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厳しさが優しさ

修行僧は、枯山水の庭の手入れを任されました。しかしその修行僧は庭の手入れをしたことがありません。

修行僧は、自分なりに砂利の砂紋を整えようとやってみたが、上手くいきません。先輩にひどく怒られ、次の日も自分なりに工夫してやってみました。ところがまた先輩に怒られてしまいました。何度やっても怒られるので、修行僧は師匠のところに相談に行きました。

「私は庭の手入れの勉強のために、ここに来たのではありません。仏教の修行を求めてここに来たのです」

修行僧がそう言うと、師匠は厳しく言いました。
「お前のことなどどうでもいい。結局、お前は自分のことだけしか考えておらんではないか。仏教は毎日の生活そのものが修行だ。読経したり、坐禅したり、仏事を行うことなど、大したことではない。しっかりと目の前にあるやるべきことを淡々行うこと、これこそが立派な修行だ。無駄口を慎み、怒られても何度もチャレンジするこたとが大事だ」

修行僧は何ともすっきりしない気持ちのまま、翌日、再び枯山水の砂利の手入れをはじました。
そこには作務着姿の師匠がました。師匠は弟子の修行僧に砂紋の作り方を見せるために、師匠は自ら熊手を手にして、ゆっくりと無言で砂紋を作り始めました。修行僧も師匠の後をつけて、砂紋をなぞりました。

師匠の気配りに修行僧は大いに感動し、その日から、仏教の修行とは関係ないような些細なことでも、真剣に取り組むようになりました。



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