見出し画像

あの世で再会した老夫婦

茶店の老夫婦は、50年間、二人で茶店を一生懸命切り盛りしていました。お婆さんは「私が先に逝ってしまっても、お爺さんとずっと一緒に居たい」と常に言っていました。

婆さんはそれから数年後亡くなりました。
ある夜、お爺さんが寝ていると、「お爺さん、おるかい」と婆さんの声が聞こえました。

気がづくと、お爺さんはお婆さんと一緒に三途の川にいました。お爺さんはもっと生きたい思いましたが、嬉しそうなお婆様さんを見て、三途の川を渡ろうとしました。

閻魔様は爺さんに「お前はまだ十年生きることになっている。これからも茶店でしっかりと働き、雨の日も風の日も毎日、お婆さんの墓を参って花を絶やさないように供養し、寿命を全うしなさい」と、お爺さんを娑婆の世界に戻しました。

夢から覚めたお爺さんは、その後、閻魔様との約束を十年間守り続けて、寿命を全うしました。閻魔様はお爺さんをちゃんと覚えており、お爺さんに極楽行きを告げました。

お爺さんが極楽へ向かう道の途中で、一軒の茶店に立ち寄ると、そこには懐かしいお婆さんがいました。
「また一緒になれたなぁ。これからはずっと一緒じゃ。もう離れ離れになることはない」
二人は笑って抱き合って涙して再会を喜んだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?