはちょっと違うかも…。

諸藤:そっか。じゃあ1分でも早く終わらせたら、その時間をピアノの練習に使えるっていう考え方をするとか。好きなことと勉強を何か関連づけられるといいよね。

早いうちから無理に将来を決めなくてもいい

北原:お父さんが外科医で、僕も医者になるのが夢だったんですけど、生き物にも興味があるので、生物学者になるのもいいなと思うようになって、どっちを選んだらいいか迷っています。

諸藤:それは今すぐ決めなきゃいけないの?

北原:お父さんが卒業した中学を僕も受験するつもりなんですけど、そこは医療関係に進む人が多いので、今のうちに決めておかないといけないかなと思って。

川谷:本当に楽しいと思う方をやればいいと思う。自分が面白いと思わないものって続かないと思うし。それかどっちも選べる他の学校に行けばいいんじゃない?

諸藤:進学校は優秀な人が集まるから、自然とお医者さんを目指す人が多くなるのかもしれないけど、絶対にお医者さんにならなきゃいけないわけじゃないから、無理に今決めなくてもいいんじゃない?好きなものが二つもあるなんて、すごく贅沢なことだよ。

増田:僕も医者になるのが夢なんですけど、血を見たり人の体の中を見たりするのを考えたら怖くて、自分にできるのか不安です。

諸藤:みんなアドバイスないかな?頑張って医学部に入ったのに、研修で解剖ができなくて諦めることになったらもったいないよね。

阿久根:この前、怪我した時に友だちが保健室について来てくれて心強かったから、そういうことから始めてもいいと思う。

諸藤:そうだね。友だちに絆創膏を貼ってあげたり、魚屋さんで生きている魚を買って、さばく練習をしてみてもいいかも。血を見ることに慣れると、怖さもずいぶん和らぐと思うよ。

浦:それでもどうしてもできないってなったら、その時は辞めてまた新しくやりたい仕事を探せばいいと思う。

諸藤:あと、内科とか精神科とか、お医者さんにもいろいろあるから、血を見ない医者を目指すっていうのも手かもしれないね。血が怖いって普通のことだと思うよ。血を見て気持ちいいってなる人の方が少ないと思うから(笑)。

まずはやってみることから始める

増田:あと、僕はプログラミングとかしか特技がなくて、どうしたらもっと増やせるのか知りたいです。

川谷:何を特技と思うかは人それぞれだし、一定のレベルにいかないと特技じゃないっていう決まりもないから、自分の好きなこととか得意と思ったものは全部特技って言っていいと思う。例えばプログラミングが好きならそれをやり込んで、言語を作ることとか音を発生させることとか、一つのことからたくさん特技を増やしていけばいいんじゃない?

諸藤:うんうん、いいアドバイスだね。ちなみに、なんで特技を増やしたいの?

増田:サッカーとか、もっと遊びにつながる特技を持っていれば、今よりもっとたくさんの人と遊べるようになるんじゃないかなと思って。

諸藤:だったら、まずは上手とか下手とか関係なくいろいろやってみたらどうかな?メンバーとして呼ばれていなくてもサッカーに参加するとか。それに、慎重に一つのことを極めたい人もいれば、いろいろやっても続かない人もいるし、たくさん特技があるように見えても、その人が完璧とは限らないと思うよ。面白いと思えるものとか、これなら続けられそうというものを見つけるために、まずは何でもやってみることから始めたらいいんじゃないかな。

『大人との対話』は第4回以降も近日中に開催予定。noteでも随時レポートを公開していく。