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兄が大っ嫌いな弟


弟は兄が大嫌いで、いつも兄と喧嘩していました。

ある時、兄が重い病気にかかった。弟は自分が兄を嫌い続けたせいで病気になったと悩み、兄が助かるように必死に仏様に祈りました。

或る晩、弟が寝ている時、どこからか仏様の声が聞こえてきました。
「お前に覚悟があるなら、兄を救う方法を教えよう。地獄にロウソクが何本も立っている部屋がある。そこにお前の兄の名前が書かれたロウソクがあるが、倒れて炎が消えかかっている。そのロウソクをなんとかすれば兄は助かるであろう」

弟は、無数のロウソクの中から兄のロウソクを探しまわり、やっと見つけた兄のロウソクを、立て直して叫びました。
「消えるな、兄ちゃん、生きるんだ」

そうすると、兄のロウソクは赤く大きく燃え始めました。

弟は涙を流して叫び続けました。

そのうち、兄は布団から起き上がってこう言いました。
「ああ、腹減った」

兄は元気な姿で、弟の横にいました。
「えっ、兄ちゃん、身体は大丈夫なのか」
「は、お前、寝ぼけてるのか」
「夢か…」

元気な兄を見て、弟はホッとした。
弟はそれ以降、兄と仲良くしようと努めました。

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