嫉妬は、人を狂わせる。
嫉妬は人を狂わせます。
「私を見て」「私にかまって」「私をすごいと思って」「私をほめて」
すべて自分中心の要求です。
嫉妬の原因はひとえにこうした承認欲求が原因です。嫉妬は最悪の場合、他の人などに危害を加えることにもつながります。
今日は承認欲求から生じる嫉妬のエピソードです。
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京都宮津の人々は、戒岩寺の犬をいつも可愛がっていました。当時、戒岩寺は智恩寺の奥の院と呼ばれ、文殊堂のある智恩寺の住職も兼ねていました。
和尚の足腰が弱ってからは、智恩寺には通わずに、日々の用向きは手紙で済ませていました。
その手紙を運んでいたのが犬のシロでした。シロは捨て犬でしたが、和尚に懐いて、寺で飼われようになりました。シロはいつの間にか、和尚の言葉を聞き分けることができるようになっていました。
「シロよ、今日の手紙は返事をもらってくるのだぞ」と言うと、シロはワンと吠えて尻尾を振り立てました。和尚は、そんな従順なシロを「いい子だ」といつも頭を撫でて可愛がっていました。
一方、和弟子の小僧には「お前もシロを見習え。シロの爪の垢でも煎じて飲んだらどうだ」と小言を言っていました。
小僧は、いつも褒められるシロを良く思っていませんでした。そんなある日、和尚がシロに「急ぎの手紙じゃ、夕方の鐘が鳴る前には帰ってきてくれ」と言って使いに出しました。
これを盗み聞きした小僧は、シロを困らせてやろうと、その日の暮れの鐘をいつもより一刻早くつきました。シロはこの鐘の音に驚くと、シロは慌てて寺を飛び出し、一目散に走りだそうとしまひた。その瞬間、馬車に引かれて、死んでしまいました。
息絶えたシロの亡骸が和尚の元に返ってくると、和尚はとても悲しみました。「わしが鐘が鳴り終わる前に戻るように言ったばかりに…」と泣き崩れました。
その時、小僧も泣きながら近寄ってきて、「私が悪かった、私が悪かった」と手をついて謝りました。小僧は和尚に事のすべてを話しました。
和尚は「わしがシロばかりかわいがって、お前をないがしろにしたからだ…」と言って、小僧を叱りませんでした。
和尚は小僧とともに墓を立ててシロを弔いました。それは今も宮津の犬の碑として伝えられています。
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