あちこちオードリーで、若林さんと黒沢さんの「恋愛っていうより生活だ」という名シーンが生まれた話。

私は森三中と同世代で、
彼女たちのデビュー当時、
恐縮ながら「黒沢さんに似てるね」と
言われたことがあった。

そう言われたからが先か、
自分が元々そうなのかはわからないが、
その後の人生で一方的に、
黒沢さんの言葉と生き様が自分とリンクし、
強く共感する
ことが何度もあった。

そんな私にとって、
今回のあちこちオードリーは、
ここからを生き抜く自分にとっての金字塔
と言っても過言じゃない回となった。

それは、若林さんが結婚のキッカケをきかれて
まだ交際中だった奥さんが
夜に翌日の仕事のための弁当を作っているのを見て、
「結婚って生活なんだ」と気付いたことを話すシーンだ。
(※30分あたり)

そこで黒沢さんの、
強い共感のあまり無言で立ち上がる後ろ姿と、
「そうなんですよ、生活なんですよね」という返しを見て、
私は笑いながら泣けてしまった。

黒沢さんのリアクションがわかりすぎたし、
勝手に「このふたりも今なんだから、遅くはなかったんだ」
と、大いに励まされた気持ちになったのだ。

笑いにストイックで、恋愛にも生活にも
輝きを見いだせなかったあの黒沢さんがいま、
新たな気付きを得て扉を開いている。
共感と賛辞が止まらなかった。

私は同世代のお笑い芸人が、
厳しいテレビの時代を
リアルタイムで生き抜く様に
何度も励まされた。

私自身、体育会系の過酷な環境を
呼んでしまう体質で、
お笑いがあったから、なんとか笑って
乗り越えられてきたから。

そして40代を迎えた今の私は、
結婚、出産という
世の中の一般的な幸せからは程遠い。
仕事もおふたりのように何も成していないし、
胸を張ってコレと言えるものは何もない。

それでも、生活に魅力を
見いだせなかったという、
自分と同じような感覚の2人が、
同じようなタイミングで
いまその魅力に気付いたと話していることに、
なんだか勇気をもらった。
わかる人は少ないだろうけど、
それでもいいのだ。私の気持ちなんだから。

138円のミルクティーに喜ぶ親子に
お笑いを見出した、今後の黒沢さんからも、
まだまだ目が離せない。






――蛇足だが、
立ち上がる黒沢さんをちゃんと抑えて
わざわざSEを入れるとこや、
後半の前髪の下りで
アイコンタクトしながら頷きあう
大島さんと黒沢さんのカットを
わざわざ差し込んでるとこ。
そういうとこを取りこぼさない、
この番組の視点が大好きだ。

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