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鬼の顔も役に立つ!

ある山奥で暮らしていた母親と娘は大変貧しく、娘は長者の家へ奉公に出ることになりました。

娘は、寂しくならないように母の顔のお面を作ってそれを持って奉公に出ました。長者の家での仕事は、朝から晩まで大変な辛い重労働で、寝る暇もなく働かされました。それでも娘は、一日の仕事が終わると、母親のお面と話をすることを楽しみにしていました。

ある日、いたずら好きの下男は、お面を鬼のお面に取り換えました。
鬼のお面を見て「これは母親の身に何かあったに違いない」と思った娘は、すぐに実家に戻ることにしました。

暗い道中、娘は盗賊に捕まってしまいました。とっさに娘は持っていた鬼の面をかぶりました。娘が鬼になったと勘違いした盗賊は、盗んだ小判も持たずにあわてて逃げていきました。

娘は、家に戻り、母の無事を確認しました。娘は小判を奉行所に届けました。数か月後、娘に奉行所に出頭する命が出ました。

お奉行様は娘に言いました。
「預かっていた小判だが、落とし主を探したが見つからなかった。だから小判は届け出たお前がもらえばよい。これはきっとおまえの親孝行に免じて仏様がくださったものなのだろう」

その後、娘は奉公先の荷物をまとめて家に帰り、母とずっと幸せに暮らしました。


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