見出し画像

BMXのジオメトリについて整理する。

 ふと、BMXのジオメトリってざっくりした解説はあるけどロードやなんかのようにインテリで高度な数式を用いたり理論を振り回したりして語っているものは見たことがないな(日本語に限り)、と思ったりした。

 BMXにおいてジオメトリは色、デザイン、雰囲気の次くらいには重要なファクターで、これを間違うと技の拾得が遠回りになったりする。 そのまま頑張ると、当人のやる気次第という所になるだろう。

 そんなわけでとりあえず、今まで乗ってきた自転車のジオメトリを並べて記録しておこうと思いnoteを開いた。 判らないなりに数値の差違とインプレッションで何かが掴めるかもしれない。 羅列しても意味が判らないので一覧表にしてみようと思う。

ナンバーオブ車両。 買った(乗った)順。

① SUBROSA LETUM 2019 ←完成車
② Tall Order 187 V2 ←乗りやすかった
③ Tall Order 215 V3 ←乗り切れなかった
④ SANDM WHAMMO V2 ←現行

一覧表

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
     TT    / CS  / HT   / BH   /ST   /SA /FO /BR / TR
① 20.75 /13.5 /75.0 /??.?? /9.00 /71 /30  /9.0 /43
19.75 /12.8 /75.0 /11.6 /7.40 /71 /28  /8.5 /45
③ 20.60 /13.5 /75.0 /11.6 /8.80 /71 /32  /9.5 /41
④ 20.75 /12.9 /75.3 /11.8 /8.85 /71 /25  /10  /46
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

探せばどこにでもあるので描く必要に疑問を抱くけどとりあえず

パラメーター名前と意味と効能と思い

● TT / Toptube Length"


 
トップチューブ、フレームの横二本の棒の上側、自転車サイズを語るならこれ、という代表格のパラメータ。 初心者向けのBMX説明サイトなんかでは身長別のTT長さがズラリと並べられている。
 だけど他の要素であまり意味をなさない場面もある。
 かつてのぼくのようにここだけを見て買うと大きくしたのに不安定、とか小さくしたのに振り回しにくい、とかが起こりがち。
 そのフレームの性格の味付けとは別に身長に併せてここの長さを数種作られるためその身長にマッチしない方向のチョイス以外では乗り味に大した影響は無いのではないかとも思う。
 (追記:今はかなりシビアだと思っている
 https://note.com/enihco/n/n3ccd59c9b4b4

) 
 バニーホップの場面でフロントホイールをより高く上げたり、てこのレバー比的な効果はある。
 ただシートチューブの角度によって簡単にその意味合いが変わってしまう。
 よってフレームを選ぶときはその性格付けを吟味した上で最後に選ぶ数値なのでは、と思うわけです。


キズついてなんぼだけどなるべく綺麗に使いたい。

 バーの角度なんかにもよるけど窮屈感とか遠いなって感じも受けるが割とすぐに慣れてしまう。 バニホバースピンを多様したいとか、フラット技も好き、とかで基準値からズレるのかなとかふんわりと考えている。
 ただ身長165センチでTT21.5"のフレームとかでなければ、という話だが。
 とはいえ最初は1"、2.54cmくらい変わったところで大して違いはしないだろうと思っていた。

 そんなことはなかった。

 マニュアルやバニーホップ等のフロントアップなんかの時に腕が伸びきるまで後ろに荷を移したとき等の微調整にかなり影響する。 バーの角度や技術である程度カバーすることも出来るとは思うが、そういうとろこでラクが出来るならそれに超した事はない。

 ああくそ、欲しいサイズだけSoldoutじゃん、は一番あるあるのやつではないかと思います。
 ッデム。

● CS / Chain Stay Length"


 
チェーンステー、BBからリヤホイールアクスルまでの長さ。 自転車の乗り味を決めるならここ、という具合に注視されている気がするし、メーカーのストーリーにもそんな風な書き方がされている。 
 強度を落とさずに限界までショートに設計されたチェーンステーを持ち、思うがままのクイックな動きに答える、だの、高いジャンプでも安定感を失わない長さ、だの。

 おおよそ間違ってはいないのだけど、そう書く以外に方法がないからか、長いのも短いのもとても長いのも乗ったけど要はフロントアップの時にとても力が必要だったり、ランプエッジで後輪をロールさせているときに最後まで捲れずにパワーを伝えられたりするけれど、自転車の特性の一部でしかない。 そりゃそうなんだけどここの長さだけで性格を判ったような気になって飛び付いて買うとぼくのようなしょんぼりに襲われる。
 一番短かった②は本当にフロントアップがしやすかった。 それは判る。 ③の長いチェーンステーのバイクはフロントアップが苦しく、上げるのに精一杯という感じで、とはいえ①の同じ長いチェーンステーのバイクも上げにくかったかというとそうでもなかった。 ④の短いチェーンステーのフレームを再度買うのだけど、②ほどの上げやすさは感じなかった。0.1"でそんなに変わるとは思わない、というかチェーンを引くと1/4"くらいは変わってしまうのでなるべく短くしたいなら半コマカットするか、スプロケを大きくするか、くらいにはみんな拘っているし、ぼくもなるべくガン詰めにしたい。 

半コマチェーンがなければすぐにこうなる。

 だから0.1"詰め切れないなんてしょっちゅうだし、何が違うんだ? というあたりからジオメトリを知ろうと考え始めたのだ。
 それでも、TTの1インチとCSの0.1インチだとCSの方がフロントアップに対する影響は大きいと思うので、ストリートで選べるなら短い方がいいと思う。
 たぶん自転車屋さんで買ってメンテしてもらって、希望を伝えるといい数値のを選んでもらっていれば、説明もして貰えるのだろうからこんな事に悩まないのかもしれないし、長いのも短いのも買って試してみてみたいな面倒くさい事をせずともよかったのかもしれない。
 だが、これでいいのだ。 やめとけと言われたらやりたくなるし、合わないと言われても納得するまで考えを変えないダメ人間なのでバイクショップと付き合っていけるとは考えていない。 

 これでいいのだ。

● HT / Head Tube Angle°


 
ヘッドチューブの角度。 キャスター角ともいう。 フォークの股下長さによってもわずかに変わる。

     ーそんな僅かな差違など……

 とは言えない程に影響があるのがフロント周りだね。 びっくりした。 ②のショートTTのバイクよりTTもCSも長い④の方がクイックなのだ。 というかその一台だけ、他の全てが汎用的な75°であるのに対して④だけが75.3°なのだ。 

ここは顔。

 買うときにたかが0.3 °、変わりはしないと思っていたかどうかは忘れたけれどこのフレームはロールバックがとてもやりやすい反面、切れ込むと食い込んでハンドル切りすぎ転けがよく起きる。 切りすぎると勝手に切れ込んでいく感じだ。
 ぼんやりと低速で転がしながらハンドルを切って小半径で曲がろうとするとフロントタイヤが後ろにすっ飛んで前へステーンだもんで結構おっかない。 
 MTBやロードのジオメトリ考察を読んでいると0.5°変わるとまるで別物とか書いてあって、なるほどなそれでこんなに… となった。 結果的に気に入ってはいるけど気を抜いていたりおかしな事が起きると簡単に裏切られる。 今日もロールバックで切り過ぎ転けをやった。 キレはいいけど粘りがない。
 他の要素も絡む話だけど、今まで乗った4台の中でショートの②が一番直進安定性がよかった。 後述するけどフロントフォークのオフセットも絡んでいると思われる。 この辺は本当にややこしいなあと思っている。

● BH / BB Height"


 
BB、クランクの付け根、ボトムブラケットの地面からの高さ。 これはタイヤの太さなんかによっても変わるので独自の計算方法があるらしいから現物を計っても意味がないそうだ。 ただ同じタイヤの2車種を計り比べるといった事から予想を付けることは可能だろう。 ①の車体についてメーカー表記がない。
 ①の車体は購入時、色々見たときに一番たくさんスペックが羅列されていた。 それを決め手にしたわけではないのだけれど、何も知らないが故になんとなく誠実なメーカーなのだろうと思った。 今それが不誠実だと思っているわけではないけれど、冗長的な事ばかりが書いてあってBBの高さや細かい事は書いていなかった。 完成車とはそういうものなのかな、って。
 確かに乗りやすい車体だった。 今となってはアレこそ答えなのではと思うくらいに。
 BBの話に戻りましょう、 同じ様なスペックの①と③、③のフロントアップが非常にやりにくかった件について今思うのは①に表記がないBBハイトが違うのではないか、という所。
 なんとなく格好いいからという理由でハイエンドなフレームばかり買っているがそれらは皆BBハイトが高い。 前後車軸からの下がり値であるBBドロップはマイナスである。 つまり、アクスルより高い。
 ペググラインドなどをしたり、タイヤ径が小さいBMXはそうならざるを得ないのだけどこれを格好いいと思うし、不安定極まりない乗り物である。

全ての基本的マスはここにある。

 不明なので判らないのだけどその値が①において低いのではないかと。 フロントアップの時、バーを後ろへ引くわけだけど、そのとき足も前へ蹴り出す格好になる。 ①に乗っている頃はそんな意識もなかったと思うけどそこまで重い、上がらないといった感触はなかった。
 他の値がおおよそ似ているので違うとすればそこなのじゃないかという予想だけれど確かに他のメーカーの初心者向け完成車のBBハイトは低めに設定されている。
 つまり③及びハイエンドなフレームはウデがなければ乗りこなせないフレームなんだな、 という事。 
 色々蘊蓄で固めた今ならレーサーフレームのCS14インチ級の自転車でもそれなりにフロントアップが出来る様になったけれど、当時はまるで跳べる気がしなかった。
 全てはCSが13.5インチもあるせいだ、と思っていたけどほんの一昔前ならこれがショートCSと呼ばれていた長さであり、みんなすごい高くバニホを跳んでいた。
 組み合わせによるものなんだな、と。 
 ③はパークライド向けのフレームということで、フロントアップがし難いということは粘り、安定性の高いフレームだということなんだと身を持って知った次第であるが、①との違いがあまり大きくない事から不思議に思ってもいた。

● ST / Seat Tube Length (Stand Orber)"


 
シートチューブの長さ、BBからTT付け根までの長さになる。 スタンドオーバーとも書かれる。 ご想像の通り、BBハイトにも影響される数値だけど、BMXにおいてBBに乗っている限りライダーには影響しない。 
 ぼくは低いフレームの見た目が好きで、②以降低めのフレームばかり買っている。
 高いと何がいいかは、恐らくシートの高さを稼ぎたい時や、フレーム全体のダイヤモンド形状の強度が高まる事が予想される。

高くてもいいことあまりなくない?

 低いと何がいいかというと、フレームを跨ぐ系のトリックなんかや回転系を失敗して高速に自転車が倒れる時にエスケープする際、足が引っかかりにくい利点がある。 ぼくは今の所これに相当助けられているので大切な数値といえる。
 近頃のノリにあわせてシートを膝高さあたりまで上げて挟みやすくしてみたところエスケープ時に足を引っかけてかなり怖い思いをした。 ぼくにはまだ早いようだ。
 結果元より低く調整した。

● SA / Seat Tube Angle°


 あと、シートチューブの角度について。
 トップチューブとチェーンステーの長さが同じの時、この角度によってBBが前へ行ったり後ろへ行ったり、リヤホイールが前後してホイールベースが変わる事になる。 ややこしくなるのを防ぐためなのかおおよそのメーカーは71°で統一されているけれど、たまに変則的なモノも存在するので見逃せないパラメーターであると言える。
 少し角度が立っただけで簡単にリヤホイールは数ミリ後ろへ行くし、前述したとおり、0.1インチでも割と変わる。 半インチもズレるともはや別のバイクになるのでいつも通りにやるとひどい目に遭ったりする。

リヤトライアングルはかなり精緻。

 現状ではチェーンステーの張り出しとスプロケのクリアランスなんかにおいてショートCSのショート化は限界を迎えているけれど、シートチューブを変形させてややこしい話になるような時代も来るかも知れない。 
 まあつまり、TTとCSだけを見て買うとぼくのような目にあう、と言いたいだけである。 だが見逃してはいけない数値でもある。

● FO / Fork Offset mm


 
フォークオフセット コラムチューブ/ヘッドチューブの延長線からどの程度、車軸が前へせり出しているかの数値。
 これが難しく、未だに混乱している。
 雰囲気で言うとオフセットが伸びるとアメリカンチョッパーバイクの様に直進安定性は上がりそうに思う。 だけどその結果地面に当たるまで伸ばした仮定のコラムチューブの延長線とタイヤの接地点のズレを指すトレイルが短くなり、結果としては走行時の直進安定性は落ちる事になる。 
 ショートオフセットになるとトレイルは伸びる事になるので、このあたりはヘッドアングルと密接に関係しているから下手に手を出すと沼待ったなしだと思うが、実際に乗って一番直進安定性が高いと感じたのはバイク的に一番ショートな②であった。
 オフセットが長くなるとトレイル量が減って車体がバンクした時にハンドルが切れ込む量も減る。 が、ロングオフセットのフォークにしたとたんフェイキー戻りが出来るようになったのは確かである。 違いを試してみたくてまたショートオフセットのフォークに戻してみたけど一度判ってしまえばなんら苦労はなく、結果としてよくわからなかった。
 唯一確実に言えるのはロングオフセットだとロールバックやノーズマニュアルの様なフロントを軸にするリヤ上げがやりにくいということ。
 結果としてここはトレイル量を調整するためのファクターであり、アグレッシブに弄る所ではないのではないのかなとも思う。

SANDMの33オフセットのフォークと今付けてるFITの25ミリのもの。

 別の効果として想像に容易いと思うがショートの方が軽くリヤがあがる。 バーも低くしてプッシュがかなりしやすくなったのもあるけどロールバックなんかはかなり楽々リヤホイールが上がるようになって、リヤタイヤの着地が横向きから縦向きに寄ったからホイールへのダメージが減り着地後の安定度も増した。
 リヤを高く上げようと必死の様相でめちゃくちゃにしゃくったりしては安定を欠いていたが、いつも同じ様に楽々上げることが出来る様になった。
 このスペックは今後も悩むことになりそうだけど、同じもので慣れるというのが一番なのかもしれない。 その場合、どれを基準にするかでまた悩むわけだが…
 フラットランド界ではゼロオフセットフォークが神格化されている。 前輪が前でも後ろでもバランスに変化がないからだと思う。 よってリーチの少ないステムにバックスイープの少ないバー、といった具合に。
 つまりすごいトレイル量がありそうで、小さいけど意外に直進性はいいのかもしれない。 ああいうのも乗ってみればなるほどが増すかもしれない。

※フォークオフセット、トレイルについて投稿したのをここにも追記で貼っておく。


● BR / Bar Rise"


 
ハンドルバーの高さ。 ステムのスペーサー位置やトップロードやフロントロードのステムの種類でも変わってくるので単純な数値で比較は出来ないが逆に言うと調整幅と捉えることも出来る。 
 ストリートBMXにおいてはデカいほうが可愛いと思っている。 なのでぼくはヘッドパーツの傘カバーを最も薄いものを使い、スペーサーもギリギリ減らしてなるべくバーがデカくなるようにしている。

STOLENのstealthなんとかかんとかいうヘッドパーツにMADERAのフロントロードステム52mmくらいのもの。

 まあ過ぎたるは及ばざるでござるで、ぼくの身長に11インチのバーだとバープッシュの時に真上から力を乗せることに苦労する事になった。
 足ピン状態でしっくりくるポジションは、トリック時の腰を落とした体制では高すぎる。 こんな簡単なことも考えず高ければいいと思っていた頃が、つい最近までありました。
 まあ何事も経験ですよ。 身長だってまだ伸びるかもしれないし!(ご老体)

何もかもが悩ましい。

 それでもこの数値は乗ってやってみないと答えがないのかなあと考えています。 技によってもやりやすい高さは変わってくるだろうし、 なによりセッティングを変えると新たな発見がある事がとても多い。 それで前へ進める事もあるし、ガッカリはするが方向は判る事もあると思う。

● TR /Trail mm


 
一番最後のこの項目は、色々あって最後に加筆したものだからここに在るのである。
 この値はおおよそメーカーから出ていない。 それはそうでフレームとフォーク、はたまた前後異径のタイヤでも変わる寸法なので完成車以以外は書きようがないからだ。
 このエントリを書きながら色々調べていたらネットでオフセット計算機というのを見つけたのでタイヤ直径を550として計算してみたものだ。
 はじめて数値として比較したものを見たけどイメージそのままだった。 一番ショートの②が一番トレイルが長く、③が一番ハンドリングだけクイックリーだった。

③のフロントにUブレーキが付くおそらく日本でバカ売れしてそうなロングオフセットなフォーク

 クイックリーというかサイクリング車にしてはハンドルがパタパタと落ち着かない感じの。 ただ人を避けるような動きに関してはヒラヒラと軽やかに向きを変えることが出来た。 そのロングオフセットのフォークは今のサイクリング車に受け継がれているのでヒラヒラ感は同じである。 キャスター角はどうだったか… 古くて正確なジオメトリは掴めないでいる。
 ①と④は同じ値になっていて、おおよそ中央値に収まっているのかなと考える。 完成車と同じということはきっとそういうことなんだろう。
 結局、トレイル値が全てというかそんな感じの括りになっているが、寝たキャスタートレイルにロングオフセットと立ったキャスター角にショートオフセットでトレイル値が同じの時に同じ乗り味になるのだろうか? そんな事はないような気持ちになる。 その辺もじっくりと文献を探したりしてみよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー         

総括的な


 そもそもの始まりは、昔友達の大昔に買ったというFITBIKEco.の完成車に乗らせてもらったときだ。 とても乗りやすくてモデルと年式を聞いたけれど忘れたと。でもたぶんそれは初心者寄りのバイクだろうなあと、その辺BBハイトとか細かいとこでFUとか差が出てくるのかもしれないし、少しショートな気がしていた。 さらなる安定を求めてイメージで直進安定性が高いのだろうと思いこんでいたロングオフセットのフォークをチョイスした③が最も短いトレイルとなった。 
 ④を組んだときに上記の学びからまたロングオフセットのフォークを選んでしまったのだけどそれでフェイキーは良くなったので、車両のフォークの数値とフェイキー中に台車の自在キャスターと化す数値はまた違うのかなとなった。
 ①についてはもう慣れるが全てであまり記憶にないが、②は安定性が高いのに動けて、今思えばとても良いセッティングだった。 Tall Orderの揃えフレーム/フォークだったのでバスキープ氏の設計理念がとても良いのだろう。

②のバイク、当時と同じに組み直したけど今乗ると難しい。

 ③に乗り換えるとブレーキのグレードを上げたくて買ったOdysseyのR32フォークは店の在庫の都合でロングオフセットである32mmのモノだった。
 ストリート向けフォークで数少ないUブレーキが取り付け出来る台座の付いたフォークだ。
 ここまできてびっくりするのがロングなフレームにロングなオフセットのフォークを組み合わせたのだからそれはもう安定性まっしぐらなのでは、と思ったが実際には最悪で、ハンドリングはキョドるバイクに仕上がった。 もうこの辺でジオメトリ全く判らんになっていた。
 しばらくして③を諦めサイクリング車に仕立て上げ、相変わらず練習は②で行っていたが、やはりまたショートのフレームから脱してみたいという気持ちに負けて④を組むことになった。
 ④は完成したときはまた在庫の都合でもあったが、SANDMのWIDEMOUTH (33MM OFFSET)フォークという33ミリオフセットのフォークで組んでいた。 これでフェイキー戻りをメイクできたのであるし気に入っていた。
 これをまた計算機でハジいてみると、トレイル値は38mmとなった。 なるほど、ヘッド角が75.3°と立っているから、クイックなフレームに安定性の低いフォーク、そこに来てフェイキー時は回生力の強い台車の自在キャスターとなったのだろうか。 
 全く判らず適当に、先入観だけでしかも間違ったチョイスではあったが謎が謎を呼びここまで勉強する事になり、なんとなく判りかけている。
 各方面、ロード、モーターサイクルなんかのキャスタートレイル角の考察を読んでいるとトレイルは短くても長すぎても直進安定性は損なわれるらしい。
 トレイルが長すぎる状態を考える。 構造的にトレイルを伸ばそうと思ったらヘッドアングルが寝ることになると思う。 ヘッドアングルが寝過ぎると、フォークが横向きになり、ハンドルを切ると左右にバンクするように切れる様になる。
 その状態で上から人間の荷を掛けるとどちらかに転びたがる様になるのではないか、と想像する。 
 トレイルが短すぎると想像に容易く、左右に向きを変えるピボットから後ろへ引く接地点が近いと進行方向に前を向く力が弱まるせいだからだとおもう。
 そのバランス点というモノがおそらくはあって、そのあたりがコントローラブルなのだろうと思う。
 さっきのフォークが寝過ぎた状態でハンドルを切ってもバンクするだけのフロントタイヤを想像すると、とても向きを変えれそうにない事が判る。 アメリカンなモーターサイクルなどは45度に及ぶ様にに見えるキャスター角で、上手いことトレイルを調整して左右に踊りすぎないラクなバイクにセッティングされているんだろうなと思う。
 BMXからどんどんかけ離れてしまったけれど、BMXに求められるのはクイックさと、ミスをしたときのセルフリカバリー力があると助かる事、後退するときのバランシングという他のバイクには無い要素がある。 
 スピードのあるフェイキーはライダーがあまり介入することなく、セルフバランシング的なモノを最大限に使うため、バーに力を入れてはならない。 バランスを感じてから操作していては遅く、気が付くと横に向きを変え吹っ飛ばされている。 台車を前後反対に押して進んでいるあの感覚。

 バーを意識して操作するのは限界を超えかけた時か、戻りでバランスを壊すとき、 後退時の恐怖からそのバーに力を入れない、「お手てブーラブラ」がなかなか出来ないのだけれど、 バイクのセルフバランシングパワーが高まると一助になるかもしれない。 それでロングオフセットの自転車で出来るようになったのかなと考えたりしているが未だにピンと来ない。 あれはたまたまだったのか、いや後退時はトレイル量は逆に作用するので少ない方が暴れる力も弱まり、長いオフセットにより自在キャスター化がより強く掛かるのか。 
 結局ロングオフセットフォークはどういう場面で有用なのか、 単にクイックさを狙ったものなのか判らない。
 おおよそほとんどの人は25ミリ前後のオフセットフォークを使っているが、30ミリオーバーのオフセットフォークを使っている人もそれなりに居るし、商品ラインナップからも消えはしない。
 結局どのようなセッティングにするのが吉なのか判らないけどこうして考えるのもかなり楽しい。
 上手いライダーさんはジオメトリにはかなりの拘りがあるようで、BBからステム、とか色んな所を数値化して管理している人もいたし、オフセットやステムの突き出し量とか絶対に譲らないって人も多い気がする。 誰も語らないけどみんなそれぞれ10年以上乗り自身のセッティングが固まっていて、そこから膨らませて様子を見たり調整したりしている感じだ。 激安バイクにはそのあたり、まともなジオメトリが存在しないのでお勧めもされないが、最終的に使えるパーツはハイエンド級のものしか無い。 仕方ないんだ。

 着地時に腰の高さをバーに力を乗せない所へ持っていけないロールバック



 もし初めてのBMXやセカンドバイクを買おうとしている人が居るなら、要求するジオメトリのイメージが掴めるといいなと思う。
 ぼくもかなり見て回ったけど特にBMXはこういう噛み砕いた判りやすい文章の説明が絶望的に存在しない。 基本的な事は間違っていないと思うし、BMXに限らず二輪の乗り物には全てに通ずる話もたくさんある。 緻密さや完全無欠さ、ジャンル分類におけるアドバイスなんてものはまったく出来ないけどなるべく難しい事は無しで、関数とかも出さずにノリで書ききったので何となく判った気になるような事があるかもしれない。 
 最終的には「あなたの気持ち次第です」なんだけど、道具で近道出来るならそれもいいじゃない。


 久し振りに前後も考えずに手が動くままに書き殴っていたらすごい文字数になってしまったけれど、主観と妄想で組み立てられた駄文をここまで読み切る酔狂な人も居まい。 
 最終的に何も纏まらなかったけれど、覚え書きだからいい。 覚え書きにしては少し長いってだけだ。 




 7桁文字も書いてしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?